カンガルーの小部屋

2010.11.25

カンガルギー情報 第60回日本アレルギー学会②

11月25日、お昼の教育セミナーは、「アトピー性皮膚炎の考え方:病態の一元的理解をめざして」です。

講師は、東京大学皮膚科の佐藤伸一先生。

アトピー性皮膚炎の原因は、①バリア機能障害、②免疫異常、③ストレス刺激として、まとめられています。

その3者が、どのような関連性を持っているのかが、今回の講義の中心テーマです。

フィラグリンと名付けられ蛋白質が、皮膚にあります。

フィラグリンはそれ自身が天然の皮膚保湿因子として働き、同時に表皮を平坦化させる働きがあります。

フィラグリンを作るフィラグリン遺伝子が変異をきたしている方が、アトピー性皮膚炎になりやすいと言う研究が進んでいます。

フィラグリンが少ない方は、乾燥しやすくバリア障害が起きやすい状態になります。

バリア障害は、外部からの抗原の持続反復刺激を受け、アレルギーに傾き、アトピー性皮膚炎を形成します。

痒みのために、掻くと、結果的にますます皮膚のバリア障害が進行し、外部からの刺激を受けやすくします。

バリア障害こそが、免疫異常の出発点になると言うのが、佐藤先生のお考えです。

また精神的ストレスは、一酸化窒素や活性酸素を増加させ、痒みを増やすと言われています。

スキンケアと、アレルギー、精神的ストレス、この3者を関連づけた治療が必要だと痛感しました。

                       2010年11月25日

                       いたやどクリニック小児科 木村彰宏