カンガルーの小部屋

2012.05.05

カンガルーの本棚 かあちゃん

重松清さんの「かあちゃん」(講談社文庫)を、読みました。

文庫本の厚さにして2cmを超え、ページ数では500p超えの大作です。

文庫本の帯には、「お母ちゃんは、笑うことを禁じた。死んだお父ちゃんの罪を、一生背負うためにー」と、ありました。

買おうか止めようかとためらいながら、

それでも表紙絵にひかれて、手にとって、あとは一気に読み終えます。

いじめ、いじめられ、それを見守る親たちと、先生。

一人ひとりの子どもや、おとなのうしろには、

それぞれのおかあさんや、おとうさんが、わが子をそっと見守っている。

そんな当たり前の事実の中に、命のつながりを、感じます。

それにしても、重松さんは、子どものこころが、なぜわかるんでしょう。

でも、今の子どもは、「自分の事をそんなに深く考える力なんてないでしょう」と、つい、つっこみを入れたくもなります。

おとなのこころだって、同じことです。

だからこそ、重松さんは、こどもやおとな達のまとまらない思いを、かわってに言葉にされるのかもしれません。

子どもも、おとなも、自分につながるみんなを大切に思っているあなたに、

是非お読みいただきたい、とっておきの1冊です。

2012年5月5日

いたやどクリニック小児科 木村 彰宏