カンガルーの小部屋

2024.10.23

カンガルーの本棚 ことばの魔法

森絵都さんの「あしたのことば」(新潮文庫)を、読みました。

お話しは、子どもがであう「ことばの」不思議

「どっち」とたずねられ「どっちかなあ」「どっちもかなあ」と、

すぐには答えが出せない小学生

苦手な子とのつきあいに悩む女の子は、「馬があわへんだけや」ということばに救われます。

友だちとうまくいかなくなり、長いメールを書く中で、

その子も自分が口にしたことばに、縛られているのかもしれないと気づきます。

大勢の中ではことばを交わさないクラスの子が、

とても豊かな音への感性を持っていることに気づき、親しくなっていくお話や

笑い転げるほど楽しい遊びをした後で、

ともだちから「またあした」とことばをかけてもらい、

この街で暮らす自信を持ち始める転校生

どの子も、ほんのちいさな言葉に悩み、救われます。

やさしい文体の中に、ことぼの魔法がたくさん詰まったおすすめの1冊です。

2024年10月23日

いたやどクリニック小児科 木村彰宏