2023.10.24
カンガルーの本棚 つましいながらも
西條奈加さんの「曲亭の家」(ハルキ文庫)を読みました。
南総里見八犬伝の作者、滝沢馬琴の息子のもとに嫁いだ路
物語は、路を主人公にして、その数奇な一生を描いています。
頑迷な馬琴と、かんしゃく持ちの夫と姑
ひと時の気が休まることなく、笑い声も聞かれない家で
愛する人を失い、そして、光を失った馬琴のかわりに、
口述で八犬伝を完成させていく路
晩年に訪れた想いとは
ひとりの女性の持つ強さと幸せに、心打たれる作品です。
2023年10月24日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏