カンガルーの小部屋

2010.06.09

カンガルーの本棚 メリーゴーランド

重松清さんの「カシオペアの丘で」(講談社文庫)を読みました。

文庫本にして上下2巻、800ページを越える大作です。

シュンと、トシと、ユウと、ミッチョ。

4人の少年少女が丘を登るシーンから物語ははじまります。

この物語には、いくつかのキーワードが散りばめられています。

カシオペヤ、ボイジャー、観音像、炭坑爆発、メリーゴーランド。

愛と、許し、そして生きているということ。

読者それぞれに、ひとり一人異なる思い入れのページがあると思います。

わたしは、繰り返し登場するメリーゴーランドの話が好きになりました。

登場人物を乗せて、逃げては追いかけ。追いかけては逃げ。

何度か乗ったことがあるメリーゴーランドに、そんな深い思いを感じることはありませんでした。

重松清さんとともに、ひとの優しさに出会える一冊です。

                       2010年6月9日

                       いたやどクリニック小児科 木村彰宏