カンガルーの小部屋

2024.10.20

カンガルーの本棚 下絵からの出会い

青山美智子さんの「赤と青とエスキース」(PHP文芸文庫)を読みました。

物語は、オーストラリアのメルボルンで始まります。

留学先の大学や下宿にもなじめず、下を向いて歩く日々を過ごしていた女子大生レイは

留学が終わるまでの期間限定で付き合いはじめたブーと呼ばれる男の子から、

友人の貧しい画家の、モデルになってほしいと頼まれます。

描かれたエスキースは、日本に渡り、ふたりを結び付けます。

エスキースとは、フランス語で「下絵」や「素描」という意味ですが、

ふたりの出会いと、その後の人生を表しているように思いました。

一枚のエスキースがつなぐ、素敵な恋の物語です。

2024年10月20日

いたやどクリニック小児科 木村彰宏