カンガルーの小部屋

2010.04.13

カンガルーの本棚 名文どろぼう

「名文どろぼう」とは、物騒な書名です。

筆者は読売新聞のコラム「編集手帳」を執筆されている竹内政明さんです。

古今東西の作家から、これはよしという名文を盗みに盗んで200余話。

くすり、ほろり、なっとくと、いろいろな味を楽しめました。

巻末に竹内さんが愛誦されている詩を載せられています。

「風鈴」杉山平一

かすかな風に

風鈴が鳴ってゐる

目をつむると

神様 あなたが

汗した人のために

氷の浮かんだコップの

匙をうごかしてをられるのが

きこえます

詩のあとに竹内さんは、このように書かれています。

「心ならずも誰かに勇気を与えてしまったときだけは、思い出したようにウィスキーをロックで飲む。ひとり、グラスの氷を揺らし、神様の風鈴を真似てみる夜更けもある。」

                              2010年4月13日

                       いたやどクリニック小児科 木村彰宏