カンガルーの小部屋

2010.03.12

カンガルーの本棚 大人の発達障害

星野仁彦先生の「発達障害に気づかない大人たち」(祥伝社新書)を読みました。

発達障害とは、「注意欠陥・多動性障碍(ADHD)」「「アスペルガー症候群」「自閉症」「学習障碍」などといった障碍の総称です。

発達障害は、従来は子ども期の問題とされてきましたが、大人期にまで問題を持ち越し、社会的不適応からさまざまな二次障碍をおこすことが分かってきました。

本書は、大人期の発達障害に焦点を合わせて解説された入門書です。

大人期の発達障害の治療は、本人が自分の特性について気づき、自らの特性を認めて(認知)、受け入れること(受容)からはじまると、星野先生は繰り返し述べられています。

しかし、障碍という言葉には抵抗を感じ、認知や受容をためらう方も稀ではありません。

そこで星野先生は、発達障害という言葉の代わりに「発達アンバランス症候群」という言葉を提唱され、大人の方が受け入れることができるよう説明されています。

学校や職場、またご家庭で、対人関係がうまくいかないとお思いの方に、ご一読をおすすめします。

                       2010年3月12日

                       いたやどクリニック小児科 木村彰宏