2012.01.09
カンガルーの本棚 思い出の一冊に
阿部彩さんの「弱者の居場所がない社会」(講談社現代新書)を、読みました。
阿部さんは、前著「子どもの貧困」(岩波新書)で、一躍時の人となった研究者です。
「貧困」とは、生活水準を保つための資源の不足を表す言葉。
「社会的排除」とは、社会における人の「位置」や、人と人との「関係」、人と社会との「関係」に関わる言葉。社会から追い出されることと説明されています。
216ページの本が、サイドラインで真っ赤になりました。
医療生協がどこに向かうべきなのか、その原点を教えてくれたように思います。
この本を、100歳で亡くなった父の通夜の席で読みました。
じっとしていると眠くなるので、会場内を歩き回りながら読みました。
父と私とは、生き方は違います。
けれど、本が大好きで、書くのが大好きで、人と話しするのが大好きで、そんな好奇心のかたまりのようなところは、父譲りです。
自分が何を願うのか、社会に対して何を貢献していけるのか、これからの生き方を、考え考えながら読みました。
わたしの、読書生活の中でも、思い出となる一冊になりました。
2012年1月9日
いたやどクリニック小児科 木村 彰宏