カンガルーの小部屋

2023.06.21

カンガルーの本棚 悩みのむこうに

伊与原新さんの「八月の銀の雪」(新潮文庫)を読みました。

悩みながら生きる5人の男女が出会う、人生の先輩たちとの物語

就活がうまくいかず、自分を受け入れることができない大学生

子育てにつかれ、自分を見失いつつあるシングルマザー

立ち退かせ屋に務め、出会った老女とハト

恋に破れ、明るくふるまうことで自分を支える女性

仕事場でのミスかくしに耐え切れず、退職した中年男性

それぞれが出会う先輩たちとの会話の中で、

自分が帰る場所、自分が進む場所を見つけていきます。

きびしい現実の中にも、小さな明かりが灯るあたたかな小説です。

2023年6月21日

いたやどクリニック小児科 木村彰宏

71WFRRceFhL (1)