2016.05.30
カンガルーの本棚 潮の声が聞こえる
葉室麟さんの「潮鳴り」(祥伝社文庫)を、読みました。
襤褸蔵とあだ名される主人公は、
何一失うものはなく、誰に頼られることもなく、
破れ小屋で、すさんだ暮らしを過ごしています。
弟の死をきっかけに、彼の心に、生きかえってみようという灯がともり始めます。
死ぬよりもつらいこと、汚名を浴びながらも生き続けることで、
愛する人を、守り抜く決意を固めます。
人の矜持とは何たるかを教えてくれる、お勧めの1冊です。
2016年5月30日
いたやどクリニック 木村彰宏