2014.03.01
カンガルーの本棚 科学者の生き方
カンガルーの本棚 科学者の生き方
日野行介さんの「福島原発事故:県民健康管理調査の闇」(岩波新書)を、読みました。
3月に実施する健診に備えて、兵庫民医連から送られてきた一冊です。
日野さんは、毎日新聞の現役の記者。
原発事故後に組織された「県民健康管理調査」検討委員会のあり方に疑問を抱き、
取材を通じて明らかになったことを1冊にまとめられたものです。
以下、日野さんの書かれたエピローグからの抜粋を転載します。
「隠ぺいや情報操作が明らかになった時、『不安をあおらないため』『パニックを防ぐためだった』と、釈明する。
その理由は、被曝による被害を過小評価したい、ということに尽きるのではないか。
これから何十年にわたって福島第一原発事故の健康被害は問われ続けることになる。
その中で、歴史的な資料として一連の報道が役に立ってくれればと思っている。」
この言葉にジャーナリストの良心を感じます。
健康管理調査検討委員会には、専門家として多くの医師が名を連ねています。
大事故を前に、科学者としての生き方が、問われています。
2014年3月1日
いたやどクリニック小児科 木村 彰宏