カンガルーの小部屋

2024.03.29

カンガルーの本棚 笑って泣いて

小川糸さんの「サーカスの夜に」(新潮文庫)を、読みました。

大きくなれない病気を抱えた少年は、

小さい時に見たサーカスに入ることを夢見ます。

トイレ掃除、食事係、

そこで出会う芸人たちに教えられ、綱渡りの芸を極めようと思い立ちます。

人を笑わせるってことは、人を傷つけたり哀しませたりすることよりも百倍も千倍も難しい

人生の哀しみを知らなくっちゃ、

相手を笑わせることなんてできないもの。

孤独を知っているからこそ、みんなでバカ笑いできる幸せを

ありがたく思えるのよ。

団員の言葉を胸に、少年は今日も綱に挑みます。

2024年3月29日

いたやどクリニック小児科 木村彰宏