2018.01.08
カンガルーの本棚 素敵な人たち
佐倉淳一先生の「明日(あした)」(角川文庫)を、読みました。
主人公は、小学2年生の男の子
授業中に立ち歩き、学年主任の先生に叱責されると窓から飛び降りてしまします。
学校の混乱は家族を巻き込み、誰が悪いのかの 責任のなすり合いが始まります。
もう一人の主人公は、PC関連会社で働く青年
パワハラをうけ、傷害事件を起こしてしまいます。
ふたりの出会いは、深夜の恐竜博物館
「明るいあしたは、自分の力で変えることができる」と、語り合います。
ふたりの自閉スペクトラム症(ASD)の男性が、
明るいあしたにむかって歩きはじめる勇気を、
作者は温かく見守ります。
自閉スペクトラム症という難しい課題に向かい合う一人一人の読者が
本当の主人公なのかもしれません。
まだ始まったばかりの2018年。
今年の一押しの一冊になりそうです。
2018年1月8日
いたやどクリニック 木村彰宏