2010.08.10
カンガルーの本棚 青空こころ
青空こころサンの「障害を持つ子を育てて」(文芸社)を読みました。
外来をしていますと、長距離の電話がかかってきました。
「先生、覚えてますか。今度息子のことを本にしたんです。お送りしますから、読んでくださいね。」
遠くに引っ越された青空サンとは、もう何年もお会いしていません。
自閉症の息子さんは、もう18才になられ、この春に養護学校を卒業されました。
障害に気が付いたときのこと。診断を受けたときのこと。自閉症児のおかあさんになる決心が付いたときのこと。
そして、そのあとの、長い生活のことを、18編の短い文章に綴られています。
多くの人に助けられることの大切さと、ありがたさ。
おわりの章で、青空サンはこう書かれています。
「あなたが障害を持っていなかったら、きっと側で傷ついている障害をもつお母さんの気持ちに気づかなかったでしょう。
そして、空の青さにも、太陽の輝きにも、虹の美しさにも、道端に咲くたんぽぽにも、笑顔することもなかたでしょう。
それから、こんなにも人の愛や温もり、そして優しさを強く感じることはできなかったと思います。」
青空サンにも、その息子さんにも、いつまでもおだやかな青空の日が続きますように。
2010年8月11日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏