カンガルーの小部屋

2014.02.17

シネマ・カンガルー ゼロからの思い

百田尚樹さん原作の映画「永遠の0」を、観ました。

封切られて時間が経っているにも関らず、満席の盛況です。

岡田准一さんの熱演が光ります。

司法浪人の主人公が、祖父宮部久藏の生き方をさかのぼる物語です。

宮部久藏は、海軍屈指のゼロ戦パイロット。

愛する妻や子の元に帰りたいと、ただそれだけを願います。

その宮部が、なぜ特攻隊に志願したのか。

主人公の疑問は、私の疑問でもありました。

学徒出陣し特攻隊のパイロットとして養成された教え子たちが、次々と命を散らしていく。

自責の念から、宮部は自らも死地におもむく決意をします。

自己犠牲。

生き続けたかったけれど、それが叶わなかった者の悲しみが、伝わってきます。

青年に、究極の選択を強いた指導者への、許すことのできない怒りが湧きあがります。

同時に、この時代にあっても戦争反対を貫いた人々がいたことも思い起こします。

今時代は 祖父や父の世代の思いをねじ曲げて、進もうとしているかのようです。

撮影にあたっての自衛隊の全面協力に、きな臭さを感じるのは、私だけでしょうか。

本当の勇気は、「命を粗末にしないこと。自らも、まわりの人の命を大切にすること」

わたし達の役割は、昔を懐かしむのではなく、青年たちの夢を守り育てること。

戦争を繰り返してはいけないというメッセージだけが、この映画を通して広まりますように。

2014年2月17日

いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

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