カンガルーの小部屋

2010.01.24

クリニックだより 急病診療所近況 嘔吐下痢症

1月24日の夜、神戸市の急病診療所に出かけました。

インフルエンザの患者さんは数名と、一時のことを考えると圧倒的に少なくなりました。

その代わりに、嘔吐下痢症(おなか風邪)が大流行しています。

いきなり吐き始めて、その後は下痢に傾きます。

みなさん、脱水を心配されるのですが、すぐには脱水にはなりません。

むしろ与えれば与えるほど吐き気をひっぱりますので、重症化につながります。

以下に脱水の見分け方と、その対処法について説明しますので、ご参考にしてください。

次にあげる症状や様子の変化があれば、脱水状態と考えます。

「嘔吐が続いている」 「目が落ちこんでいる」 「泣いても涙が出ない」 「皮膚や口・舌が乾燥している」 「機嫌が悪い」 「ぼんやりしたり眠りがちになる」 「顔色がわるい」 「おしっこの量が減る」 「おしっこの色が異常に濃いくなる」 「水分を飲ませようとしても飲んでくれない」 

脱水状態を改善させるためには、経口補水液を飲ませると有効です。

①脱水状態を改善させるためには、水分だけでなく、塩分と糖分もバランスよく摂ることが有効です。

②市販されているスポーツ飲料でもよいのですが、塩分バランスが低めのことが多いようです。その中では「ポカリスウェット」が比較的バランスよく作られています。 また、「OS-1」という経口補水液が調剤薬局で取り扱われていることがあります。 一度ご相談されるとよいでしょう。

③飲ませる目安は、   

  乳児では、体重1Kg当たり 30 ~ 50 ml / 日

  幼児では、                          300 ~ 500 ml / 日

  学童~成人では、          500 ~ 1000 ml / 日  です。 

④飲ませるコツは、一度にたくさん飲ませないことです。

 一口ずつか、ティースプーンなどを使い、少量ずつ頻繁に飲ませてください。

 ある程度飲ませても吐かなければ、自由に飲ませてください。

⑤尿量が増えてきたり、色が薄くなってきたら、脱水状態が改善してきた証拠です。

⑥嘔吐が続くようなら、主治医にご相談ください。

                       2010年1月24日

                       いたやどクリニック小児科 木村彰宏