カンガルーの小部屋

2010.02.02

散歩のたのしみ ふしぎな樹

少し遠くにある大どんぐり公園まで散歩に出かけたときのことです。

薄明かりの中で、並木の一本から枯れ葉が落ちてきます。一枚また一枚とその数は増えていきます。真冬のことですので、枯れ葉が落ちるはずもなく、確かめに近づこうとすると、落ち葉が急に舞いあがります。

10数羽の小鳥が、地面のえさを食べようと舞い降り、また飛び上がったと気づくのに、少し時間がかかりました。

まだ薄暗い夜明け時間でしたので、樹が、自分の意志で動いたかのように思えました。

ハッちゃんと坂道を降りてくると、遠くのやまの端から朝日が昇るところに出会いました。

あまりの鮮やかな赤い色にありがたく、今日一日が良い日でありまようにと願いました。

後日ある本を読んでいますと、「落花枝にかえると見れば胡蝶哉  守武」という詩が紹介されていました。「桜の花がはらはらと散っている。そのひと片が枝に帰るのかと思ったら、なんと胡蝶であった。」という意味だそうです。荒木田守武は、1473年の生まれ。

わたしが経験したふしぎな樹に似たおどろきは、500年以上前の人が体験していたのかと思うと、また散歩が楽しくなりました。

                       2010年2月2日

                       いたやどクリニック小児科 木村彰宏