カンガルーの小部屋

2010.04.13

聴診器のむこうに 足指で携帯

車椅子に乗られている女性の方が来られました。

全身の麻痺が強く、言葉や手足の動きも、ママなりません。

関節や筋肉の痛みもつよく、つらい毎日です。

それでも携帯を使っているとおかあさんが言われます。

「大きめのキーボードか何かを工夫されて、使っておられるのですか?」とお尋ねしますと、「ストローに割り箸を入れて、足の指の間にはさんで、携帯を打つんです。」と言われます。

「前はパソコンを使っていたのですが、パソコンのメールでは、相手の方が開いてくれなかったら届きませんので。それで、携帯にしているようです。」

「誰にメールをするの?」とお尋ねしますと、「お友だちとか、ヘルパーさんとか、自分で連絡するんですよ。」と代弁されます。

強い気持ちがあれば、足指を使ってでも人とつながろうと願う、人間存在の素晴らしさを、お教えいただきました。

                       2010年4月13日

                       いたやどクリニック小児科 木村彰宏