カンガルーの小部屋

  • 2010.02.20

    かんがるう目線 大切な先生

    高橋選手の活躍から一夜明けた朝刊一面のコラム記事に、こころを奪われました。

    「イタリア映画「道」の音楽「ジェルソミーナ」を少し聴いただけで、もう涙目にかわる友人がいます。哀調をおびた不滅の旋律が、映画の記憶を掘り起こします。・・中略・・ 

    映画は、うわべのつくろいをはぎ取った人間存在の、裸の姿を描いているようにみえます。そして「ジェルソミーナ」の曲には、かなしみとともに、人間のよりよい再生への希望が込められているようです。

    人はしばしば、「ジェルソミーナ」の曲にみずからの人生の「道」を重ね合わせます。「氷上の芸術家」と評される、フィギアスケートの高橋大輔選手は、バンクーバー・オリンピックの演技の曲に、映画「道」の音楽を選びました。・・中略・・

    バンクーバーまでの道のりは、険しかったでしょう。選手生命を奪われかねないけがを体験しました。不調にも苦しみました。しかし、万感こもる滑りが、表現力のゆたかさを際たたせたようです。・・後略・・」(2月20日付潮流より)

    映画音楽に詳しくないわたしには、なぜジェルソミーナなのかなと、不思議に思いました。

    コラムを読みすすむうちに、作者は、ジェルソミーナの曲に重ね合わせて、高橋選手の滑りの中に、「人間のよりよい再生への希望」を感じ取ったのでしょう。

    限られた紙面のなかに、作者の深い人間性を感じます。

    朝刊のコラム、そして、4こまマンガは、わたしの大切な先生です。

                           2010年2月20日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.02.20

    かんがるうっ子  わたしとどっちが

    学校の先生方との懇談を終え、遅い帰宅となりました。

    男子フィギュアスケートをみながら、夕食を食べていますと、ナナがテーブルに前足をかけて、ご飯のおねだりです。

    「よしよし、いい子、いい子。」と声をかけていますと、子どもが「わたしとナナとどっちが、かわいい?。」と尋ねます。「もちろん、あなたですよ。」と答えますと、「そんなことないやろ、このごろ100点とってないからやろ。」と少し飛躍した反応。

    「さては、テストの点を聞いて欲しいのかも。」と思い、「テストどうだった。」と聞きますと、いそいそとカバンから答案用紙を取り出します。

    親が点数にこだわりすぎても変なプレッシャーをかけますし、聞かないと無関心なようですし、なかなかに難しいところですね。

    さあ、晩ご飯も終わったし、ナナとハッちゃん、お散歩に出かけましょうか。

    ナナもハッちゃんもかわいいですが、あなたがダントツかわいいですよ、大きなあかちゃん!。

                           2010年2月18日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.02.20

    かんがるう目線 もう一つのメダル

    「先生、男子フィギアがはじまってますよ。」午前の外来を終えたその時に、看護師さんが声をかけてくれます。

    お昼休み時ということもあり、待合室のテレビ前は、患者さんと職員とで満員。

    いよいよ高橋大輔選手の登場。4回転ジャンプを跳ぶのかどうかに注目が集まります。

    前日の番組で、松岡修造さんが、「4回転ジャンプを跳ぶかどうかは、こころの声に聞け」と解説されていたことを思い出します。

    序盤の4回転ジャンプはうまくいきません。思わず両手で顔を覆ってしまいました。しかし、その後の演技は、手の動き、足の運び、顔の表情、そのひとつ一つに楽しさと美しさが満ちあふれていました。

    他の誰のためでもなく、自分のために、この瞬間を楽しんでいるかのようです。

    見ているわたしのこころも、幸せな気持ちが伝わります。

    もう一つのメダル。大きな怪我の中から再起を誓い、強く高く保ち続けた「こころの声」。

    人間が持つ力の奥深さの中に、もう一つのメダルがかくされているのを感じました。

                         2010年2月20日

                         いたやどクリニック小児科 木村彰宏