カンガルーの小部屋

  • 2010.02.27

    7+8= ハッちゃん しかとする

    雨上がりの公園、大きなゴムボールが落ちています。

    どこかに穴が開いているのか、少ししぼみ気味。

    それでもハッちゃんは、猛ダッシュでゲットです。

    しばらくボールと格闘すると、急に興味をなくします。

    ハッちゃんの体重で押しつけられたゴムボールは、哀れにも半分に折れて帽子状態になっていました。

    記念写真をと、ハッちゃんの鼻先にボールを近づけるも、しかとします。

    帰っておかあさんにこの話をしますと、ハッちゃんは丸い物に興味を示すとのこと。

    ハッちゃんは、丸くないボールは、ボールじゃないと考えているのでしょうか。

    わたしはてっきりボールのにおいにだけに反応しているのかと思っていましたので、丸い形も探索条件に入っていることに驚きました。

    でも、審査委員長のわたしは、このゴムボールも301個目のボールとして、認定することにしました。

                           2010年2月27日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.02.27

    カンガルーの本棚 食堂かたつむり

    小川糸さんの小説「食堂かたつむり」を読みました。

    美しい描写に満腹です。

    翡翠色の実、玉ねぎの薄皮みたいに半透明の雲、地球をそのまま巨大なはちみつのビンに沈めたみたいな夕焼け空、フラミンゴのようなピンク色の空、コーヒーゼリーのようにつるんとした真っ黒な目。

    その鮮やかないろ使いの美しさは、ページをめくるごとに、わたしを楽しませてくれます。

    ありふれた食材のひとつ一つを、いとおしむように文字に置き換えられた豊かな表現は、わたしのこころを瑞々しくしてくれます。

    読みすすむごとに、やすらぎを与えてくれる小説です。

                         2010年2月27日

                         いたやどクリニック小児科 木村彰宏