カンガルーの小部屋

  • 2010.03.25

    カンガルーの本棚 もうひとつの「おくりびと」

    高田郁さんの「出世花」を読みました。

    書店のポップアップに「もうひとつのおくりびと」と書かれています。

    江戸時代の底辺に生きる人々をやさしい目で見つめ、まっとうに生きようとする主人公。

    前回ご紹介しました「想い雲」の中で、作者は主人公の澪に「天災を除いて世の中で一番恐ろしいのは、妖怪でも化け物でもなく、生きているひとだと思う。だが、恐ろしいのもひとだけれど、同時にこの上なく優しく、温かいのもひとなのだ。」と語らせています。

    その原点が「出世花」という作品にあるように思います。

                           2010年3月25日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.03.25

    聴診器のむこうに うさぎ係いいですか

    2年生の男の子が来られました。

    座るなり手帳を開き「目がパチパチします。目薬をください」と言います。

    「わかりました。ほかには何か・・」と言いますと、手帳を見ながら頭を整理中。

    おかあさんに「聞きたいことがあるんでしょ」と促され、「うさぎの飼育係してもいいですか」と質問します。

    カルテを繰り、アレルギーの有無を調べます。

    「大丈夫だと思うよ。もし症状が出てもたいしたことないと思うから」と伝えますと、うれしそうな顔。

    おかあさんが「飼育係は4年生からなんですよ。」と笑いながら言われます。

    なんで、1年以上先のことが最重要質問事項なのかなと不思議でした。

    「少年老い易く、うさぎ係なりがたし。」このことわざを思い出し、男の子の気持ちが少し分かったような気持ちがしました。

                           2010年3月25日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏