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2010.08.10
カンガルーの本棚 青空こころ
青空こころサンの「障害を持つ子を育てて」(文芸社)を読みました。
外来をしていますと、長距離の電話がかかってきました。
「先生、覚えてますか。今度息子のことを本にしたんです。お送りしますから、読んでくださいね。」
遠くに引っ越された青空サンとは、もう何年もお会いしていません。
自閉症の息子さんは、もう18才になられ、この春に養護学校を卒業されました。
障害に気が付いたときのこと。診断を受けたときのこと。自閉症児のおかあさんになる決心が付いたときのこと。
そして、そのあとの、長い生活のことを、18編の短い文章に綴られています。
多くの人に助けられることの大切さと、ありがたさ。
おわりの章で、青空サンはこう書かれています。
「あなたが障害を持っていなかったら、きっと側で傷ついている障害をもつお母さんの気持ちに気づかなかったでしょう。
そして、空の青さにも、太陽の輝きにも、虹の美しさにも、道端に咲くたんぽぽにも、笑顔することもなかたでしょう。
それから、こんなにも人の愛や温もり、そして優しさを強く感じることはできなかったと思います。」
青空サンにも、その息子さんにも、いつまでもおだやかな青空の日が続きますように。
2010年8月11日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2010.08.10
聴診器のむこうに うし注意報
1才9か月の男の子は、牛乳が大好き。
毎日500ccから1リットル近くを飲むそうです。
おかあさんは、安売り牛乳を求めて、スーパーに。
家まで持ちかえるのも、大変です。
おまけに、牛乳をたくさん飲むと、男の子の足が牛歩になります。
炎天下、日傘をさして、牛乳パックをぶら下げたおかあさんと、その横をゆっくり歩く男の子。
猛暑は、いろいろな大変さを運んできます。
2010年8月11日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2010.08.10
7+8= もってかえれたよ
ゴルフのボールをみつけました。
325こめです。
おくちに、くわえやすいおおきさなので、じぶんでもってかえりました。
でも、ハアハアしながら、おくちでくわえてあるいていると、よだれがおちて、かっこよくないです。
ぼくは、ボールカミカミがすきなので、おへやにもどって、カミカミしました。
ゴルフのボールは、かたくてたのしいです。
おとうさんは、「ハッちゃん、飲み込まないでね」と、しんぱいそう。
おとうさんに、とられないように、おててでかくしながら、カミカミします。
あれっ、いいにおい。
ボールをはなして、おかしをみるあいだに、おとうさんが、ボールをもっていってしまいました。
まあいいや、おかしのほうが、いいおあじがするもんね。
2010年8月11日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2010.08.10
7+8= わたしは居候
パンを買い忘れたので、おかあさんがホットケーキを焼いています。
私は、自分のご飯よりも、ホットケーキの方がいい匂いなので、クンクン言いました。
「ナナ、自分のものを粗末にすると、フリーターになるよ」と、おとうさんが注意します。
「ナナは、居候。居候のくせに、わがままやから」と、おねえちゃんが口を出します。
「だったら、ハッちゃんは?」って、おとうさんが聞きますと、「ハッちゃんはペット」
「へえ、そしたら、ペットと居候とは、どこがちがうの?」と、もう一度おとうさんが聞きます。
「居候は、ただのやっかい者。ペットの方が、くらいが上」と、おねえちゃんが解説します。
私には、違いがよく分からないけど、おとうさんがそっと自分のホットケーキを分けてくれたので、クンクンないてアピールして、よかったと思います。
2010年8月11日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2010.08.10
カンガルーの本棚 まだまだ知らない現代史
池上彰さんの「そうだったのか!現代史パート2」(集英社文庫)を読みました。
今回のテーマは、「イラク」「アフガニスタン」「パレスチナ」「チェチェン」「北朝鮮」「チェルノブイリ」
さまざまな国の暗黒の現代史が綴られます。
その中で、「東ティモール」と「ミャンマー」には、かすかな希望の光を見いだすことができました。
「花の髪飾りの抵抗」と題された最終章には、「アウン・サン・スー・チー」さんのノーベル平和賞の受賞理由が書かれています。
「ノルウェー・ノーベル賞委員会は、この女性のたゆまない努力に敬意を表するとともに、平和的な手段によって民主化と人権向上と民族和解を勝ちとろうと懸命に戦っている世界中の人たちにとって、彼女の受賞が、励ましとなるように願っている」
現代史は、この瞬間にも、わたしたちが作り続けていくものです。
人権を抑圧する過ちをくり返さないよう、歴史に学び続けたいと思います。
2010年8月10日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏