カンガルーの小部屋

  • 2010.08.22

    聴診器のむこうに 焼きペンギン

    1年生の男の子は、家族みんなで天王寺動物園に行きました。

    「動物さんはみんな、動かなかったでしょ。」と尋ねますと、「うん」

    「あれって、ほんとうはお人形なンよ。本物のゾウやキリンは、クーラーのきいている部屋に入って、ジュースを飲んでるンよ」と教えてあげます。

    男の子は目を丸くして、宙を見つめて、ことの真偽を確かめます。

    調子に乗って、「ペンギンさんは、暑くて、焼き鳥になってなかった?」と尋ねます。

    こちらの方はすぐに真偽の仕分けがついたのか、「なってなかった。」と断定的な答えが返ります。

    何ごとも、ほどほどがよろしいようで・・。

                           2010年8月22日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.08.22

    かんがるうっ子 ダブルストロー

    ファミレスのドリンクバーで、オレンジジュースとカルピスを入れて、テーブルに運びます。

    それぞれのコップにストローをさして、ダブル吸引です。

    ひとつのコップに、オレンジとカルピスとを注ぎ入れて作ったオレンジカルピスと、ダブル吸引とでは、どう味が違うのか論議になりました。

    子どもの解説は、以下の通りです。

    おなかの中では、どちらもいっしょ。

    でも、2つのコップ方式では、右のほほにオレンジ味、左のほほにカルピス味、ふたつの味が、微妙に混ぜ合わさります。

    こんどは、トリプル吸引に挑戦してみようね。

                           2010年8月22日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.08.22

    カンガルーの本棚 追伸

    真保裕一さんの「追伸」(文春文庫)を読みました。

    久しぶりのミステリー小説です。

    2組の夫婦の間に交わされる、往復書簡。

    その中で、少しずつ事件の真相が明らかにされていきます。

    しかし、テーマは謎解きではありません。

    作者は登場人物にこう語らせます。

    「僕にも祖父母がおり、幼い時分には可愛がってもらった記憶がありながら、彼らに何ひとつ戦争の話を聞かずにきました。彼らの人生と僕の未来は一切無関係なのだと言いたげに、今日まで厚かましく生きてきたような心苦しさを、今さらながら感じています。

    祖父母や両親は、自分たちの経験してきた苦労を語りたがらず、ひたすら子や孫の未来を信じ、祈り続けるものなのでしょう。我々もつい昔の苦労話など聞きたくないと考えてしまいます。

    でも、そこには必ず懸命にその時代を生き抜いた人々がいて、多くの語られない物語が残されているはずなのです。」

    暑い夏、いい本に出会いました。

                           2010年8月22日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏