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2010.11.25
カンガルギー情報 第60回日本アレルギー学会③
11月25日、午後からの教育講演は、「喘息長期管理のための炎症モニタリング」です。
講師は、和歌山大学の一ノ瀬正和先生。
気管支喘息は、末梢気道の炎症が持続する病気です。
喘息がうまく治療されているのか、薬の種類や使用量をどのように決めていくのかを判断する上で、目安が必要です。
症状の改善(息苦しくない、夜間におきることがない、運動をしても息切れをしないなど)は、とても大切な目安です。
しかし、治療が多すぎず、少なすぎず、適切に行われているかどうかという視点からは、症状の改善だけでコントロールすることは不十分です。
いたやどクリニック小児科では、呼吸機能検査を行い末梢気道の狭窄の程度(V50、V25)を目安としています。
一ノ瀬先生の講義は、呼気中のNO(一酸化窒素)を測定することで、治療の管理に使えないかという内容でした。
呼気中NOは、保険外の診療ですので、今すぐいたやどクリニックに導入することは、難しいかと思います。
近いうちに保険診療の範囲で検査ができるようになるとのことですので、NO測定と喘息の長期管理について、勉強を進めていきたいと考えています。
2010年11月25日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2010.11.25
カンガルギー情報 第60回日本アレルギー学会②
11月25日、お昼の教育セミナーは、「アトピー性皮膚炎の考え方:病態の一元的理解をめざして」です。
講師は、東京大学皮膚科の佐藤伸一先生。
アトピー性皮膚炎の原因は、①バリア機能障害、②免疫異常、③ストレス刺激として、まとめられています。
その3者が、どのような関連性を持っているのかが、今回の講義の中心テーマです。
フィラグリンと名付けられ蛋白質が、皮膚にあります。
フィラグリンはそれ自身が天然の皮膚保湿因子として働き、同時に表皮を平坦化させる働きがあります。
フィラグリンを作るフィラグリン遺伝子が変異をきたしている方が、アトピー性皮膚炎になりやすいと言う研究が進んでいます。
フィラグリンが少ない方は、乾燥しやすくバリア障害が起きやすい状態になります。
バリア障害は、外部からの抗原の持続反復刺激を受け、アレルギーに傾き、アトピー性皮膚炎を形成します。
痒みのために、掻くと、結果的にますます皮膚のバリア障害が進行し、外部からの刺激を受けやすくします。
バリア障害こそが、免疫異常の出発点になると言うのが、佐藤先生のお考えです。
また精神的ストレスは、一酸化窒素や活性酸素を増加させ、痒みを増やすと言われています。
スキンケアと、アレルギー、精神的ストレス、この3者を関連づけた治療が必要だと痛感しました。
2010年11月25日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2010.11.25
カンガルギー情報 第60回日本アレルギー学会①
11月25日から、第60回日本アレルギー学会秋季学術会議がはじまりました。
会場は、東京国際フォーラム。
新橋の宿舎から、会場まで、朝の散歩を楽しみました。
初日の朝の講義は「免疫理論に基づいた免疫療法をめざして」
会場には30分前に入り、一番乗りでした。
免疫療法は、原因抗原を与える(皮内に注射したり、口に含ませたり)することで、調節Tリンパ球を増やし、アレルギーを治療する方法です。
喘息に対して、ダニ抗原を、ハチアレルギーに対して、ハチ毒抗原を、花粉症に対して、スギ抗原の舌下免疫療法を。
さまざまな試みがなされています。
アレルギー症状を引き起こす抗原を投与することで治療するわけですから、当然アナフィラキシーが起きる危険性があります。
食物アレルギーでの「少し食べ治療」を行う時にも、同じ事が言えます。
効果と安全性が両立する治療法が、早く一般化されるといいですね。
2010年11月25日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏