カンガルーの小部屋

  • 2011.02.24

    かんがるう目線 うれしい子育て支援策

    新聞紙面の片隅に、うれしいニュースを見つけました。

    兵庫県相生市が、思い切った子育て支援策を予算案に計上したというニュースです。

    ○市立幼稚園の保育料無料化。私立幼稚園の保育料月8000円軽減。

    ○市立幼稚園で午後4時半までの預かり保育

    ○幼稚園・小中学校の給食費無料化

    ○小中学校の通学費無料化

    ○中学卒業まで子どもの医療費無料化

    ○その他、新婚世帯の家賃補助や出産祝いなど

    たまたま、相生市から、食物負荷試験に来られていたおかあさんにお聞きしました。

    「市の動きは知っています。助かりますが、財源をどうするのでしょうかねえ・・」と、うれしさと心配とが混じり合ったお答えでした。

    毎年、4月が近くなると、外来診察が少し憂鬱になります。

    兵庫県では、乳幼児医療費無料制度は小学3年生までで、小学4年生から3割負担になります。

    喘息の吸入薬、抗アレルギー薬、アトピー性皮膚炎の外用薬など、アレルギーのお薬は高価なものです。アレルギーの血液検査も、安いものではありません。乳幼児医療費無料制度が適応されている間は感じないのですが、小学4年生になり乳幼児医療費無料制度から外れると、医療費の重さが、ずっしりと家計にのしかかります。

    2月3月になると、乳幼児医療費が無料の間にと、駆け込み検査や投薬を希望される方が増えます。

    なんだか切ないような、申し訳ないような気持ちになります。

    今、おかあさんの心配に、輪をかけるような問題が持ち上がっています。

    兵庫県では、平成23年度から、乳児医療の受給者資格を大きく変更しようとしています。これまでは一世帯の最高収入者の扶養家族として資格審査されていたものを、一世帯合算収入の額で、乳幼児医療費支給の適否を決めようとする変更です。

    これにより、兵庫県では5万を超える世帯が乳児医療無料制度の対象外になる見通しです。

    小学4年生をまたずに、この4月から医療費が急増するご家庭が増えることになります。

    政治の大きな役割は、お金をどのように使うのかということです。

    限られた財源を、どの分野に優先してお金を投じていくのか。それが政治の姿勢です。

    私には、県政のような大きなことは分かりませんが、家計の規模に落とし込むと、何を優先してお金を使えば良いのか、考えないわけではありません。

    子どもの健康のために、質の良い食べ物や医療費にはお金を惜しみたくはありませ。

    子どもの心の発達のためには、学費や書籍の購入、たまには映画に出かけたりする支出も節約しないようにしています。

    家計の中で、支出を子どものことに振り分けるのが第一優先。これは、多くのご家庭でも同じ想いでしょう。

    そんな常識が、政治の世界になると通用しなくなります。

    私など、一度も使ったことがない空港に巨費が投じられたり、むだな交際費に浪費されたり、ご家庭であれば「おとうさん役」失格です。

    相生市の英断から兵庫県政まで、話は広がりすぎました。

    新聞のニュースを読み返しながら、子どもの健全な育ちを、みんなで見守り育てる社会でありたいと、こころから願いました。

                          2011年2月24日

                          いたやどクリニック小児科 木村 彰宏