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2012.01.09
カンガルーの本棚 思い出の一冊に
阿部彩さんの「弱者の居場所がない社会」(講談社現代新書)を、読みました。
阿部さんは、前著「子どもの貧困」(岩波新書)で、一躍時の人となった研究者です。
「貧困」とは、生活水準を保つための資源の不足を表す言葉。
「社会的排除」とは、社会における人の「位置」や、人と人との「関係」、人と社会との「関係」に関わる言葉。社会から追い出されることと説明されています。
216ページの本が、サイドラインで真っ赤になりました。
医療生協がどこに向かうべきなのか、その原点を教えてくれたように思います。
この本を、100歳で亡くなった父の通夜の席で読みました。
じっとしていると眠くなるので、会場内を歩き回りながら読みました。
父と私とは、生き方は違います。
けれど、本が大好きで、書くのが大好きで、人と話しするのが大好きで、そんな好奇心のかたまりのようなところは、父譲りです。
自分が何を願うのか、社会に対して何を貢献していけるのか、これからの生き方を、考え考えながら読みました。
わたしの、読書生活の中でも、思い出となる一冊になりました。
2012年1月9日
いたやどクリニック小児科 木村 彰宏
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2012.01.09
クイズで長英先生 その3答え
【問題その3】
高野長英先生は、時の政府を批判したとして逮捕されました。
では、この時の言論弾圧事件は、何と呼ばれているでしょう?
A:番茶の獄
B:蛮社の獄
C:番犬の獄
第3問は、1839年(天保10年)に長英先生が陥れられた、言論弾圧事件についての問題です。
天保年間には、蘭学が盛んになり、研究と知識の交流をしようという動きがおきました。
渡辺崋山は、そうした動きの中心的人物で、高野長英や小関三英は、崋山にオランダ語を翻訳し、情報を提供する役割であったと言われています。
この潮流は、主流派の国学者たちからは、蔑みをこめて「蛮社」(南蛮のグループ)と呼ばれました。
蛮社の獄の弾圧の首謀者である鳥居耀蔵は、幕府の文教部門を代々つかさどり、体制の番人をもって任ずる「林家一門」の出身でした。
そのため、蘭学を憎しみ敵対し、長英たちの弾圧にふみきりました。
第3問の答えは、B:蛮社の獄が、正解です。
A:番茶を飲んでいて、捕まった事件ではありません。
C:ナナやハッちゃんのような、番犬にまつわる事件でもありません。
2012年1月9日
いたやどクリニック小児科 木村 彰宏