カンガルーの小部屋

  • 2012.10.18

    カンガルーの本棚 いま一度

    辻村深月さんの「ツナグ」(新潮文庫)を、読みました。

    辻村作品は初めてなのですが、同名映画の上映にひかれて、手にとりました。

    生きている人と、死んだ人を、ひとりだけ、一度だけ再会させるという3つのお話。

    「死者の目線に晒されることは、誰にだって本当は必要とされているのかもしれない。

    どこにいても何をしていてもお天道様が観ていると感じ、それが時として人の行動を決めるのと同じ。見たことのない神様を信じるよりも切実に、具体的に誰かの姿を常に身近に置く。

    あの人ならどうしただろうと、彼らから叱られることさえ望みながら、日々を続ける。」

    414pに書かれている一文が、心に深く残りました。

    講演会の準備に明け暮れる日々に、勇気を与えてくれる一冊です。

    2012年10月18日

    いたやどクリニック小児科 木村 彰宏