カンガルーの小部屋

  • 2016.12.31

    カンガルーの本棚 道を究める者たち

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    木内昇さんの「櫛挽道守」(集英社文庫)を、読みました。

    幕末の木曽路を舞台に、櫛作りに命を懸ける職人たちの物語。

    女の身で、父の技を受け継ごうとする主人公「登瀬」。

    弟の早世、妹の不本意な結婚生活、そして夫を受け入れることができない日々

    物語は、主人公の弟が書き残した絵草子を読み、

    こらえていた思いに涙することで、夫が背負ってきた苦難に気づき、

    夫婦が競うように櫛づくりの高みを目指すところでページを終えます。

    今年105冊目となる小説は、

    読み終えた後も、しばらく心の高まりが鎮まらない作品でした。

    また一冊、心に残る本に巡りあえました。

    今年一年、ブログにお付き合いいただきまして、ありがとうございました。

    2017年も、引き続きよろしくお願いいたします。

             2016年12月31日

             いたやどクリニック 木村彰宏