カンガルーの小部屋

  • 2024.01.04

    カンガルーの本棚 耽美な世界に

    乙川優三郎さんの「麗しき果実」(徳間文庫)を読みました。

    時は江戸後期の文政年間

    宍道湖近くで生まれた主人公「理野」が、

    兄とともに、江戸へ蒔絵修行に出かけるところから始まります。

    原羊遊斎、酒井抱一、中山胡民、鈴木其一など、

    著名な人々との出合いが、理野を育て悩ませます。

    芸術の奥義に挑もうとする主人公の心意気が、胸に迫ります。

    蒔絵や日本画の、専門用語に囲まれて、

    理解が追い付かずに、ページをめくる手がとまり

    読み上げるのに、1週間という時間と、想像力を要した作品です。

    2024年1月4日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏