2020.06.06
カンガルーの本棚 ゆるし
遠田潤子さんの「オブリヴィオン」(光文社文庫)を、読みました。
ふとしたはずみで、最愛の妻を死なせてしまった森二
父親から虐待され、生き延びて、
あきらめていた末につかんだ幸せな家庭を、
自分の手で壊してしまう 男の絶望
タンゴの名曲「オブリヴィオン」の深い音色がつつみます。
忘却と赦しという、ふたつの意味を持つオブリヴィオンという
言葉に込められた哀しみの中で、
それでも前を向いて歩こうとする、主人公の姿に救われます。
2020年6月6日
いたやどクリニック 木村彰宏