カンガルーの小部屋

2021.06.22

げんきになって 4人の部屋で

入院すると決まった時に、尋ねられたのが部屋のこと

個室は静かだけど、寂しいし

大部屋は、気持ちがやすまらない

でも、カンガルーの性格からして、ひとりっきりは耐えられない

そこで選んだのが、4人の部屋

疲れている時には、まわりを気にしないで眠れるのですが、

夜半に目覚めると、まわりの音が聞こえてくる

それでも、ひとりでもお知り合いを見つけたいと生活をし、

わたしより年長の、5人のかたとお話ができました。

ひとりの男性は、落語が趣味「上方の桂枝雀さんがいいです」と

老化を歩いていた80代の男性とは、生活上のこころがけ

わたしより年下の男性からは、「いたくなかったですか」と感想を求められます

ロビーでであった80を超えた女性からは、

夕陽を見ながら これからしてみたいことをお聞きします

満州で生まれ、必死に引き上げてきたこと

働き詰めの母は、とても厳しく 自分も気丈夫に育ったこと

魚河岸関係で働き、仕事しかないと思っていたのが、

いま刺繍をしてみたいと

昔はお金がなく、シーツの切れ端を細かく裂いて刺繍に使っていたが

自分のお金で、本物の刺繍糸が手に入った時は本当にうれしかったと

最後は同室の80代の男性

パソコン画面に向かっていたわたしとの出会いがうまくいかずに、

無言で、10日あまりを過ごしていました

ロビーの離れた席で夕陽を見つめていた時に、

勇気を出して「きれいですね」と笑顔で声をかけると

「この近くに住んでいるので、この夕陽はよくみますよ」と親しげな顔

ふだんはご高齢のかたとお話する機会はないのですが、

いつのまにか、わたしもご高齢のご一族

どこで生まれ、どんなふうに育ち、何をされてきたのか

失礼にならない範囲で、お聞きしたいことをたくさん見つけました。

2021年6月22日

いたやどクリニック 木村彰宏

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