2023.10.01
カンガルーの本棚 表からでは
町田そのこさんの「うつくしが丘の不幸の家」(創元文芸文庫)を読みました。
新しく開けた街に立つ「不幸の家」と呼ばれる一軒家。
物語は、その呼び名を知らずに引っ越してきた理容師の一家から始まります。
何故この家が「不幸の家」と呼ばれているのか。
時はさかのぼり、恋人を妊娠させてしまった高校生とその母
幼い娘を抱えたシングルマザーとその友人の不仲と和解
不妊治療に悩む夫婦
そして、誰からも愛されないとい持っている女性
この家に住むと、誰もが不幸になってしまう。
しかし、この家を去るときに、どの家族も笑顔で前を向いて出ていくことを
誰も知らないのです。
町田さんは、悩み絶望し、それでも歩き始める家族をやさしく見つめます。
カンガルーのお勧めの本が、また1冊増えました。
2023年10月1日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏