2024.09.02
カンガルーの本棚 まずは外見から
山本甲士さんの「わらの人」(文春文庫)を読みました。
街中にある散髪屋さんの女性の店長は、ひとりでお店を切り盛りしています。
あまりにも心地よいマッサージに、心と体をゆだねていると、
耳もとで、なにやらボソボソと声がします。
夢心地の中で、適当に相槌を打ち、
目覚めて鏡に映る姿を目にすると、
そこには、まるで別人の姿が座っています。
パワハラに負けそうになっている女性の事務員
建設会社の不正行為に憤りながら、事故で記憶喪失に陥ってしまった男性
就活がうまくいかず、実家の家業を継いでみようかと悩んでいる女子大生
会長の孫のパワハラに、心が折れそうになっている男性
街を夕顔で飾ろうと奮闘する、おじいちゃんと孫
だれもが散髪屋さんで知らぬ間にイメージチェンジをされ、
勇気をもって自分の人生を切り開いていく
痛快で、大きな教訓をいただけた一冊です。
2024年9月2日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏