2010.10.19
カンガルーの本棚 傷ついたキャンパス
島誠一郎さんが書かれた、「無言館を訪ねて」(講談社)、「傷ついた画布の物語」(新日本出版社)を読みました。
先日、信州上田市の戦没画学生美術館「無言館」で、買い求めた2冊です。
残された一枚の絵が描かれるまでに、ひとりの青年が歩んできた道のり。
描くことを断ち切られた青春を受けとめる、父や母、妻や子どもたちの慟哭。
残された絵は、その悲しみを何も語りません。
ただ、静かに人間の生き方を、問いかけます。
愛犬を連れたお散歩の途中で、丘の上の「無言館」が、急に目の前に現れそうな気がします。
2010年10月19日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏