カンガルーの小部屋

2011.07.31

カンガルーの本棚 7月最後の

重松清さんの「季節風・夏」(文春文庫)を読みました。

7月最後の日に、滑り込みの形で読みました。

これで、7月の読書は9冊目。

「年に100冊以上を読むぞ」という、年初の誓いは、いいペースで進行中です。

この短編集は、夏にちなむ12のお話。

わたしは、この中で、父の再婚を描いた「ささのは さらさら」

死に行く父をみつめる「タカシ丸」が好きです。

文庫本のあとがきの中で、重松さんは次のように書かれています。

「思えば、四季の中で夏ほど『終わり』の似会う季節はない。『終わり』があるからこそ、光り輝くものがある。『終わり』があるからこそ、新しいなにかが始まるだろう。『終わり』があるからこそ、生きることのすべては、かけがえのないものになる。」

「僕たちは誰もがいま、とても大きな『終わりの後の始まりの前』にいるのだろう。でも、いつか、僕たちは歩きだす。『終わりの後の始まり』を生きる。生きて行こう。生きていかなければならない。『終わりの後』を持ち得なかった何万人ものひとびとのためにも」

夏の一日、人と家族を思いやる一冊に、巡り合えました。

2011年7月31日

いたやどクリニック小児科 木村 彰宏