カンガルーの小部屋

2010.03.08

聴診器のむこうに 何回跳べるの

2年生のおねえさんが縄跳びの話をします。

「わたし、2重跳びが9回跳べるの」とうれしそう。

それをきいて、「先生は何回跳べると思う?」と質問しますと、「何回かなあ、わたしより多いかなあ。10回以上かなあ」と言います。

「無理!正解は0回です」と伝えます。

それを聞いていたもうすぐ一年生のいもうとさんが、「わたしは、前まわり1回」と言います。

再び「先生は何回跳べると思う?」と質問しますと、「10回!」と、おねえさんと同じように答えます。

「正解は0回です。先生は手を回すと、足では跳べません。足で跳ぶと、手は回りません。」と言いますと、不思議なものを見るような目でみつめます。

「でも、大人になったら、こうしてお話ししながら、カルテも書けるようになったでしょ。」と人間発達の神髄をお話ししますと、「それだけなん~」と見事に否定されてしまいました。

そうです。

二重跳びや前まわりができるあなた達の方が、よほどに立派ですよ。

でも、おとなの中にはクリニックの事務長さんのように、同時に10個の違う種類の仕事をこなせる大人の達人もいますので、わたしを大人の代表と思わないでくださいね。

                       2010年3月8日

                       いたやどクリニック小児科 木村彰宏