カンガルーの小部屋

2010.03.19

聴診器のむこうに 手の甲のメモ

中学2年生の男の子が来られました。

診察を終え、左手の甲を見ますと、マジックで「バラ肉 買う」と書いてあります。

お使いを頼まれたのかと思い尋ねますと、「いいえ、学校で、みんなで一緒に食べるものを作るので」と答えます。

「何を作るの?」と問いかけますと、お好み焼きという答え。

わたしの大好物です。バラ肉抜きのお好み焼きはおいしくありません。バラ肉買い係りはとても重要な係りです。

「じゃ、今から買いに行くんだ」と尋ねますと、「水曜日に」と答えます。

えっ、水曜日!。今日は木曜の夜だから、金曜、土曜、日曜、月曜、火曜、水曜とあと6日間。顔を洗ったり、お風呂に入るたびに、手の甲のメモは消えそうになります。

そのたびに、もう一度、メモを書き直すのでしょうか。

手の甲のメモの行く末が、とても気になる診察になりました。

                       2010年3月19日

                       いたやどクリニック小児科 木村彰宏