カンガルーの小部屋

2010.03.28

クリニックだより 肺炎球菌講演会に出かけました

3月27日、肺炎球菌ワクチン(プレベナー)の講演会に出かけました。

【肺炎球菌により起こる病気】

全身感染症には、化膿性髄膜炎、菌血症、肺炎があります。肺炎では、2才以下子どもさんと65才以上のご高齢の方の主たる原因になります。

局所粘膜感染症には、反復性中耳炎があります。

【肺炎球菌ワクチンの効果】

肺炎球菌ワクチンは、化膿性髄膜炎を94%、肺炎を26%、反復性中耳炎を43%減少させることが分かっています。

また、肺炎球菌は自然感染により、多くの子どもがキャリアーになります。ある調査では、保育所に入所する前の保菌率は20%ですが、入所後は数が月で80%の保菌率になります。肺炎球菌は、この自然感染を低下させて集団免疫力を高めます。

【安全性】

接種後は、接種した部位の発赤腫脹が見られます。しかし、全身アナフィラキシーの報告はありません。

【対象年齢】生後2か月から9才以下までの子どもさんが対象です。

【接種スケジュール】

○2か月~6か月       初回免疫3回 + 追加免疫1回

○7か月以上、12か月未満  初回免疫2回 + 追加免疫1回

○12か月以上、24か月未満 初回免疫1回 + 追加免疫1回

○24か月以上、9才以下   1回接種のみ

【同時接種】

三種混合ワクチンや、ヒブワクチンなど、他の不活化ワクチンとの同時接種が可能です。

以上が、講演会で学習した内容です。

【感想】

肺炎球菌による全身性の感染症(侵襲性感染症)の予防の重要性を再学習しました。

接種スケジュールに従って接種をしますと、費用が高額になります。

ワクチン接種の重要性が明らかなだけに、公費負担の制度化が最優先でなされるように、大きな声を上げていかなければならないと思いました。

                       2010年3月28日

                       いたやどクリニック小児科 木村彰宏