カンガルーの小部屋

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  • 2012.12.16

    かんがるう目線 今日は投票日

    今日、12月16日は、衆議院議員選挙の投票日です。

    今回の選挙は、脱原発か否か、TPPへの参加の是非、憲法改正への論議、増税への態度、経済成長の道筋震災復興への支援策、沖縄基地問題、島嶼を巡る国際緊張への対処、などなど、さまざまな争点があげられます。

    争点への対応の少しずつの差から、多くの政党が生まれ、わたし達の判断を苦しめます。

    その中で、次のような新聞記事に出会いました。

    毎日新聞11月23日付朝刊記事ですから、少し古いのですが、再掲します。

    「自助とは、共助や公助との相互作用によって初めて機能するものだ。自助を強調するだけで自助が果たされるなら、社会も政府も不要だ。

    注目したいのは、「自助」を唱える人々が、外交では強硬路線、経済では競争至上主義、組織論ではトップダウンを主張する一方、「共助・公助」を唱える勢力は、外交では協調路線、経済では創意工夫・内発的発展・環境調和、組織論では多様性の尊重を唱え、政治理念や路線、政策の「パッケージ化」が進みつつあることだ。

    今回の総選挙が、こうした大きな社会構想の選択につながることを、私は望んでいる。」

    論者は、「年越し派遣村の村長」としても知られている湯浅誠氏です。

    今の日本が直面している問題を、分かりやすく2つのパッケージにまとめられています。

    どのパッケージを取るのかは、その人の自由です。

    でも、威勢のよいパッケージ柄に踊らされて、お得袋を買った結果が、戦争への道につながる事だけは避けたいものです。

    一票の力は、一票分しかありません。

    それでも、白紙委任をしないで、この国の将来を決める投票に行きましょう。

    2012年12月16日

    いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

  • 2012.10.29

    かんがるう目線 ナンパ論争

    土曜日の午後に開かれた、高校の同窓会。

    属していた軟式テニス部の集まりです。

    わたしのホームページを伝に、先輩から連絡をいただいて、

    同期の3名が連れだって、参加します。

    会の終わりごろ、北新地の飲食店組合の理事長を務めている同級生が、

    「高校の時は、いや、よう遊んだな」と、発言します。

    「ミナミにも、よく、ナンパにいったし」

    進学校に学んだ、わたしの高校時代の思い出は、勉強に次ぐ勉強。

    自分たちのごく近くに、そんな別世界があったとは、驚きです。

    夕刻からの講演を控えて、アルコール抜きの同窓会も、

    その時ばかりは、きつーいお酒を飲んだ後のように、

    ドキドキしました。

    2012年10月29日

    いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

  • 2012.05.12

    かんがるう目線 なつかしい顔

    5月12日夕方から、中学校の同窓会に参加しました。

    450人、10クラスの中学でしたので、仲良く過ごしていた10名くらいの同級生の他は、とても残念なことに、お互いに記憶の外。

    それでも、記憶に残る顔を見つけては、話しかけます。

    卒業してから45年の年月が流れました。

    それぞれに、山あり谷ありの人生を、精一杯生きてきたのだと思うと、胸が熱くなります。

    15才の自分が、会場の片隅から今の私を見ているようで、これからも健康に恵まれる限り、みなさんのお役にたてるよう、仕事を続けていきたいと思いました。

    2012年5月12日

    いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

  • 2012.01.02

    かんがるう目線 今年いちねん

    あけまして、おめでとうございます。

    元旦は、雲の多い朝になりました。

    ハッちゃんを連れてのお散歩は、少し遠出をします。

    おとうさんの、おとうさんの、おとうさんの、おとうさんの、ず~っと昔から、初日の出を見て、人は一年の誓いをしてきました。

    ○患者さんにとり、信頼され、優しい臨床医であること

    ○前進座の公演を成功させること

    ○食物アレルギーの教科書の改定版を出すこと

    ○全国学会で、いくつかの発表をすること

    ○引き受けた講演は、誠実にやりとげること

    ○本をたくさん読むこと

    ○家族といろんな時間を共有すること

    ○ナナとハッちゃんを、お散歩に連れていくこと

    ○しっかり食べて、しっかりと眠り、健康に気をつけること

    たくさんの新年の誓いをする間、ハッちゃんは神妙に待っていてくれます。

    今年も、いい年でありますように。

    2012年1月2日

    いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

  • 2011.12.12

    かんがるう目線 100歳讃歌

    午後の診察を終え、大阪の父を見舞いに行きました。

    今日は父の100回目の誕生日。

    おめでとう。

    わたしの声が届いているのかどうか、返事は握り返す手のぬくもりだけ。

    1から100まで数を数えながら、100歳をふり返ります。

    1才、はじめての誕生日。

    農家の六男坊では、お祝いはあったのかなっ。

    10才のお誕生日は、野良仕事。

    16才のお誕生日は、陸軍士官学校で鍛錬の日々。

    20才のお誕生日は、大陸を駆け回り、

    34才のお誕生日は、新生日本、父には失意のはじまり。

    40才のお誕生日は、わたしの父役の第一歩。

    100までを数えながら、わたしが知る父、わたしが知らない父の姿を思い浮かべます。

    100才のお誕生日、おめでとう。

    2011年12月12日

    いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

  • 2011.09.09

    かんがるう目線 六甲アイランドで

    9月6日、六甲アイランドで、学校給食の食材を作られているメーカーさんと、懇談会をしました。

    お昼を食べながら、食物アナフィラキシーや、食品成分表示、学校給食のことなどを話し合いました。

    今、神戸市では中学校給食を完全実施させようと、署名活動が始まっています。

    人生の出発点にあたる中学時代に、しっかりと食べ体を作っていくことが、まともな大人に育っていく上での基本です。

    ご家庭の事情により、子どもの食生活が左右されることは、子どもの不幸であり、社会の損失だと思います。せめて昼食だけでも、温かくて栄養的にもしっかりと考えられたものを食べてもらいたいと、署名を集めていますとお伝えしました。

    食品メーカーさんも、中学校給食には大きな関心を持たれ、ウーロン茶で乾杯をしながら、エールの交換となりました。

    食物アレルギーがある子どもにも対応できる、質の高い中学校給食の実現にむけて、微力を尽くしたいと思います。

    2011年9月9日

    いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

  • 2011.06.11

    かんがるう目線 3か月が過ぎて

    3月11日、あの日から、3か月が過ぎました。

    被災された方には、短くもまた、長くもある一日、一日であったろうと思います。

    しかし、震災はまだ終わったわけではありません。

    住むところを失い、働くところ、学ぶところを失った方がおられる限り、震災は続いています。

    淡路の洲本市に講演に出かけたおり、職員の人と防災計画について話をする機会を得ました。

    洲本市は、直接外洋(太平洋)に面している訳ではありませんが、それでも南海地震が発生した時には、数メートルの津波が心配されています。

    その海岸近くに、県立病院の移転工事が進められています。

    バスターミナルに立ち、教えられた建設クレーンと、海岸線までを見渡すと、距離にして数100メートル。おまけに川沿いの土地です。

    これは、大変だなと思いました。

    病院の生命線である、ボーラー設備や非常用電源設備は、どこに置かれるのでしょう。

    電気や水道が止まった病院が、機能しなくなることを、わたし達は東北の地で見てきました。

    心配ついでに、帰宅後に新病院の整備計画を、ホームページで調べてみました。

    一番気になる電気・機械設備は、川沿いの別棟の1~3階部分。

    もちろん津波の高さを考えてのことでしょうが、今回の東日本大震災のあと、計画を見直されたのかなと心配です。

    3か月がたち、今なお続く大震災。

    被災地への支援と共に、地元での防災計画の見直しを、中身あるものにしていかなければならないのだなと、痛感しました。

                          2011年6月11日

                          いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

  • 2011.05.09

    かんがるう目線 いろいろな支援

    20数年続いている「神戸発達勉強会」

    参加された小学校の先生から、素敵なお話をお聞きしました。

    女先生の息子さんは、今年高校に入学。

    おとうさんが、息子さんに、こう話されたそうです。

    「震災の募金をしたら、その4倍の額を、おとうさんも上乗せして募金するからね。」

    入学のお祝いにいただいたお金の中から、息子さんは2万円を募金に回すと言いました。

    おとうさんは「ムムム・・」

    それでも、おとうさんは8万円をたして、10万円を郵便局の募金窓口に、持って行かれたそうです。

    この話をお聞きして、おとうさんの胸中を察して、苦笑しました。

    子どものことだから、どうせ数千円の額だろうと、読み間違われたおとうさん。

    息子さんは、おとうさんの思惑よりも、ずーっと大人になっていました。

    それでも、息子さんとの約束を守って、なけなしのお金を出されたおとうさん。

    このお金は、息子さんにも、おとうさんにも、その額以上の価値がありそうですね。

    いろいろな支援。

    わたしも、ずーっと、ずーっと息長く、支援を続けたいと思います。

                          2011年5月9日

                          いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

  • 2011.05.06

    かんがるう目線 おひるごはんを食べながら

    連休明けの金曜日、いつもの定食屋さんでお昼をいただきました。

    おはしを動かしながら、お行儀わるく、新聞に目を通します。

    読売新聞5月5日号の「こどもの詩」

    詩人の長田弘さんが選ばれた、子どもの詩に目が留まりました。

    大好きな私のランドセル   大津 暖(はる)

    大好きな私のランドセル

    大好きな水色のランドセル

    たった2年でさよならしたよ

    大好きな私のランドセル

    今日から赤いランドセル

    大じに 大じにつかいます

         (岩手県大船渡市・越喜来小3年)

    暖ちゃんのやさしさと、悲しみが、わたしのこころに押し寄せて、

    ごはんが喉を通らなくなりました。

    暖ちゃん。

    あたらしいランドセルを、いっぱい大事にしてあげてくださいね。

                          2011年5月6日

                          いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

  • 2011.05.03

    かんがるう目線 おめでとう64才

    64年前、この国に、新しい指針が作られました。

    名前を、「日本国憲法」と言います。

    憲法は、その国の今と、未来を指し示す指針です。

    その国を、どのような国にしたいのかという、その大きな理想のもとで、みんなは力を合わせて働きます。

    何を作って生活するのか、子どもの教育はどうするのか、困っている人はどのように助けるのか、よその国とのもめごとは、どのように解決するのか、などなど。

    その時々の課題で、なにを選択すればよいのかと迷う時に、憲法は、わたし達の行き先を、ゆるぎなく指し示してくれます。

    最近、心に残る一文に出会いました。

    岩波書店刊「世界」5月号の中で、内橋克人氏が大震災に寄せられた一文です。

    「分断、対立、競争に代えて、連帯、参加、協同を原理とする、足腰の強い『共生セクター』へ向けて・・」

    連帯、参加、協同という原理は、憲法を育てていく上での基本のように思います。

    そして、わたし達、医療生協の活動の基本です。

    おめでとう、64才。

    憲法が指し示す、豊かな未来へと続く道を、医療生協と共に歩んでいこうと思います。

                          2011年5月3日

                          いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

  • 2011.03.10

    かんがるう目線 0時7分

    午前0時7分、66年前の3月10日。

    東京に、火の雨が降りました。

    一夜にして、10万人以上の方が、亡くなられました。

    いまの世の中で、人ひとり亡くなるということは、大変なことです。

    亡くなった人の数が、10万を超えるといわれると、わたしには、その大変さは、想像ができなくなります。

    でも、それは66年前に、実際におこった事実なのです。

    ひとりひとりの命を、大切にすること。

    それが、66年後のいまを生きる、わたし達にできること。

    亡くなった方々のお気持ちを、引き継ぐことでしょう。

                          2011年3月10日

                          いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

  • 2011.02.27

    かんがるう目線 夢を語る講演会

    2月26日、誘われて内科の研究会に出かけました。

    テーマは、病院経営と、糖尿病。

    お話をされた二人の先生は、大学の教授を勤められ、現在は市中の病院の院長先生。

    病院運営のスタイルは異なるものの、教えられるところが大きい演会でした。

    「夢を持てなくなると、精神的老化が始まる」と、語られます。

    秋以来、体調を崩して自信が揺らぎ、自分に負荷をかけることに躊躇していました。

    もちろん外来診療や講演会、執筆などの活動は続けていますが、自分自身なにか物足りなさを感じていました。

    散歩をしながらも、読書をしながらも、何かが足りない。

    お二方の講義を聴きながら、今わたしに欠けているものに気付きました。

    それは、今に満足するのではなく、今を変えていくこと。

    夢をもち、夢に向かって突き進むこと。

    自分の体調とうまく付き合いながら、もう一度「大きな夢」をみる生き方を探ろうと思いました。

                          2011年2月27日

                          いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

  • 2011.02.24

    かんがるう目線 うれしい子育て支援策

    新聞紙面の片隅に、うれしいニュースを見つけました。

    兵庫県相生市が、思い切った子育て支援策を予算案に計上したというニュースです。

    ○市立幼稚園の保育料無料化。私立幼稚園の保育料月8000円軽減。

    ○市立幼稚園で午後4時半までの預かり保育

    ○幼稚園・小中学校の給食費無料化

    ○小中学校の通学費無料化

    ○中学卒業まで子どもの医療費無料化

    ○その他、新婚世帯の家賃補助や出産祝いなど

    たまたま、相生市から、食物負荷試験に来られていたおかあさんにお聞きしました。

    「市の動きは知っています。助かりますが、財源をどうするのでしょうかねえ・・」と、うれしさと心配とが混じり合ったお答えでした。

    毎年、4月が近くなると、外来診察が少し憂鬱になります。

    兵庫県では、乳幼児医療費無料制度は小学3年生までで、小学4年生から3割負担になります。

    喘息の吸入薬、抗アレルギー薬、アトピー性皮膚炎の外用薬など、アレルギーのお薬は高価なものです。アレルギーの血液検査も、安いものではありません。乳幼児医療費無料制度が適応されている間は感じないのですが、小学4年生になり乳幼児医療費無料制度から外れると、医療費の重さが、ずっしりと家計にのしかかります。

    2月3月になると、乳幼児医療費が無料の間にと、駆け込み検査や投薬を希望される方が増えます。

    なんだか切ないような、申し訳ないような気持ちになります。

    今、おかあさんの心配に、輪をかけるような問題が持ち上がっています。

    兵庫県では、平成23年度から、乳児医療の受給者資格を大きく変更しようとしています。これまでは一世帯の最高収入者の扶養家族として資格審査されていたものを、一世帯合算収入の額で、乳幼児医療費支給の適否を決めようとする変更です。

    これにより、兵庫県では5万を超える世帯が乳児医療無料制度の対象外になる見通しです。

    小学4年生をまたずに、この4月から医療費が急増するご家庭が増えることになります。

    政治の大きな役割は、お金をどのように使うのかということです。

    限られた財源を、どの分野に優先してお金を投じていくのか。それが政治の姿勢です。

    私には、県政のような大きなことは分かりませんが、家計の規模に落とし込むと、何を優先してお金を使えば良いのか、考えないわけではありません。

    子どもの健康のために、質の良い食べ物や医療費にはお金を惜しみたくはありませ。

    子どもの心の発達のためには、学費や書籍の購入、たまには映画に出かけたりする支出も節約しないようにしています。

    家計の中で、支出を子どものことに振り分けるのが第一優先。これは、多くのご家庭でも同じ想いでしょう。

    そんな常識が、政治の世界になると通用しなくなります。

    私など、一度も使ったことがない空港に巨費が投じられたり、むだな交際費に浪費されたり、ご家庭であれば「おとうさん役」失格です。

    相生市の英断から兵庫県政まで、話は広がりすぎました。

    新聞のニュースを読み返しながら、子どもの健全な育ちを、みんなで見守り育てる社会でありたいと、こころから願いました。

                          2011年2月24日

                          いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

  • 2011.02.17

    かんがるう目線 友の訃報

    外来診察の途中に入った、同級の開業医師からの知らせ。

    「いい話では、ないんやけどな・・・」

    電話は、同級生の突然の死を告げるものでした。

    死因は、冬山での滑落死。

    言葉を失い、足が震える思いがしました。

    亡くなった彼とは、もう20年近くも顔を合わせずにいました。

    お互いに大学院に進んだ後、彼が選んだのは腎疾患から、小児救急の道。

    新生児医療から、アレルギー医療へと進んだ私とは、交わる道もなく、やがて年賀状を交わすだけの仲となりました。

    その後の彼が積み上げていった功績は、同級生の自慢の種となりました。

    神戸市内の大病院の院長。東京の大学の小児科教授。そして小児救急医学会の理事長。

    持ち前の人柄と、情熱と、日々の研鑽が、彼を必要とする人の輪を広げていったのでしょう。

    でも、訃報に接したあと、思い出すのは、研修時代の笑顔。

    もう、35年も前の話です。

    同じ大学の小児科に入局したのは14名。

    先輩医師が帰宅したあとも、誰が一番遅くまで病棟に残っているのかという、妙な競争をしました。

    上背があり、目尻を下げて、人なつっこく話しかけてくる笑顔。

    困ったことがあると、少し眉をよせて、真剣に話を聞いてくれる親身さ。

    誰もが、そんな彼に魅了されたものです。

    子どもさんを背中にしょって、上高地から穂高まで駆け上がった武勇伝。

    夏休みには、山岳診療所に詰めて過ごした無心さ。

    山が大好きな彼は、雪の山に還って行きました。

    山田至康くん。

    心から、ご冥福をお祈りいたします。

                          2011年2月17日

                          いたやどクリニック小児科 木村 彰宏

  • 2011.01.11

    かんがるう目線 冬本番

    暑い夏の年には、冬の寒さも、とりわけ厳しい

    そんな事を、どこかで聞いたよな気がします。

    北側の緑道には、元日に降った雪が残っています。

    何枚も何枚も着込んで、帽子に手袋に

    それでも、寒さは、身体にしみこんできます。

    「ナナちゃん、ハッちゃん、今日のお散歩は、これでおしまい」

    いつもより、半分の長さで戻りますと、新聞の読者の文芸欄に

    ひとつの詩を見つけました。

    「冬」と題された、愛知県の沢田まりさんの作品です。

    なんと前向きで、意気高い心持ちなのか

    今日いちにち、閉じこもってばかりいないで

    からだを動かす勇気をもらえたように思いました。

    冬  沢田 まり

    北風がビューッ ビューッと吹き始めると

    やたらと嬉しくなってしまう

    寒いのはかなわん と言いながら

    心はワクワクしてしまう

    冬に生まれたからではあるまいが

    キッパリとした冬が

    たまらなく好きだ

    走り出したくなる衝動に

    犬をつれて散歩に飛び出す

    深呼吸を一つ

    冷たい空気が血流に乗って

    体中を駆けめぐる

    ウーッと一声

    細胞のすみずみまで

    生命が行きわたる

    たまらない冬が来た

                           2011年1月11日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.10.17

    かんがるう目線 無言館

    講演の帰路、無理を言って、上田市の「無言館」に連れて行っていただきました。

    戦没画学生慰霊美術館。

    展示の内容は、奥正面に掲げられている、窪島誠一郎氏の言葉が、その全てを語っています。

    「あなたを知らない」

    遠い見知らぬ異国(くに)で死んだ 画学生よ

    私はあなたを知らない

    知っているのは あなたが遺したたった一枚の絵だ

    あなたの絵は 朱い血の色にそまっているが

    それは人の身体を流れる血ではなく

    あなたが別れた祖国の あのふるさとの夕灼け色

    あなたの胸をそめている 父や母の愛の色だ

    どうか恨まないでほしい

    どうか咽かないでほしい

    愚かな私たちが あなたがあれほど私たちに告げたかった言葉に

    今ようやく 五十年も経ってたどりついたことを

    どうか許してほしい

    五十年を生きた私たちのだれもが

    これまで一度として

    あなたの絵のせつない叫びに耳を傾けなかったことを

    遠い見知らぬ異国(くに)で死んだ 画学生よ

    私はあなたを知らない

    知っているのは あなたが遺したたった一枚の絵だ

    その絵に刻まれた かけがえのないあなたの生命の時間だけだ

     

                           2010年10月17日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.10.11

    かんがるう目線 生物の多様性

    ひとはく(兵庫県立人と自然の博物館)に出かけました。

    玄関には、「シカタヌキグマ」や「セイブツタヨウヤドカリ」の幟が、はためいています。

    館内の展示は、恐竜の化石と生物の多様性。

    何故に「生物多様性」かと思っていますと、18日から名古屋市で、COP10(生物多様性条約第10回締約国会議)が名古屋市で開かれるとのことの記事を見つけました。

    新聞では、条約には次の3つの目的があると解説されています。

    ①生物多様性の保全

    ②生物資源の持続可能な利用

    ③遺伝資源から得られる利益の公正・公平な配分

    人という種が、地球という惑星の上で、これからも持続的に存在し続けるためには、人間中心の経済活動をみなおさなければならない、ギリギリの時期に来ているようです。

    多様性と言う言葉は、職場や、人や子どもの生き方、政治の在り方にも、通じるものがあるように思いました。

                           2010年10月11日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.10.09

    かんがるう目線 5年後に

    今日は、高校の同窓会。

    外来は、同僚の先生にお願いし、雨の大阪に出かけました。

    受付で、卒業時のクラス名が書かれた名札を受け取り、胸につけます。

    でも、同級生の名前と顔とが一致しません。

    同じテーブルの男子が、卒業アルバムを準備していました。

    名前と顔とをたどりながら、40年前の、青春がそこには残されています。

    5年に一度結成されるバンドのナンバーは、サザンと若大将。

    遠くまで歩いて来られたありがたさと、それぞれ歩んできた道の遠さとに、これが生きていくということなんだと、柄にもなく感傷にふけりました。

    今が人生で一番充実していると思い、これまでの歩みが間違っていなかったとも思い、それでも「if」:と思うのが同窓会。

    何年経っても、わたしは坊ちゃん。

    わたしのマドンナさんは、いまもきれいでしたよ。

    健康に恵まれて、5年後にも、再開できることをと、強く願いました。

                           2010年10月9日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.09.20

    かんがるう目線 西間先生と

    東京での乳幼児喘息フォーラムのあと、ロビーで写真を撮ってもらいました。

    カンガルーの着ぐるみをはさんで、写っているのは、西間三馨先生です。

    「いっしょに、入ろう」と気軽に声をかけていただきました。

    西間先生は、国立病院機構福岡病院の名誉院長。小児アレルギー学会の理事長を長く務められるなどの、アレルギー学会の重鎮です。

    20年も前になるのかも知れません。

    わたしが、今よりももっと駆け出しの頃、神戸に講演に来られたときにお会いしました。

    当時はわたしの肩書きは「国立神戸病院小児科医師」

    アレルギーや発達障害の外来治療の進め方を巡って、院長と再三にわたってぶつかり、悩んでいた頃です。

    同じ国立病院の院長職にあられる西間先生に、鬱々とした気持ちをぶつけました。

    「きみ、もっと自由にやりたまえよ」

    そう、先生はわたしを励ましてくださいました。

    「これが上司なんだ、これがトップなんだ」と感じました。

    後輩を育てること。

    自分の思いをしっかりと伝えながら、その人の気持ちを一番に尊重すること。

    こころに響いた一言は、20年を過ぎても色あせないものなのですね。

                           2010年9月20日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2010.07.10

    かんがるう目線 一駅だけの大行進

    土曜の午後、外来が終わるとすぐに病院を出て、平和行進の列に加わりました。

    と言っても、兵庫区役所から、長田区役所までの、たった一駅だけの参加です。

    湊川公園で待っていますと、東京から歩き通されてきた方を含めて、平和行進のメンバーが到着。

    冷茶と、アイスキャンディーで一休みをした後、すぐに出発です。

    大通りをひとつ奥に入った道路を、西へ歩きます。

    8月4日から、広島で開かれる、原水爆禁止2010年世界大会に間に合うようにと、西へ、西へと、歩きます。

    65年前に広島と長崎で引き起こされた惨劇が、二度と地球上で繰り返されないように、

    子ども達が、二度と銃を取らないですむように、と願いながら歩きます。

    明日は、投票日。

    みなさんが投じられる一票が、平和につながる一票でありますように。

                           2010年7月10日

                           いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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