カンガルーの小部屋

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  • 2025.11.13

    カンガルーの本棚 大切な人に

    上田健次さんの「銀座四宝堂文房具店①」(小学館文庫)を読みました。

    銀座にあるという、ふるい文房具店を訪れる人の物語

    「万年筆」は、育ててくれた祖母への想いを

    「システム手帳」は、恩義がある人への退職願

    「大学ノート」は、弓道部の主将に想いをよせる高校生の物語

    「絵葉書」は、駆け落ちしてまで一緒になり、その後別れた元妻への弔辞

    「メモパッド」は、職人に育ててくれた大将への書けなかった手紙

    猫のシリーズを読み終えて、立ち寄った本屋さんで見つけた一冊は、

    どの短編も心にしみる作品でした。

    楽しみな小説に出会うことができました。

    さっそく全6巻を買い求めに走りました。

    2025年11月13日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2025.11.08

    カンガルーの本棚 忘れていた出来事

    椰月美智子さんの「つながりの蔵」(角川文庫)を読みました。

    同窓会に来るという四葉ちゃん

    その名前を引き金に、遼子は遠く小学五年生の時の出来事に想いを寄せます。

    大好きな祖母の認知症が進み、自分の名前を忘れてしまった哀しみ

    大好きな弟を失った友だちの美音の後悔

    仲良くなった四葉ちゃんの家に遊びに出かけた時に経験した出来事とは

    哀しみの中に、前を見て歩こうとする二人の少女の心の成長を描いた作品です。

    2025年11月8日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2025.11.05

    カンガルーの本棚 どんな味なんだろう

    山本甲士さんの「がんこスーパー」(ハルキ文庫)を読みました。

    リストラに合い、転職したスーパーは、2つの大手チェーン店にはさまれた

    弱小スーパー

    品ぞろえも少なく、買い物客もまばら

    主人公は、ひととつながるなかで、地元の無農薬有機野菜の販売を手掛け

    それを使った総菜を見せに並べます。

    ニッチな商売は評判を呼び、やがて・・

    朝の2時に目覚め、一気読みの一冊です。

    2025年11月5日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2025.11.03

    カンガルーの本棚 ネコって飲めるのですか

    石田祥さんの「猫を処方いたします」(PHP文芸文庫)を読みました。

    かわいいネコの表紙絵にひかれて、手に取った一冊。

    仕事や子育てにつかれたひとが、人づてに聞き訪れたクリニック

    無愛想な看護師さんと、頼り気のないお医者さんから手渡されたのは

    一匹のネコ

    いっぱいいっぱいの生活の中で、これ以上ネコの面倒を見るなんて

    忙しさの中に見落としていた本当の生活に気づかしてくれる

    4つの短いお話しです。

    2025年11月3日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2025.10.29

    カンガルーの本棚 つながりの輪のひとつに

    原田ひ香さんの「古本食堂」(ハルキ文庫)を読みました。

    国文科の大学院に進み、この先の進路が見えないままで過ごす主人公「美希喜」

    大叔父が残した古書店に通う中で、出会うひとびと

    最高学府を卒業した大叔父が、神田神保町のちいさな古書店を営んでいたわけとは

    街のあちこちの食堂で出されるメニューに、こころ癒されながら、

    美希喜は、自分のこれからを見つけようと歩き始めます。

    続編が、早く文庫本で出ないかなあ。

    2025年10月29日

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  • 2025.10.27

    カンガルーの本棚 灯を高くかかげ

    高田郁さんの「志記・遠い夜明け」を読みました。

    医師の世界を志す「美津」

    鍛冶の世界を志す「暁」

    江戸時代に合って、男性中心の世界を

    ふたりの若い女性がどう切り開いていくのか。

    楽しみなシリーズの始まりです。

    2025年10月27日

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  • 2025.10.21

    カンガルーの本棚 出会いと別れ

    森絵都さんの「出会いなおし」(文春文庫)を読みました。

    繰り返される数々の出会いと別れ

    6つの小さなお話しの中に、生きていく喜びと切なさが詰まっています。

    中でも、「ママ」「むすびめ」と題されたお話しに心打たれます。

    うかがい知れない心のうち、

    それはあなたにも、そしてわたしにも

    涼しさを感じることができる秋の日に、

    優しさを伝えてくれる短編集です。

    2025年10月21日

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  • 2025.10.17

    カンガルーの本棚 読み進むうちに

    カズオ・イシグロさんの「わたしを離さないで」(ハヤカワepi文庫)を読みました。

    1ページ目からの違和感、読み進めていくうちに

    それがどこから来るのかが、明らかになっていきます。

    化学の進歩と、虐げられた人の心を顧みることがない世界

    希望と絶望と

    重いテーマに、最後の1ページをゆっくりと読み終えました。

    2025年10月17日

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  • 2025.10.15

    カンガルーの本棚 人生の最後にみる夢は

    重松清さんの「はるか、ブレーメン」(幻冬舎文庫)を読みました。

    何が喜びとして、何は悔いとして

    人生の最後に見る「走馬灯」

    それを書き換える「絵師」たち

    高校生のはるかは、ふとしたことから「絵師」の仕事を知ることになります。

    そして、3才の時に自分を捨てた母との再会

    闘病生活を送りながら書かれたというこの作品は、

    わたしの人生を、静かに振り返らせてくれます。

    2025年10月15日

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  • 2025.10.12

    カンガルーの本棚 歩き方にもコツがある

    能勢博先生の「ウォーキングの科学」(講談社ブルーバックス)を読みました。

    1万歩あるくよりも、筋力を強くする方法がある。

    能勢先生はその歩き方のコツを「インターバル速歩法」」と名づけられ、

    介入実験の結果をもとに、解説されます。

    少しハードな歩き方のコツですが、通勤時間に取り入れようと思いました。

    2025年10月12日

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  • 2025.10.02

    カンガルーの本棚 もつれた家族のきずなが

    町田そのこさんの「宙ごはん」(小学館文庫)を読みました。

    おばに育てられ、生みの母と、育てのママをもつ宙

    宙のそばで見守り助けてくれる、不思議なおじさん

    出合いと別れ、そして新たな旅立ち

    悲しみと再生の物語は、いつまでもわたしの胸に響き残ります。

    2025年10月2日

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  • 2025.09.21

    カンガルーの本棚 生まれてきてよかったと

    村木嵐さんの「まいまいつぶろ」(幻冬舎時代小説文庫)を読みました。

    障害をもち生まれながら言葉を発することができない徳川家重

    その家重の言葉を介することができつ若者が現れます。

    将軍職という重圧の中で、理解されず蔑まれてきた家重

    その世界に、光が差し始めます。

    「生まれてきたよかった」という家重の言葉が、

    ふたりの無二の生き方を、表しています。

    感涙必死の小説です。

    2025年9月21日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2025.09.19

    カンガルーの本棚 誰が後ろで

    伊予原新さんの「フクロウ准教授の午睡」(文春文庫)を読みました。

    伊予原さんの作品は、心温まるものが多いのですが、

    この作品は、大学の学長選をめぐる駆け引きのミステリー

    誰かが何かをしかけて、最後に笑うのは

    最後までドキドキの1冊でした。

    2025年9月19日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2025.09.17

    高校生の男の子の胸には、かわいいうさちゃんマークが 名前もたくさん書かれています。 「これは、なになの」と尋ねると、 「部活のキャラクターと、みんなのあだ名を書いたんです」 外に着ていくには、高校時代の今この瞬間だけだと思うけど、 これからもずーっと宝物にしてくださいね。   2025年9月16日   いたやどクリニック小児科 木村彰宏

    樋口満先生の「健康寿命と身体の科学」(講談社ブルーバックス)を読みました。

    スポーツ医学の第一人者である樋口先生は、

    健康に長生きする秘訣は、心肺機能と筋力であると強調されます。

    数々の実験データと論文から、その仮説を検証され、

    熱く訴えかけられます。

    医療生協の機関誌「三つの輪」のカンガルーのポケットのテーマとなりそうです。

    2025年9月17日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2025.09.15

    カンガルーの本棚 深まる謎

    カズオ・イシグロさんの「遠い山並みの光」(ハヤカワepi文庫)を読みました。

    同名映画に感動し、その足で購入した原作本

    主人公悦子の目線で、青春期を過ごしたナガサキと

    イギリスにわたってからの生活が回想されていきます。

    映画では悦子と、その友人の佐知子とのつながりが

    最後のシーンで描かれていましたが、

    小説では、それとなく描かれているだけ。

    翻訳本とは思えないほどの、流れるような言葉に

    悲惨な戦争は、人のこころに何を残し、何を変えてしまうのかと悲しくなりました。

    カズオ・イシグロさんの小説を、もう少し読んでみようと思います。

    2025年9月15日

    いたやどクリニック 木村彰宏

  • 2025.09.11

    カンガルーの本棚 これからの免疫学

    吉村昭彦先生の「免疫超入門」(講談社ブルーバックス)を読みました。

    免疫学の第一人者であられる吉村先生の免疫学の講義本

    感染防御のシステムから、アレルギーとの関係

    さらには、老化や発がん、認知症に至るまで

    免疫学のいまとこれからを、熱く解説されています。

    免疫の不思議さに、また心ひかれました。

    2025年9月11日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2025.08.24

    カンガルーの本棚 あれこれ悩んで

    重松清さんの「答えは風の中」(新潮文庫)を読みました。

    こどもの心の中の「あれ、これ」をめぐる10の短いお話し集

    おとなの世界を少し垣間見て、「あれ、これ」と答えが出ない問題を前に

    たじろぐ子どもたち

    なかでも、「ケンタの背中」の短編です。

    継母と暮らし始めたケンタ君

    我慢をして我慢をして、そしてケンタ君の気持ちに気づいた母のとった行動とは

    さすが重松清さま

    新書疲れのこころに、深く刺さりました。

    2025年8月24日

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  • 2025.08.14

    カンガルーの本棚 小説の奥深さ

    吉田修一さんの小説「国宝」(朝日文庫)を読みました。

    李相日監督の同名映画に心打たれ、さっそく手にした上下2巻

    夏休みの5日間で、一気読みしました。

    少し不慣れな文体に戸惑いながらも、

    映画では?という場面が、なるほどという因果関係

    歌舞伎の演目の一シーンが、紙面から浮かび上がってきます。

    映画が先か、小説が先か。

    カンガルー的には映画が先な方が楽しめるかなと思います。

    2025年8月14日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2025.07.25

    カンガルーの本棚 子育てを考え直す

    中室牧子さんの「科学的根拠で子育て」(ダイアモンド社)を読みました。

    子ども期のスポーツの効用

    学力では測れない非認知能力の伸ばし方

    子育て世代の時間的貧困

    目標を立て、習慣化し、チームでとりクモ

    別学と共学のちがい

    男子と女子とのちがい

    日本の教育政策について

    などなど、科学的知見に基づく興味深い考えが満載の本です。

    子育てについては、高名な先生の私見が一般的ですが、

    データーに基づく子育て論も、一読に値します

    2025年7月25日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2025.05.26

    カンガルーの本棚 勉強の仕方

    石田勝紀さんの「同じ勉強をしていて、なぜ差がつくのか?」(携書)を読みました。

    著者は学習塾の先生です。

    これまでに生徒を指導する中で、気づいた?とは

    同じ勉強をしていても、そこに疑問を持ち、それを解決しようと思い立ち

    楽しみ、考える

    受け身ではなく、積極的に問題や課題に取り組む姿勢が

    大きな差を生むのではないかと力説されます。

    なるほど、なるほどと、共感しながら読了しました。

    2025年5月26日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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