カンガルーの小部屋

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  • 2024.04.19

    カンガルーの本棚 イベント続きの冬がきて

    坂木司さんの「ウインターホリデー」(文春文庫)を読みました。

    突然父親になった青年は、夏休みがおわり、子どもと別れの季節を迎えます。

    そして、寒い季節が訪れて、クリスマス、お正月、バレンタインデー、ホワイトデーと

    イベント続きの冬を過ごします。

    時折訪れる我が子に翻弄されながら、

    またひとつ父になっていく姿に、苦笑しつつ、一気読みします。

    2024年4月19日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2024.04.05

    カンガルーの本棚 ヤンキーとうさん

    坂木司さんの「ワーキングホリデー」(文春文庫)を読みました。

    主人公の青年は、元ヤンキーで、今はホストを稼業中。

    そこに現れた小学生は、突然「おとうさん」と叫びます。

    ホストをやめ、宅配便に勤め先を変えた青年は、

    はじめて出会う我が子と、短い夏を過ごします。

    次第に父になっていく青年の言葉と行動がおもしろおかしくて、

    一気読みの1冊です。

    2024年4月5日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2024.03.29

    カンガルーの本棚 笑って泣いて

    小川糸さんの「サーカスの夜に」(新潮文庫)を、読みました。

    大きくなれない病気を抱えた少年は、

    小さい時に見たサーカスに入ることを夢見ます。

    トイレ掃除、食事係、

    そこで出会う芸人たちに教えられ、綱渡りの芸を極めようと思い立ちます。

    人を笑わせるってことは、人を傷つけたり哀しませたりすることよりも百倍も千倍も難しい

    人生の哀しみを知らなくっちゃ、

    相手を笑わせることなんてできないもの。

    孤独を知っているからこそ、みんなでバカ笑いできる幸せを

    ありがたく思えるのよ。

    団員の言葉を胸に、少年は今日も綱に挑みます。

    2024年3月29日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2024.03.26

    カンガルーの本棚 からっぽの箱に

    寺地はるなさんの「希望のゆくえ」(新潮文庫)を、読みました。

    失踪した「希望」という名の弟を、たずね探す「誠実」という名の兄

    弟が働いていた会社の同僚や、失踪後に住んでいたアパートの家主

    そして、同居していた女性を探しだし、

    弟の消息を尋ねるうちに、弟が抱えている心の闇に気づきます。

    お菓子の空き箱に、大切なものを詰めるように、心の闇を埋めていく、

    その先に、一筋の希望の光を見る思いがします。

    難しいテーマが描かれた小説です。

    2024年3月26日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2024.03.23

    カンガルーの本棚 忍者で復活

    山本甲士さんの「ひなた商店街」(潮文庫)を読みました。

    アクションスターの夢が破れ、故郷の実家に戻った主人公

    働き始めたおでん屋は、ひなびた商店街に残された5店舗のひとつです。

    再開発の波が押し寄せ、いつ取り壊されてもおかしくない店に、

    テレビの食レポが収録に訪れます。

    なにか目新しいものをと頼まれて、

    忍者のコスプレに身を包み、昔言葉でおでんを売ると、これがおおうけ。

    他のお店も同じ路線で悪乗りをすると、これが若者や外国人にもバズります。

    商店街の再生をかけて、今日も忍者姿の主人公は跳びまわります。

    少し出来すぎの流れですが、楽しめる作品でした。

    2024年3月23日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2024.03.17

    カンガルーの本棚 次の百年へと

    高田郁さんの「あきない世傳金と銀 幾世の鈴」(ハルキ文庫)を読みました。

    本編に続く、その後の4つの物語

    小間物商の友の精進

    最愛の妹の今

    そして、世の中に役に立ち「生き金」への決断

    創業から百年が、数々の出会いと別れがあり、

    守り続けた五鈴屋を、次の世代にどう託していくのか

    幸の物語は続きます。

    2024年3月17日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2024.03.12

    カンガルーの本棚 明日を夢見て

    朝井まかてさんの「グッドバイ」(朝日文庫)を読みました。

    物語の舞台は、幕末は長崎の街

    あぶら商を引き継いだ主人公大浦慶は、商売の先行きに不安を感じ、

    外国との茶葉貿易に乗り出します。

    そこで顔見知りとなるテキストルやウイリアム・オルト、そしてグラバー

    茶葉工場と店舗を訪れる坂本龍馬、大隈重信、近藤長次郎などの幕末の志士たち

    歴史の歯車がぐるりと回り、あるものは志を遂げ、あるものは志半ばで倒れ

    その誰もがまだ10代、20代の若者であったことに驚きます。

    広がっていく茶葉の商売、そして裏切りに会い、

    山のような借財のなかで立ち上がっていく慶

    幕末を彩る、もう一つの女性の物語です。

    2024年3月12日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2024.02.27

    カンガルーの本棚 18才のころに

    伊吹有喜さんの「犬がいた季節」(双葉文庫)を読みました。

    四日市市にある高校に、暮らすことを許された1匹の犬「コーシロー」

    美術部の部員がお世話をすることになり、卒業後は後輩に引き継がれていきます。

    1998年から、コーシローがなくなる2000年まで、

    「コーシロー」が出会う高校3年生は

    進路に悩み、恋にたじろぎ、友情を手に入れて、学校を後にします。

    そして開かれた開校百年目の祝賀会で再開した彼らは、

    18才のころに言えなかった、互いへの言葉を口にします。

    作者伊吹さんが出身校をモデルにした、青春ドラマです。

    2023年2月27日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2024.02.18

    カンガルーの本棚 あたらしい視点で

    エドワード・ブルモア先生の「うつは炎症で起きる」(草思社)を読みました。

    エドワード先生は、ケンブリッジ大学の精神科医長を務められている、

    神経科学の世界的なエキスパートです。

    世界的に大きな社会問題となっている「うつ」

    先生は、従来言われているストレスからくる「こころの病気」だけでなく、

    体の炎症で作られるサイトカインが、脳神経細胞に作用しておきる道筋を解き明かされます。

    200ページを超える大作ですが、おもしろく読了しました。

    まだ1月ですが、今年の読書のベスト3になるかなと思います

    2023年2月18日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2024.02.06

    カンガルーの本棚 信じにくいけれども

    アレクサンドラ・アンリオンさんの

    「コロナワクチン その不都合な真実」(詩想社新書)を読みました。

    新型コロナウイルスにたいするmRNAワクチン

    その限界と副反応についての解説書です。

    わかりやすい文体だけに、医学書のような説得力には欠けますが、

    書かれていることが真実だとすれば、とんでもないこと

    引用文献を検討し、もうすこし知識を増やそうと思います。

    友人の小児科医の推薦図書です。

    2024年2月6日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2024.01.24

    カンガルーの本棚 教育の行く末

    日経新聞社編の「低学歴国日本」(日経プレミアシリーズ)を読みました。

    大学院進学率、引用論文数、教育や研究にかけられている公費額

    世界の先進国と比べ、周回遅れとなっているこの国の現状が

    具体的な数字を用いて、明らかにされていきます。

    その背景にある、学歴社会、閉鎖的な教育界、先生たちの過酷な労働環境

    この国の教育の行く末を憂い、問題提起する1冊です。

    2024年1月24日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2024.01.22

    カンガルーの本棚 ごはんが結ぶご縁

    小野寺史宜さんの「とにもかくにもごはん」(講談社文庫)を読みました。

    夫の突然の死をきっかけに、

    「クロード子ども食堂」を開いた波子さん

    食堂を訪れる小学生、中学生、そしてお年寄り

    手伝いは、大学生や主婦の面々

    食べるひとも、作る人も、それぞれに事情を抱え

    ごはんをご縁に、ぶつかりあり、つながりあいます。

    おいしくよろこぶ顔がある限り、ありがとうをうけとる笑顔がある限り、

    「クロード子ども食堂」は、今日もみんなを待っています。

    2023年1月22日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2024.01.17

    カンガルーの本棚 風呂敷を首に巻いたネコ

    重松清さんの「さすらい猫ノアの伝説」(講談社文庫)を読みました。

    風呂敷を首に巻いた黒猫「ノア」のさすらいの物語。

    ひとつ目は、新人の先生を守ろうとする子どもたちのお話し

    二つ目は、天候を繰り返す少女の、出会いと別れのお話しです。

    「忘れものはなんですか。大切なものはなんですか」

    風呂敷に入っていた、紙が問いかける謎

    その謎を問い続けることで、子どもたちは少し大人に育っていきます。

    いつまでも心に残る、重松清さんの作品です。

    2023年1月17日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2024.01.14

    かんがるうの本棚 悲しみのむこうに

    小川糸さんの「さよなら、私」(幻冬舎文庫)を、読みました。

    収められている短い3つのお話しのひとつめは

    友人を亡くした女性が、職を捨てモンゴルへと旅立ち受け入れたものは、

    ふたつめは、自分を捨てた母への恨みをひきずる女性が、

    異国の地の森で、見つけたものは、

    みっつめは、幼子を亡くした母が取った行動は

    悲しみの私にさよならをして、生きていこうとする

    3つのお話しのどれもが、心の奥底の糸を揺さぶります。

    大切にしたい作品の一つに入れることにしました。

    2023年1月14日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2024.01.10

    カンガルーの本棚 重く悲しい物語

    小川糸さんの「とわの庭」(新潮文庫)を読みました。

    主人公「とわ」は、目が見えません。

    音と、においと、肌で、この世の中を受け止めていきます。

    母とふたりの生活に終止符が打たれた後、

    孤独と、飢えと戦う日々が始まります。

    勇気を振り絞って、歩き始めたいっぽ、にほ、さんぼ

    盲導犬との出会い、ご近所さんとのふれあいのなかで、

    「とわ」は、いきているすごさに気づきます。

    物語の中とはいえ、「とわ」のつらさを受け止めるには、

    読み続ける勇気が必要です。

    この世の中から、悲しい思いをする子どもが、ひとりでもなくなりますように。

    2024年1月10日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2024.01.04

    カンガルーの本棚 耽美な世界に

    乙川優三郎さんの「麗しき果実」(徳間文庫)を読みました。

    時は江戸後期の文政年間

    宍道湖近くで生まれた主人公「理野」が、

    兄とともに、江戸へ蒔絵修行に出かけるところから始まります。

    原羊遊斎、酒井抱一、中山胡民、鈴木其一など、

    著名な人々との出合いが、理野を育て悩ませます。

    芸術の奥義に挑もうとする主人公の心意気が、胸に迫ります。

    蒔絵や日本画の、専門用語に囲まれて、

    理解が追い付かずに、ページをめくる手がとまり

    読み上げるのに、1週間という時間と、想像力を要した作品です。

    2024年1月4日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2023.12.31

    カンガルーの本棚 今年出会った本の世界

    2023年おおみそかの日

    積んでいた本に手を伸ばし、大晦日に2冊読了しました。

    それでも2023年に読み終えたのは新書24冊、小説74冊の合わせて98冊

    目標の100冊には届きません。

    お世話になった作家さんは、

    南杏子さん、西條奈加さん、重松清さん、青山美智子さん、凪良ゆうさん

    小野寺文宣さん、原田マハさん、寺地はるなさん、町田そのこさん、

    高田郁さん、坂本司さん、朝井まかてさん、小川糸さん

    心に残った書籍は、

    新書部門では、心の病の脳科学

    文庫部門では、52ヘルツのクジラたち、大人は泣かないと思っていた、

    ぎょらん、ライオンのおやつ

    今年も、新しい世界に出会うことができました。

    ありがとうございました。

    2023年12月31日

    いたやどクリニック 木村彰宏

  • 2023.12.23

    カンガルーの本棚 ありがとうのひとことで

    南杏子さんの「ディア・ペイシェント」(幻冬舎文庫)を読みました。

    大学病院を辞めて、市中の総合病院に勤めだした主人公の女性医師

    多忙な診療と、週一で回ってくる当直と

    身も心も疲れ果て、さらに現れたのがモンスター・ペイシェント

    先輩医師に励まされながら、乗り切ろうとするのですが・・

    医師も、看護師も、事務職も

    医療機関で働く人の現実をリアルに描いています。

    救いは、患者さんから届けられる「ありがとう」のひとこと

    現役の医師作家ならではの小説です。

    2023年12月23日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2023.12.05

    カンガルーの本棚 笑顔の奥底に

    南杏子さんの「ヴァイタル・サイン」(小学館文庫)を、読みました。

    主人公は、都内の病院で働く中堅ナース

    認知症の患者さん、ガン末期の患者さんの看護をしながら、

    仕事と母の介護に追われ、幾度となく絶望に襲われます。

    研修会で聴いた「感情労働」という言葉、

    気持ちはあっても、尽くせない自分

    過酷なナースの世界に、胸がふさがります。

    クリニックに働きながら、何も知らない自分が恥ずかしくなります。

    患者さんも、そこで働く人も、みんなが笑顔で過ごせるようにと考えます。

    2023年12月5日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

  • 2023.12.03

    カンガルーの本棚 また一つ巡り合い

    小川糸さんの「ライオンのおやつ」(ポプラ文庫)を読みました。

    雫は、若くして不治の病を得ます。

    人生最後の時を、瀬戸内の小さな島のホスピスで暮らそうとしますが、

    生への執着が、波のように寄せては引き、翻弄される毎日です。

    ホスピスで出会ったナース、そして同じ境遇に身を置くゲストたち

    手作りの食事をとり、丘から瀬戸内の海を眺めながら、

    自分の短い人生も、まんざらではないなと振り返ります。

    読後も、いろいろな思いが残る小説です。

    2023年12月3日

    いたやどクリニック小児科 木村彰宏

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