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2025.05.26
カンガルーの本棚 勉強の仕方
石田勝紀さんの「同じ勉強をしていて、なぜ差がつくのか?」(携書)を読みました。
著者は学習塾の先生です。
これまでに生徒を指導する中で、気づいた?とは
同じ勉強をしていても、そこに疑問を持ち、それを解決しようと思い立ち
楽しみ、考える
受け身ではなく、積極的に問題や課題に取り組む姿勢が
大きな差を生むのではないかと力説されます。
なるほど、なるほどと、共感しながら読了しました。
2025年5月26日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2025.05.20
カンガルーの本棚 親子からのメッセージ
森永卓郎さん、森永康平さんの「この国でそれでも生きていく人たちへ」(講談社α新書)を読みました。
この国の経済について、金融行政について
富裕層への正当な課税と、最低賃金の大幅な引き上げなど、
親子での意見の違いがありますが、わたし的にはお父さんの意見に賛同しました。
森永卓郎さんからの最後のメッセージとして、心にとどめておきたいと思います。
2025年5月20日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2025.05.17
カンガルーの本棚 その人の目線から
岩波明先生の「発達障害、不可解な行動には理由がある」(SB新書)を読みました。
落ち着きがない、目をあわせないなど、不可解な行動を釣ることが多い神経発達症
彼らには、まわりがどのように見えて、どんな悩みを抱えているのか
当事者目線から、その行動を解説され、対処法を伝授されます。
本当に必要なサポートとはなにか、
神経発達症の人とお付き合いするうえで、必読の1冊です。
2025年5月17日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2025.05.07
カンガルーの本棚 アメリカの今
宝島社編の「トランプ人気の深層」(宝島新書)を読みました。
6人の専門家による対談集です。
中でも、佐藤優さんの主張は、他者とは違う異色の論調で興味深く読みました。
今の大統領はその場限りの思い付きの人なのか
それとも、深読みをする人なのか
アメリカのこれからを注目したいと思います。
2025年5月7日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2025.05.01
カンガルーの本棚 子どもが心配になり
養老孟司先生の「子どもが心配」(PHP新書)を読みました。
養老先生が、児童精神科医や、小児科医、脳研究者、自由学園学園長と
子どもの今とこれからについて自由に語り合う対談集です。
児童精神科医の宮口幸治先生は「親は安心安全の土台と伴奏者になる」ことを強調され、
小児科医の高橋孝雄先生は「子どもが今のしあわせを享受できるよう、社会全体で子育てをする」意味を強調されます。
脳研究者の小泉英明先生は「今いるその場で自足できることの幸せを心から感じることができるおとなに育っていく」ことを
自由学園学園長の高橋和也先生は「子どもたちは自由な主体として生きている一人格である」と述べられます。
先生方のどの言葉にも深い重みがあり、考えさせられる1冊です。
2025年5月1日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2025.04.28
カンガルーの本棚 くやしさを胸に
伊予原新さんの「ブルーネス」(文春文庫)を読みました。
研究職を辞した主人公の前に、2人の変わり者が現れます。
ひとりはサーフィンに明け暮れる謎の男
ひとりは学会からつまはじきされた地震研究者
はみ出し者が集まって、新たな津波観測システムを作ろうと奔走します。
3.11で大勢の犠牲者を出したくやしさを胸に、
既存の研究学会に立ち向かいます。
そして、その研究のさきに
科学者とは何かを問いかける奥深い作品です。
2025年4月28日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2025.03.13
カンガルーの本棚 体験格差って
今井悠介さんの「体験格差」(講談社現代新書)を、読みました。
子どもの貧困に対して、食糧援助や学習援助が行われていますが、
スポーツやピアノ、旅行や自然体験などの
「子ども期の体験」への援助の必要性はあまり認知されていません。
この一年の間に、学校以外の「体験機会がゼロ」の子どもは、
年収600万円以上の世帯は、11.3%に比して
年収300万円未満の世帯では、29.9%と
実に2.6倍の格差があります。
この格差は、世代を超えて受け継がれ、固定化するといいます。
この現状をどう打開していくのか
わたしたちの世代に突きつけられた、大きな課題です。
2025年3月13日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2025.03.07
カンガルーの本棚 助け助け合い
朝日新聞取材班「8がけ社会」(朝日新書)を読みました。
2024年度出生数の見通しは、68.5万人、前年比5.8%の減少です。
人口減から心配される労働力不足、購買力減、そして高齢化
介護や公共サービスを受けたくても受けられない
そんな時代が、目の前に迫っています。
本書は、その時代に合っても希望を持ち続けることができる
社会の在り方を模索していきます。
若者と高齢者が対立するのではなく、一緒にこの危機を乗り越える仲間なのです。
この言葉が、カギになるのではないかと思いました。
いろいろなことを考えさせられる1冊です。
2025年3月7日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2025.03.01
カンガルーの本棚 夜空を見上げて
伊予原新さんの「オオルリ流星群」(角川文庫)を読みました。
舞台は、周囲を山に囲まれた神奈川県秦野市
そこに、東京の天文台をやめた女性 彗子が帰ってきます。
町で彼女を見かけた高校の同級生が、声をかけはじめ
物語は動き出します。
受験をひかえた高校3年生の時、最後の文化祭で彼らが挑戦したのは
空き缶をつなぎ合わせて作った、オオルリのタペストリー
45才になった彗子は、この街に私設天文台を作りたいと願い
高校3年をともに過ごした彼らもまた、
天文台づくりにこれからの人生の過ごし方を重ね合わせていきます。
「人間はだれしも、一つの星を見つめながら歩いている。
ある者にとってはそれは叶えたい夢かもしれないし、
またある者にとっては到達すべき目標かもしれない」
直木賞を受賞した伊予原さんの、心を揺さぶる作品です。
2025年3月1日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2025.02.24
カンガルーの本棚 未来への挑戦
人口戦略会議編「地方消滅2」(中公新書)を、読みました。
少子化問題は、いろいろな場所で語られています。
言葉から受ける危機感と、頭で描く未来像とのギャップ
個人のしあわせと、社会のしあわせとのギャップ
子どもを産み育てることを願う若者が、
安心して結婚、出産ができるような
子どもを育てる幸せを噛み締められるような社会、
共同養育社会を提案されています。
そのために必要なことは、予算は、政治は・・
未来をなげくだけではなく、暮らしやすい未来へも言及した良書です。
2025年2月24日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2025.02.17
カンガルーの本棚 この国の先に見えるもの
河合雅司先生の「縮んで勝つ」(小学館新書)を読みました。
人口問題の専門家である河合先生が、
少子化、人口減時代にこの国が取るべき戦略を提言されている新書です。
今、出生数は年に4.5%の比率で減少していると言われます。
出生数の減少は、20年後の子どもを設ける可能性がある世代の減少につながり、
仮に4.5%の減少率が続くと、10年後には今の出生数の63%になると計算されます。
出生数の減少は、20年後の若者の労働力の減少につながります。
私企業だけでなく、公務の運営にも大きな支障が生じます
そして、その対策は、
河合先生のご著書をお読みいただければと思います。
2025年2月17日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2025.01.22
カンガルーの本棚 仮面に隠された素顔とは
山本甲士さんの「つめ」(小学館文庫)を読みました。
近所に住む女性とトラブルになった主人公の朱音
頼みもしていない高級な寿司や業者が現れ、
家のガラスが割られ、プランターがひっくり返されるなど、
嫌がらせはひどくなっていきます。
力には力をと行動する朱音
再婚相手の連れ子の裕也は、徹底した非暴力主義
クラスでいじめを受けても、身を守るだけでじっと耐え続けます。
無理やり当てられた参観日での発表で、
裕也は動物から学んだ身の守り方を披露します。
その後の裕也の行動が、朱音とクレーマー女との間に何をもたらすのか。
感涙必死の名作です。
2025年1月22日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2025.01.17
カンガルーの本棚 こっちに来てよマジックチャン
山本甲士さんの「迷犬マジック4」(双葉文庫)を読みました。
迷い込んでくると幸運がついてくると言われる迷犬マジック
飼い主さんのもとから家出して、ふらり現れたのは4人の男女の元
仕事に恵まれないカバン職人
つぶれかけのスーパーの社長さん
ブラック企業から抜けようとする青年
マジックは、彼ら、彼女らに、どんな幸運を運んでくるのでしょう。
わたしのところにも、マジックちゃんが宝くじをくわえて来ないかな。
2025年1月17日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2024.12.07
カンガルーの本棚 記憶の底から掬い上げるもの
町田そのこさんの「星を掬う」(中公文庫)を読みました。
母に捨てられて、育てられた父や祖父母がなくなった後、
出会った男は、とんでもないDV男
ふとしたことから、何十年ぶりに再会した母は、
認知症を患い、娘の顔もわからなくなっていました。
憎しみと悲しみと、許しと拒絶と、
シェルターで一緒に暮らす女性たちとの日常の中で、
なぜ母が私を捨てたのか、
そして母が何を望んでいたのかが明らかになっていきます。
薄れゆく記憶の底から、母は何を掬い上げようとしたのか
今年のカンガルーの本棚の中で、一押しの作品です。
2024年12月7日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2024.11.16
カンガルーの本棚 ひとりの男の生き方
遠田潤子さんの「雨の中の涙のように」(光文社文庫)を読みました。
アイドルから役者に転身し、年代を問わずに人気を博する青年、葉介
彼と出会う様々な年代の、そして住む土地の人々が織りなす物語
葉介に秘められた過去とは
その謎が、次第に明らかになっていきます。
華やかな芸能界で生きるひとりの男の生き方を描いた、胸にしみる作品です。
2024年11月16日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2024.10.31
カンガルーの本棚 クラスの一人ひとり
森絵都さんの「クラスメイツ前期・後期」(角川文庫)を読みました。
中学1年A組の24人の生徒たち
目立つ生徒、控えめな生徒 その一人ひとりの生徒が主人公の物語です。
おとなになっていく道筋を、おそれながら、悩みながら
それぞれが、言葉にしたり、行動であらわしたりして 歩いていきます。
カンガルーが過ごした青春も、視点を変えればいろいろな見え方があるんだなと、
ちょっぴり感傷的になりました。
子どもの心の奥底を描く、名作です。
2024年10月31日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2024.10.29
カンガルーの本棚 甘すぎてささらない
坂本司さんの「ショートケーキ」(文春文庫)を読みました。
ショートケーキをめぐる、5つの短いお話しです。
ママ友3人の奮闘を描く「ままならない」
おいしいものを食べていても、頭の中は赤ちゃんのことでいっぱい
そうなのかと納得するも、ショートケーキのお話と私の相性があいません。
わたしが、ケーキにそれほど執着しないためなのかな。
まっ、人それぞれに好みがあるのは、仕方ないことなのですね。
2024年10月29日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2024.10.25
カンガルーの本棚 下絵からの出会い
青山美智子さんの「赤と青とエスキース」(PHP文芸文庫)を読みました。
物語は、オーストラリアのメルボルンから始まります。
留学先の大学や下宿にもなじめず、下を向いて歩く日々を過ごしていた女子大生レイは
留学が終わるまでの期間限定で付き合いはじめたブーと呼ばれる男の子から、
友人の貧しい画家の、モデルになってほしいと頼まれます。
描かれたエスキースは、日本に渡り、ふたりを結び付けます。
エスキースとは、フランス語で「下絵」や「素描」という意味ですが、
ふたりの出会いと、その後の人生を表しているように思いました。
一枚のエスキースがつなぐ、素敵な恋の物語です。
2024年10月25日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2024.10.23
カンガルーの本棚 ことばの魔法
森絵都さんの「あしたのことば」(新潮文庫)を、読みました。
お話しは、子どもがであう「ことばの」不思議
「どっち」とたずねられ「どっちかなあ」「どっちもかなあ」と、
すぐには答えが出せない小学生
苦手な子とのつきあいに悩む女の子は、「馬があわへんだけや」ということばに救われます。
友だちとうまくいかなくなり、長いメールを書く中で、
その子も自分が口にしたことばに、縛られているのかもしれないと気づきます。
大勢の中ではことばを交わさないクラスの子が、
とても豊かな音への感性を持っていることに気づき、親しくなっていくお話や
笑い転げるほど楽しい遊びをした後で、
ともだちから「またあした」とことばをかけてもらい、
この街で暮らす自信を持ち始める転校生
どの子も、ほんのちいさな言葉に悩み、救われます。
やさしい文体の中に、ことぼの魔法がたくさん詰まったおすすめの1冊です。
2024年10月23日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2024.10.20
カンガルーの本棚 下絵からの出会い
青山美智子さんの「赤と青とエスキース」(PHP文芸文庫)を読みました。
物語は、オーストラリアのメルボルンで始まります。
留学先の大学や下宿にもなじめず、下を向いて歩く日々を過ごしていた女子大生レイは
留学が終わるまでの期間限定で付き合いはじめたブーと呼ばれる男の子から、
友人の貧しい画家の、モデルになってほしいと頼まれます。
描かれたエスキースは、日本に渡り、ふたりを結び付けます。
エスキースとは、フランス語で「下絵」や「素描」という意味ですが、
ふたりの出会いと、その後の人生を表しているように思いました。
一枚のエスキースがつなぐ、素敵な恋の物語です。
2024年10月20日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏