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2025.10.02
カンガルーの本棚 もつれた家族のきずなが
町田そのこさんの「宙ごはん」(小学館文庫)を読みました。
おばに育てられ、生みの母と、育てのママをもつ宙
宙のそばで見守り助けてくれる、不思議なおじさん
出合いと別れ、そして新たな旅立ち
悲しみと再生の物語は、いつまでもわたしの胸に響き残ります。
2025年10月2日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2025.09.21
カンガルーの本棚 生まれてきてよかったと
村木嵐さんの「まいまいつぶろ」(幻冬舎時代小説文庫)を読みました。
障害をもち生まれながら言葉を発することができない徳川家重
その家重の言葉を介することができつ若者が現れます。
将軍職という重圧の中で、理解されず蔑まれてきた家重
その世界に、光が差し始めます。
「生まれてきたよかった」という家重の言葉が、
ふたりの無二の生き方を、表しています。
感涙必死の小説です。
2025年9月21日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2025.09.19
カンガルーの本棚 誰が後ろで
伊予原新さんの「フクロウ准教授の午睡」(文春文庫)を読みました。
伊予原さんの作品は、心温まるものが多いのですが、
この作品は、大学の学長選をめぐる駆け引きのミステリー
誰かが何かをしかけて、最後に笑うのは
最後までドキドキの1冊でした。
2025年9月19日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2025.09.17
高校生の男の子の胸には、かわいいうさちゃんマークが 名前もたくさん書かれています。 「これは、なになの」と尋ねると、 「部活のキャラクターと、みんなのあだ名を書いたんです」 外に着ていくには、高校時代の今この瞬間だけだと思うけど、 これからもずーっと宝物にしてくださいね。 2025年9月16日 いたやどクリニック小児科 木村彰宏
樋口満先生の「健康寿命と身体の科学」(講談社ブルーバックス)を読みました。
スポーツ医学の第一人者である樋口先生は、
健康に長生きする秘訣は、心肺機能と筋力であると強調されます。
数々の実験データと論文から、その仮説を検証され、
熱く訴えかけられます。
医療生協の機関誌「三つの輪」のカンガルーのポケットのテーマとなりそうです。
2025年9月17日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2025.09.15
カンガルーの本棚 深まる謎
カズオ・イシグロさんの「遠い山並みの光」(ハヤカワepi文庫)を読みました。
同名映画に感動し、その足で購入した原作本
主人公悦子の目線で、青春期を過ごしたナガサキと
イギリスにわたってからの生活が回想されていきます。
映画では悦子と、その友人の佐知子とのつながりが
最後のシーンで描かれていましたが、
小説では、それとなく描かれているだけ。
翻訳本とは思えないほどの、流れるような言葉に
悲惨な戦争は、人のこころに何を残し、何を変えてしまうのかと悲しくなりました。
カズオ・イシグロさんの小説を、もう少し読んでみようと思います。
2025年9月15日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2025.09.11
カンガルーの本棚 これからの免疫学
吉村昭彦先生の「免疫超入門」(講談社ブルーバックス)を読みました。
免疫学の第一人者であられる吉村先生の免疫学の講義本
感染防御のシステムから、アレルギーとの関係
さらには、老化や発がん、認知症に至るまで
免疫学のいまとこれからを、熱く解説されています。
免疫の不思議さに、また心ひかれました。
2025年9月11日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2025.08.24
カンガルーの本棚 あれこれ悩んで
重松清さんの「答えは風の中」(新潮文庫)を読みました。
こどもの心の中の「あれ、これ」をめぐる10の短いお話し集
おとなの世界を少し垣間見て、「あれ、これ」と答えが出ない問題を前に
たじろぐ子どもたち
なかでも、「ケンタの背中」の短編です。
継母と暮らし始めたケンタ君
我慢をして我慢をして、そしてケンタ君の気持ちに気づいた母のとった行動とは
さすが重松清さま
新書疲れのこころに、深く刺さりました。
2025年8月24日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2025.08.14
カンガルーの本棚 小説の奥深さ
吉田修一さんの小説「国宝」(朝日文庫)を読みました。
李相日監督の同名映画に心打たれ、さっそく手にした上下2巻
夏休みの5日間で、一気読みしました。
少し不慣れな文体に戸惑いながらも、
映画では?という場面が、なるほどという因果関係
歌舞伎の演目の一シーンが、紙面から浮かび上がってきます。
映画が先か、小説が先か。
カンガルー的には映画が先な方が楽しめるかなと思います。
2025年8月14日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2025.07.25
カンガルーの本棚 子育てを考え直す
中室牧子さんの「科学的根拠で子育て」(ダイアモンド社)を読みました。
子ども期のスポーツの効用
学力では測れない非認知能力の伸ばし方
子育て世代の時間的貧困
目標を立て、習慣化し、チームでとりクモ
別学と共学のちがい
男子と女子とのちがい
日本の教育政策について
などなど、科学的知見に基づく興味深い考えが満載の本です。
子育てについては、高名な先生の私見が一般的ですが、
データーに基づく子育て論も、一読に値します
2025年7月25日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2025.05.26
カンガルーの本棚 勉強の仕方
石田勝紀さんの「同じ勉強をしていて、なぜ差がつくのか?」(携書)を読みました。
著者は学習塾の先生です。
これまでに生徒を指導する中で、気づいた?とは
同じ勉強をしていても、そこに疑問を持ち、それを解決しようと思い立ち
楽しみ、考える
受け身ではなく、積極的に問題や課題に取り組む姿勢が
大きな差を生むのではないかと力説されます。
なるほど、なるほどと、共感しながら読了しました。
2025年5月26日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2025.05.20
カンガルーの本棚 親子からのメッセージ
森永卓郎さん、森永康平さんの「この国でそれでも生きていく人たちへ」(講談社α新書)を読みました。
この国の経済について、金融行政について
富裕層への正当な課税と、最低賃金の大幅な引き上げなど、
親子での意見の違いがありますが、わたし的にはお父さんの意見に賛同しました。
森永卓郎さんからの最後のメッセージとして、心にとどめておきたいと思います。
2025年5月20日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2025.05.17
カンガルーの本棚 その人の目線から
岩波明先生の「発達障害、不可解な行動には理由がある」(SB新書)を読みました。
落ち着きがない、目をあわせないなど、不可解な行動を釣ることが多い神経発達症
彼らには、まわりがどのように見えて、どんな悩みを抱えているのか
当事者目線から、その行動を解説され、対処法を伝授されます。
本当に必要なサポートとはなにか、
神経発達症の人とお付き合いするうえで、必読の1冊です。
2025年5月17日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2025.05.07
カンガルーの本棚 アメリカの今
宝島社編の「トランプ人気の深層」(宝島新書)を読みました。
6人の専門家による対談集です。
中でも、佐藤優さんの主張は、他者とは違う異色の論調で興味深く読みました。
今の大統領はその場限りの思い付きの人なのか
それとも、深読みをする人なのか
アメリカのこれからを注目したいと思います。
2025年5月7日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2025.05.01
カンガルーの本棚 子どもが心配になり
養老孟司先生の「子どもが心配」(PHP新書)を読みました。
養老先生が、児童精神科医や、小児科医、脳研究者、自由学園学園長と
子どもの今とこれからについて自由に語り合う対談集です。
児童精神科医の宮口幸治先生は「親は安心安全の土台と伴奏者になる」ことを強調され、
小児科医の高橋孝雄先生は「子どもが今のしあわせを享受できるよう、社会全体で子育てをする」意味を強調されます。
脳研究者の小泉英明先生は「今いるその場で自足できることの幸せを心から感じることができるおとなに育っていく」ことを
自由学園学園長の高橋和也先生は「子どもたちは自由な主体として生きている一人格である」と述べられます。
先生方のどの言葉にも深い重みがあり、考えさせられる1冊です。
2025年5月1日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2025.04.28
カンガルーの本棚 くやしさを胸に
伊予原新さんの「ブルーネス」(文春文庫)を読みました。
研究職を辞した主人公の前に、2人の変わり者が現れます。
ひとりはサーフィンに明け暮れる謎の男
ひとりは学会からつまはじきされた地震研究者
はみ出し者が集まって、新たな津波観測システムを作ろうと奔走します。
3.11で大勢の犠牲者を出したくやしさを胸に、
既存の研究学会に立ち向かいます。
そして、その研究のさきに
科学者とは何かを問いかける奥深い作品です。
2025年4月28日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2025.03.13
カンガルーの本棚 体験格差って
今井悠介さんの「体験格差」(講談社現代新書)を、読みました。
子どもの貧困に対して、食糧援助や学習援助が行われていますが、
スポーツやピアノ、旅行や自然体験などの
「子ども期の体験」への援助の必要性はあまり認知されていません。
この一年の間に、学校以外の「体験機会がゼロ」の子どもは、
年収600万円以上の世帯は、11.3%に比して
年収300万円未満の世帯では、29.9%と
実に2.6倍の格差があります。
この格差は、世代を超えて受け継がれ、固定化するといいます。
この現状をどう打開していくのか
わたしたちの世代に突きつけられた、大きな課題です。
2025年3月13日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2025.03.07
カンガルーの本棚 助け助け合い
朝日新聞取材班「8がけ社会」(朝日新書)を読みました。
2024年度出生数の見通しは、68.5万人、前年比5.8%の減少です。
人口減から心配される労働力不足、購買力減、そして高齢化
介護や公共サービスを受けたくても受けられない
そんな時代が、目の前に迫っています。
本書は、その時代に合っても希望を持ち続けることができる
社会の在り方を模索していきます。
若者と高齢者が対立するのではなく、一緒にこの危機を乗り越える仲間なのです。
この言葉が、カギになるのではないかと思いました。
いろいろなことを考えさせられる1冊です。
2025年3月7日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2025.03.01
カンガルーの本棚 夜空を見上げて
伊予原新さんの「オオルリ流星群」(角川文庫)を読みました。
舞台は、周囲を山に囲まれた神奈川県秦野市
そこに、東京の天文台をやめた女性 彗子が帰ってきます。
町で彼女を見かけた高校の同級生が、声をかけはじめ
物語は動き出します。
受験をひかえた高校3年生の時、最後の文化祭で彼らが挑戦したのは
空き缶をつなぎ合わせて作った、オオルリのタペストリー
45才になった彗子は、この街に私設天文台を作りたいと願い
高校3年をともに過ごした彼らもまた、
天文台づくりにこれからの人生の過ごし方を重ね合わせていきます。
「人間はだれしも、一つの星を見つめながら歩いている。
ある者にとってはそれは叶えたい夢かもしれないし、
またある者にとっては到達すべき目標かもしれない」
直木賞を受賞した伊予原さんの、心を揺さぶる作品です。
2025年3月1日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2025.02.24
カンガルーの本棚 未来への挑戦
人口戦略会議編「地方消滅2」(中公新書)を、読みました。
少子化問題は、いろいろな場所で語られています。
言葉から受ける危機感と、頭で描く未来像とのギャップ
個人のしあわせと、社会のしあわせとのギャップ
子どもを産み育てることを願う若者が、
安心して結婚、出産ができるような
子どもを育てる幸せを噛み締められるような社会、
共同養育社会を提案されています。
そのために必要なことは、予算は、政治は・・
未来をなげくだけではなく、暮らしやすい未来へも言及した良書です。
2025年2月24日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2025.02.17
カンガルーの本棚 この国の先に見えるもの
河合雅司先生の「縮んで勝つ」(小学館新書)を読みました。
人口問題の専門家である河合先生が、
少子化、人口減時代にこの国が取るべき戦略を提言されている新書です。
今、出生数は年に4.5%の比率で減少していると言われます。
出生数の減少は、20年後の子どもを設ける可能性がある世代の減少につながり、
仮に4.5%の減少率が続くと、10年後には今の出生数の63%になると計算されます。
出生数の減少は、20年後の若者の労働力の減少につながります。
私企業だけでなく、公務の運営にも大きな支障が生じます
そして、その対策は、
河合先生のご著書をお読みいただければと思います。
2025年2月17日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏