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2022.09.05
カンガルーの本棚 本屋さんお勧めの
朝倉宏景さんの「あめつちのうた」(講談社文庫)を読みました。
甲子園球場のグランド整備の職を選んだ青年と、仲間の成長の物語。
スポーツに関しては、新聞紙面で結果を通り読みするしか能がないわたしですが、
いたやど駅前の井戸書店の森店長さんのお勧めのまま、
読み始めると、これがやめられない。
スポーツ選手の汗と苦悩が迫り、一気読みの1冊になりました。
2022年9月5日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.09.01
カンガルーの本棚 変わるものと変わらないものと
三上延さんの「同潤会代官山アパートメント」(新潮文庫)を読みました。
19年からはじまる4世代の物語、
関東大震災、戦争、バブルの崩壊、そして、阪神淡路大震災
歴史の大きな流れの中で翻弄されながら、
変わるものと、変わらないものと
アパートメントとともに、家族のささやかな歴史が刻まれていきます。
2022年9月1日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.08.29
カンガルーの本棚 やらまいか
伊吹有喜さんの「なでし子物語地の星」(ポプラ文庫)を読みました。
子どもが生まれ、働き始めた耀子
高齢化をたどる山村で、自分ができること、
じぶんがやりたいことを模索します。
「やらまいか」
まわりを励まし、自分を励ます言葉とともに、
耀子は、おとなの女性へと育っていきます。
時代の流れの中で、力強く生きようとする耀子が、輝きます。
大河小説の3巻目は、心に響く1冊です。
2022年8月29日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.08.26
カンガルーの本棚 旅立ちの日に
伊吹有喜さんの「なでし子物語天の花」(ポプラ文庫)を読みました。
高校を卒業する前に、耀子は誰にも告げず家をでます。
車窓を見つめるうちに、ともに過ごした少女時代の思い出がよみがえります。
誰にも愛されない、だれも頼ることができない耀子
不安の中で物語は進んでいきます。
大河小説の2巻目も、つらくなる思いがする1冊です。
2022年8月26日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.08.23
カンガルーの本棚 山奥の村で
伊吹有喜さんの「なでし子物語」(ポプラ文庫)を読みました。
家族の愛情に恵まれない耀子
山奥の生活で出会った、立海
ふたりは、自分を消すことで生き延びようとする同類である事に気づきます。
自立とは、顔をあげて生きること
自律とは、美しく生きること
全3巻からなる、大河小説の1冊目
幼いものが、大きな流れに押し流されていく時代にあらがいながら、
遠くにちいさな灯をみる思いがする小説です。
2022年8月23日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.08.20
カンガルーの本棚 蓮の花のすがた
西條奈加さんの「大川契り・善人長屋」(新潮文庫)を読みました。
囚われの身となった母と娘
恐怖を共にする中で、母は娘に自分の過去をはなし聞かせます。
貧しい幼い時、そして天下をわが手にした娘時代
絶望の中、夫との出合い救われていく
家族の絆が、強く胸を打ちます。
真夏の夜半に読み終えると、自身の昔の出来事が思い出されます。
2022年8月20日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.08.18
カンガルーの本棚 正義とは
西條奈加さんの「閻魔の世直し」(新潮文庫)を読みました。
大江戸で次々と起こる、裏社会の親玉の死
「閻魔組」と称する一味が、世直しを始めたとの瓦版がまかれます。
江戸と令和という時代は違えども、
正義の名に置いて他人を誅する人心は、おなじ根を持っています。
「社会の病理を無視して厳罰化を進めても、果たして効果はあるのだろうか。」
末國善己氏が本書の解説に寄せる一文に、大きくうなづきます。
2022年8月18日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.08.16
カンガルーの本棚 いい人の影に
西條奈加さんの「善人長屋」(新潮文庫)を読みました。
大江戸は深川にある長屋の別名は「善人長屋」
その実態は、裏社会につながる悪党が住む長屋です。
そこへ、本当の善人が迷い込むことから始まる物語。
それぞれの特技を生かしながら、ふりかかる問題を解決していく痛快さ
新しいタイプの時代劇に、ワクワクします。
2022年8月16日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.08.12
カンガルーの本棚 ラジオのむこうから
湊かなえさんんの「ブロードキャスト」(角川文庫)を読みました。
主人公は、事故で運動部を断念した高校生圭祐
入学したての日に、一度も話したこともない同級生正也から
放送部に入部しようと誘われます。
その声に惚れたとの言葉と共に
全国大会を目指す中で、物語の中の世界ではなく、
生きているこの世界で、どう行動するのかが試されていることに気づきます。
文化部というと、地味に思われがちな部活の中での青春。
数時間の読書タイムが、短く感じられるワクワク作品です。
2022年8月12日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.08.09
カンガルーの本棚 親ガチャの時代に
志水宏吉先生の「ペアレントクラシー」(朝日新書)を読みました。
ペアレントクラシーとは、親の影響力が極めて強い社会
家庭の富と、親の願望とが子どもの将来や人生に
大きな影響を及ぼす社会のことです。
この社会を、子ども、親、教師、教育行政の視点から分析されています。
「幸せとは、好きなことを好きな人と一緒にできること」
「好きなこと」を見出すためには、幅広い確かな学力を
多くの「好きな人」を見つけるためには、豊かな人間性や社会性が必要である
それらを育む経験や機会を提供するのが、公教育の務めであると
筆者は、この信念をもとに、ペアレントクラシーの克服策を
教え子と共に考えられていきます。
今の子どもの世界、特に教育の世界を知るうえで、一読をお勧めします。
2022年8月9日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.08.08
カンガルーの本棚 陽が降り注ぐ岬の家で
伊吹有喜さんの「風待ちのひと」(ポプラ文庫)を読みました。
主人公哲司は40歳を前に、心を病みます
亡き母の遺品整理にと帰った岬の家で、
ペコちゃんと出合い、命を助けられます。
遺品整理を手伝ってもらい、
食事をして、眠り、ゆったりとした生活をする中で、
哲司に生きていくうえで、大切なものがよみがえります。
ひとりの男性と、ひとりの女性をめぐる
1本の映画のような素敵な小説です。
2022年8月8日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.08.07
カンガルーの本棚 2枚目のすごろく
西條奈加さんの「隠居すごろく」(角川文庫)を読みました。
仕事一筋に生き、隠居生活を夢見ていた「徳兵衛」は、
孫の千代太が訪ねてきてから、歯車が狂いだします。
まずは白イヌ、そして、汚い身なりの兄妹
次々に千代太が連れてくるお客に翻弄されながら、
人生の意味について、悟ります。
450ページを超える大作ですが、お勧めの1冊です。
2022年8月7日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.08.06
カンガルーの本棚 ドイツ人の生き方
キューリング恵美子さんの「ドイツ人はなぜ自己肯定感が高いのか」
(小学館新書)を読みました。
国際比較では、日本人の自己肯定感の低さが注目されています、
一方「自分自身にまんぞくしてる」ドイツ人は81%
この差はどこから来るのか
自分のために生きる
そのままの自分を受け入れて、自分を大切にする
自分に自信をもつ、自分の意見をしっかりと持つ
自分自身が居心地よく、楽しく過ごせるように心がける
仕事、お金よりも自分や家族の時間を優先する
他人と自分を比べない
この観点から、キューリングさんはドイツ人の生き方を伝えられます。
この生き方が平均的なドイツ人だとすれば、
わたし達は何をしているのでしょうね
島国に住むわたし達に投じられた、生き方を問う1冊です。
2022年8月6日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.08.05
カンガルーの本棚 おとなにも難しい
浜矩子先生の「子どもと考える経済のはなし」(クレヨンハウス)を読みました。
お金ってなに
経済ってなに
大人にもむずかしい、問いかけです。
ひととひととが信頼関係をもって作るもの
ひとをしあわせにするもの
浜先生は、お金や経済への問いかけに、明確に答えられます。
子ども向けにかかれた絵本ですが、
短い文章の中に、お金の本質が詰まった1冊です。
2022年8月5日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.08.04
カンガルーの本棚 痛快ではあるけれど
池井戸潤さんの「オレたち花のバブル組」(文春文庫)を読みました。
堺雅人さん主演の、ご存知「半沢直樹」シリーズの、原作本です。
貸付先とのやりとり、金融庁との駆け引き
そして銀行社内での裏取引
TVシーンを思い出し、痛快ですが
やはり、カンガルーにはそれ以上ではありません。
暑い夏に、熱い小説は、お似合いではなかったようです。
2022年8月4日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.08.03
カンガルーの本棚 こどもは天使
河合隼雄先生の「こころと人生」(創元こころ文庫)を読みました。
人生を大きく4つの時期に区切り、
その時期のこころの転機を、やさしい言葉で解説されます。
子どもの眼でものを見る大切さ
青春期の、心に住む多様な羊たち
中年期の、創造の病
そして、老いに備え、自分の死を受け入れる老齢期
四天王寺夏季大学の講演をまとめられた1冊です。
2022年8月3日
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2022.08.02
カンガルーの本棚 ともかくもっと運動を
アンデシュ・ハンセンさんの「最強脳」(新潮新書)を読みました。
この本の要点は、最後に書かれた3つ
①脳の成長は止まることがない
脳はいつでも変えられるし、成長させられます
②脳を助ける一番良い方法は運動です
③脳はどんな運動をしているかは気にしません。
ともかく運動さえすればよいのです。
ハンセンさん著「一流の脳」のジュニア版として、この本が出版されました。
わたしは、スクワットしながら、この本を読みましたよ。
2022年8月2日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.08.01
カンガルーの本棚 わたしの取説
平松類先生の「老人の取扱説明書」(SB新書)を読みました。
ご高齢の方とご一緒する時に、「あれっ」と思わされることがあります。
都合の悪いことは聞こえないふりをする
突然「うるさい」と怒鳴り出す。
同じ話を何度もする
信号が赤になっても、ゆっくり渡っている。 などなど
それには、老化に伴う身体の変化が隠されていたのです。
平松先生は、本人だけでなく、ご家族や老いを感じ始めた方への
ガイドブックとして、この本を書かれています。
情報満載の、実用書です。
2022年8月1日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.07.31
カンガルーの本棚 逃げながら
宮下絵都さんの「たった、それだけ」を読みました。
母とわたしを捨てて、失踪した父
その父を、いつまでも待ち続ける母
ルイと名付けられた女の子が、転校を繰り返し
自分を見つめ、自分を取り戻していく
どんなに現実が厳しくても、明日はもう少し明るくなるかもと
少しだけ、主人公に「よかったね」と
声をかけたくなる小説です
2022年7月31日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.07.30
カンガルーの本棚 母のねがい
森沢明夫さんの「おいしくて泣くとき」(ハルキ文庫)を読みました。
幼い時に母をなくした心也は、
もうからない大衆食堂を経営する父が、
なぜこども食堂にこだわりを持つのか分かりません。
中学も卒業する年になり、心也は同級生の夕花と石村と心を通い合わせます。
虐待を受ける夕花を助けるために、心也と石村がとった行動とは
時は流れ、おとなになった心也が窮地に陥った時に現れたのは
母から子へと受け継がれた思いやりが、奇跡をおこします。
人と人とのつながりの大切さを、もう一度思い起こさせてくれる作品です。
2022年7月30日
いたやどクリニック 木村彰宏