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2022.07.14
カンガルーの本棚 ひとぐすり
齋藤環先生の「社会的うつ病の治し方」(新潮選書)を読みました。
古典的うつ病に比べて、症状は軽いものの完治しにくい現代のうつ病
コミュニケ―ション社会に過度に適応を試み
疲れ果て、自らの活動にブレーキをかける現代病
齋藤先生は、SSRIなどの抗うつ薬だけではなく
ゆるやかな人と人とのつながりという、
新しいうつ病の治療法を提唱されます。
考えさせられることが多い解説書です。
2022年7月14日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.07.09
カンガルーの本棚 運命というものに
山本甲士さんの「運命のひと」(小学館文庫)を、読みました。
主人公修は、大手流通メーカーの重役
彼が、はじめて故郷で開かれる同窓会への出席を
決心するところから物語は始まります。
酒屋の次男坊として生まれた修は、
任侠映画とであい、いつしか高倉健のような人間になりたいと思います。
やくざもんとの出会い、従妹との別れ
そして、数々の運命が今の自分を育ててくれた意味をかみしめます。
講演会の準備時間の合間に、一気読みの1冊です。
2022年7月9日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.06.27
カンガルーの本棚 はじまりはドングリから
山本甲士さんの「ひなた弁当」(小学館文庫)を、読みました。
主人公は、50才にしてリストラされたサラリーマン。
再就職のあてもなく、公園や河原を歩くうちにドングリを見つけます。
大昔は人々がドングリを普通に食していたことを知り、
アクを抜き、食べてみます、
そのおいしさに引かれて、道に生えているタンポポやノビル
小川におよぐ小魚を採っては調理することを覚えます。
そして、誕生したのが「ひなた弁当」
素朴で深い味わいは、人をひきつけ、人の輪を広げ、
生きる喜びを深めていきます。
働くことの喜びを確かめることができる作品です。
2022年6月27日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.06.25
カンガルーの本棚 今度は神さまが
青山美智子さんの「ただいま神様当番」(宝島文庫)を読みました。
朝起きると、腕に「神様当番」の文字が
誰かのいたずらなのか、まだ夢の中なのか
眼をこすると、年取った神様が現れて、お願い事をしてきます。
OL 女子高生、外国人講師、
人生に迷う人の腕に書かれた「神様当番」の文字が、消えることがあるのでしょうか。
ちょっと不思議な青山ワールドを、あなたも訪れてみませんか。
2022年6月25日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.06.19
カンガルーの本棚 ぐるぐるグルグル
青山美智子さんの「鎌倉うずまき案内所」(宝島文庫)を読みました。
鎌倉の小道にあるという案内所
そこには人生の迷い子になった人が訪れます。
会社員、中学生、脚本家
案内所で出会う双子のおじさんと、不思議な生き物に導かれ、
歩むべき道をみつけます。
不思議で温かくって、こんな案内所があるといいなって思います。
2022年6月19日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.06.09
カンガルーの本棚 導かれて告げられて
青山美智子さんの「猫のお告げは樹の下で」(宝島文庫)を読みました。
訪れる人も限られている、神社には
不思議な猫が出没します。
神社を訪れる人が、その猫に出合うと、
短い言葉が書かれた木の葉が、舞い降りてます。
「ニシムキ」「チケット」「ポイント」「タネマキ」
「マンナカ」「スペース」「タマタマ」
その言葉に導かれるかのように、世界は変わり始めます。
青山美智子さんの短編集2冊目です。
2022年6月9日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.05.21
カンガルーの本棚 偉人の裏側
立川志の輔さんの「大河への道」(河出文庫)を、読みました。
主人公は、香取市の公務員
町おこしのために、郷土の誇り「伊能忠敬」をモデルにした
大河ドラマの売り込みを始めます。
作家とともに、伊能忠敬を調べるうちに分かってきたことは。
公開中の同名映画の原作小説です。
2022年5月21日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.05.18
カンガルーの本棚 ひとつながり
山美智子さんの「木曜日にはココアを」(宝島社文庫)を読みました。
喫茶店の店員、幼稚園の先生、
居場所のない画家、英会話スクールの講師
それぞれがつながり、それぞれが幸せを運ぶ
東京とシドニーを結ぶ ひとつながりを描いた、しあわせな作品です。
2022年5月18日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.05.14
カンガルーの本棚 カシャ
中野量太さんの「浅田家!」を読みました。
写真学校を卒業後、定職につかずにブラブラしていた主人公政志が
再びカメラを手にしたのは、家族写真をとるために
家族ひとり一人が かなえたかった夢を、一枚の写真に収めます。
そして、運命の3月11日
東日本を襲った大地震のあと、写真の復元ボランティアに参加します。
写真がもつ力に気づいた政志が、歩み始めた道は
家族愛にあふれた実話を題材にした同名映画のノベライズ版です。
2022年5月14日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.05.12
カンガルーの本棚 さっちゃんは魔女見習い
山本甲士さんの「ひかりの魔女 さっちゃんの巻」(双葉文庫)を読みました。
事件にかきこまれ、肩を負傷したさっちゃんは、不登校になります。
フリースクールで出会ったのは、「ひかりの魔女」
さっちゃんの「読み語りのおねえさんになりたい」という夢を応援します。
白馬に乗ったり、空手の練習、懸垂の極意を教えてもらう中で
自分も魔女になろうと思います。
おとなの価値観ではなく、子どもの目の高さに合わせて
悩みを解決しようとする、魔女さんシリーズの3作目です。
2022年5月12日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.05.03
カンガルーの本棚 再び魔女降臨
山本甲士さんの「ひかりの魔女にゅうめんの巻」(双葉文庫)を読みました。
今回、魔女の手にかかるのは
ひと足が途絶えた喫茶店を経営する独身女性
事業拡張につき進み、会社を追われた元社長
倒産寸前の町工場を営みながら、妹との確執に悩む女性
お客の何たるかを考えもせず、ラーメン店をたたみ、借金取りに追われる男性
そこに、おばあちゃん魔女が現れて、
次々と難問を解決していきます。
「こんなおばあちゃんが そばにいてくれたらなあ」という
思いにとらわれる1冊です。
2022年5月3日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.05.01
カンガルーの本棚 ふたりのハル
宮下奈都さんの「ふたつのしるし」(幻冬舎文庫)を読みました。
一日中、蟻の行列を見ていても飽きないハルは、いじめを受けながらも
親友の「はぐれものが、いざという時に役に立つんだよ」とうい一言に救われます。
もうひとりの優等生のハルは、あこがれの東京に出た後も、
自分を隠し傷つき、親友の明るさに救われます。
大東京の中で暮らすふたりが、偶然出会い、
そして、おたがいに運命のしるしを見つけます。
逆境にあっても、泣きながらも進んでいくふたりに、幸あれと願います。
2022年5月1日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.04.26
カンガルーの本棚 魔女降臨
山本甲士さんの「ひかりの魔女」(双葉文庫)を読みました。
大学受験に失敗し宅浪中の光一が暮らす眞﨑家は、
危機的な状況が続きます。
父はリストラ候補にあがり、母はパート先から解雇通告
妹は不良仲間とつきあい、家の中はギスギスします。
そこに現れたのが、父方のおばあちゃん
柴犬リキをもらい受けてから、
おばあちゃんの魔法がはじまります。
家族の再生を描いた、心温まる1冊です。
2022年4月26日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.04.21
カンガルーの本棚 人情話にほろり
畠山健二さんの「本所おけら長屋18」(PHP文芸文庫)を読みました。
江戸は本所のおんぼろ長屋で繰り広げれられる人情劇
自分の意思を奪われ人形のような生き方を強いられてきた娘のいくすえは
夫のDVに耐えかねた妻が選んだ道は
子どもを襲った野犬と間違われ、長屋のぼてふりに助けられた白犬の運命は
短いお話しの中に、江戸の市井で暮らすひとの人情が響きます。
おけら長屋シリーズ最新作です。
2022年4月21日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.04.16
カンガルーの本棚 科学の言葉で
伊予原新さんの「月まで三キロ」(新潮文庫)を、読みました。
科学の言葉で、悩める人を救う6つの物語
月まで三キロ、星六花、アンモナイトの探し方
天王寺ハイエイタス、エイリアンンの食堂、山を刻む
どのお話も、ほろ苦く、そして優しさにあふれています。
作者は神戸大学理学部を卒業された学者さん。
いたやど駅前の井戸書店森店長さんお勧めの1冊です。
2022年4月16日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.04.08
カンガルーの本棚 魔法のワンコ
山本甲士さんの「迷犬マジック」(双葉文庫)を、読みました。
ひょっこり舞い込んできた黒柴の名前は「マジック」
赤い首輪に、名前が書いてありました。
どこにでもいそうなマジックは、不思議な力を持っています。
にこりとわらうと、誰もがマジックのとりこになります。
認知症が心配なおじいさん
売れないストリートミュージシャン
冴えないメタボの男性
そして、職を失った女性
マジックと暮らすうちに、人の輪が広がり
心の中に未来を切り開く勇気がわきあがります。
そして、マジックがとった行動とは
ワンコ好きにはたまらない1冊です。
2022年4月8日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.04.04
カンガルーの本棚 ミモザの花が咲くころに
遠田潤子さんの「廃墟の白墨」(光文社文庫)を、読みました。
母に捨てられ、知り合いに育てられた主人公ミモザは、
導かれるままに、廃墟のアパートにおもむきます。
そこで出会った老人たちの口から明かされる、出生の秘密
家族の暗い過去を背負いながら生きていく
ミモザを見守りたくなる小説です。
2022年4月4日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.03.29
カンガルーの本棚 生きているだけで
小野寺史宜さんの「ライフ」(ポプラ文庫)を、読みました。
大学を卒業後、2度の転職を経験し、
今はコンビニでのバイト生活を送る主人公
少しひなびた街のアパートでの、出合いと別れ
小さなことでもいいから、誰かの役に立てるのではと、
一歩を踏み出そうとする主人公
大都市の中で、恵まれない生活を過ごしている若者の未来が、
明るいものでありますようにと、応援したくなる作品です。
2022年3月29日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.03.22
カンガルーの本棚 縁がつながり
小野寺史宜さんの『縁』(講談社文庫)を、読みました。
駅の修繕屋に勤める青年、
しあわせに過ごす同僚を、受け入れることができないでいる女性
息子の後始末に奔走する男性
息子の就職の後押しを願う母親
生まれも育ちの異なる4人が出合い
それぞれが歩く道を踏み外す、その時に踏みとどまる縁(ゆかり)
作者の人を信じる温かさを感じる作品です。
2022年3月22日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2022.03.19
カンガルーの本棚 闇の湖の中で
小野寺史宜さんの「夜の側に立つ」(新潮文庫)を読みました。
受験を控えた高校3年の時に、
野本は友人の勧めで、ロックバンドを組みます。
男子3名、女子2名のバンドは、文化祭で喝采を浴び、
そして、それぞれの道を歩き始めます。
結ばれては離れ、
22年の月日が流れ、再会を果たしたその夜に起きた出来事は
青春の燃え盛り思い悩む時期に幕を下ろし、
次の年代に歩みはじめる再生の物語です。
2022年3月19日
いたやどクリニック 木村彰宏