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2020.12.05
カンガルーの本棚 免疫の教科書
坂口志文先生の「免疫の守護者・制御性T細胞とはなにか」
(講談社Blue Backs)を読みました。
坂口先生は、世界的な免疫学者です
アレルギーの病気だけでなく
自己免疫疾患、がん免疫、感染症対応に関わる免疫機能
攻撃側のエフェクターT細胞と、調節薬の制御T細胞の絶妙な駆け引き
両者のバランスを再構築することで、未来の医療が見えそうです。
免疫学の現状と、展望とを教えてくれる必読の1冊です。
2020年12月5日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2020.11.27
カンガルーの本棚 成果主義ではなく
黒川伊保子先生の「息子のトリセツ」(扶桑社新書)を、読みました。
「トリセツシリーズ」の、男の子版
脳の構造は同じでも、アプリが違うために初期反応が男女では違うというおなじみの説
共感型より、成果主義、問題解決型に傾きやすい男の子を、
「エスコート力」豊かな青年に育てる極意を伝授されます。
読みやすく、なるほど満載の新書です。
2020年11月27日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2020.10.26
カンガルーの本棚 深く考える
文春新書の「コロナ後の世界」を、読みました。
現在を代表する、6人の論客によるコロナ後の世界観
「独裁国家はパンデミックに強いのか」
「AIで人類はレジリエントになれる」
「ロックダウンで生まれた新しい働き方」
「認知バイアスが感染症対策を遅らせた」
「新型コロナで協力になったGAFA」
「景気回復はスウッシュ型になる」など
どの論説も読みごたえたっぷりです。
深く考えるきっかけとなる、論説集です。
2020年10月26日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2020.10.18
カンガルーの本棚 きらきら言葉
朝日新書「コロナ後の世界を語る」を、読みました。
朝日新聞に連載された、各界著名人の論説集です
養老孟司先生、福岡伸一先生、など、きらきら言葉が満載です。
なかでも臨床心理士の東畑開人先生の「こころの個別性」
鎌田實先生の「感染した方へのいたわり」が、記憶に残ります。
アフターコロナという言葉がつかえないほど、長期的な見通しが持てない今
窒息しないですむ言葉に救われます。
2020年10月18日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2020.10.10
カンガルーの本棚 はるなつあきふゆ
畠山健二さんの「本所おけら長屋15」(PHP文芸文庫)を読みました。
はるざれ、なつぜみ、あきなす、ふゆどりと名付けられた4つの短い物語
下町の長屋に暮らす町人の人情に、ほろりとさせられます。
落語の笑いもたっぷりと、
ナナちゃんを抱っこしながら、一気に楽しみ読みしました。
2020年10月10日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2020.10.07
カンガルーの本棚 いつもそばにいるよ
馳星周さんの「陽だまりの天使たち」(集英社文庫)を、読みました。
今回のソウルメイトは、7匹のワンコたち
トイ・プードル、ミックス、ラブラドール・レトリバー
バセット・ハウンド、フラットッコーテッド・レトリバー
フレンチ・ブルドッグ、バーニーズ・マウンテン・ドッグ
難病に侵された少女に心開くワンコ
自殺しようとする男を踏みとどまらせたワンコ
家族の哀しみの中で旅立つワンコ
どの掌編も、こころを揺さぶります。
ぼくが幸せだとあなたたちも幸せだった。
あなたたちが幸せだったからぼくも幸せだった。
ぼくはずっとあなたたちのそばにいるんだよ。
作者の言葉に、涙が流れて止らなくなります。
2020年10月7日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2020.09.27
カンガルーの本棚 菜根譚
高田郁さんの「あきない世傳・金と銀九」(ハルキ文庫)を、読みました。
「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の「三方よし」を信条とする、
呉服商五鈴屋の女主人、幸に、危機がおとずれます。
そんな時に、縁えた儒学者から、菜根譚の一節を授かります。
「衰える兆しは、最も盛んな時に生まれ
新たな盛運の芽生えは、何もかも失ったときに既にある」
江戸中期の商人の物語の中に、
コロナ禍にある今の世の中の、この先の救いを感じます。
毎日の病院運営のヒントを、いただけた思いがしました。
2020年9月27日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2020.09.25
カンガルーの本棚 ソウルメイト
馳星周さんの「ソウルメイト」(集英社文庫)を、読みました。
人と犬との魂のかかわりを描いた7つの物語。
チワワ ボルゾイ 柴犬 コーギー、シェパード、テリア、
そして、バーニーズ・マウンテン・ドッグ
何も語らず、人の心の暗闇に寄り添い、そして去っていく
直木賞受賞作家の、やさしい物語です。
2020年9月25日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2020.09.19
カンガルーの本棚 こどもの心に寄り添って
田中康雄先生の「発達障害だけで子どもを見ないで」(SB新書)を、読みました。
かんしゃくが激しい1才児、寝ない食べない2才児
言葉がなかなか出ない3才児、頑固な3才児など
12の物語に沿って、大人から見ると問題行動を起こす子どもの
こころに深く寄り添って、何をしたいのか、何を伝えたいのかを考えます。
発達にかかわる本を、何冊か読んできましたが、
子どもにやさしい、いちばんの本だと思います。
多くのおかあさん、おかあさんにお読みいただきたい1冊です。
2020年9月19日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2020.09.08
カンガルーの本棚 竜の守る島
有川ひろさんの「アンマーとぼくら」(講談社文庫)を、読みました。
おかあさんと過ごす、3日間の旅
幼くして実母と死別し、沖縄に住むおかあさんと暮らし始める主人公
父の心変わりを受け止められず、おかあさんの愛を素直にうけいれることができない
そんな思い残しを 3日間の旅が修復してくれます。
島の自然と、育まれた深い人情の描写に
人生の育ち直しを考えるのは、主人公だけではないでしょう。
この本を読み、沖縄の地を、沖縄の自然を見たいと、強く思いました。
2020年9月8日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2020.08.15
カンガルーの本棚 これからの人類
更科功先生の「絶滅の人類史」(NHK出版新書)を、読みました。
ネアンデルタール人に比べて、体の大きさも、脳の容量も劣っていた
ホモ・サピエンスが、なぜ生き延びることができたのか
類人猿から続くいのちの歴史の中で、
優れていたものは、社会性と適応力だと、先生は述べられます。
IT化が進み、隣人との付き合いが失われ、
コロナ禍の中で、社会が硬直化するこの先に、
人類の未来はあるのか
本書は 大きな問いを、投げかけています。
2020年8月15日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2020.08.13
カンガルーの本棚 父親になるということ
山極寿一先生の「ゴリラに学ぶ男らしさ」(ちくま文庫)を、読みました。
オス オトコ 男へと、生物学的な差異から
文化的、社会的ジェンダーへと変化してきた歴史を、
ゴリラや類人類の研究を通して、解き明かされます。
男には、次の3つの道徳的使命があります。
①女性を妊娠させる
②被保護者を危険から守る
③親戚一同に食料を提供する
しかし、現代では性差別や、忖度、金持ちの利益しか考えない男など
男の堕落が、目に余るものがあるといわれます。
いったい男たちは、これからどこに向かおうとしているのか
おおきな問いかけを、しめくくりの言葉として
本書は終えられます。
2020年8月13日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2020.08.09
カンガルーの本棚 この星と暮らし続けるために
インフォビジュアル研究会の「14歳から知る気候変動」(太田出版)を、読みました。
地球の気候システムのしくみ
温暖化が引き起こす12のこと
いま人類にできること
3つの章それぞれが、図解と簡潔な文章にまとめられています。
いま、人類が直面している温暖化について、広く考えを整理するためには
わかりやすい解説書です。
猛暑の中で、一読されてはいかがでしょうか
2020年8月9日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2020.08.04
カンガルーの本棚 親から子へと
三上延さんの「ビブリア古書堂の事件手帖ー扉子と空白の時」
(メディアワークス文庫)を、読みました。
古書にまつわる謎解き物語の、新刊書
今回のお話は、横溝正史さんの「雪割草」と「獄門島」の2冊
栞子さんと、娘の扉子さんが、謎解きに挑戦します。
親から子へと、引き継がれていく観察力と推理力
続編が、今から楽しみです。
2020年8月4日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2020.08.01
カンガルーの本棚 欠けては満ちて
森絵都さんの「みかづき」(集英社文庫)を、読みました。
物語は、昭和36年に始まります。
小学校の用務員として勤め始めた吾郎は、
寝泊まりする部屋に子ども達を集めて、勉強を教え始めます。
千明との出会い、そして塾の経営
戦後教育の変革に翻弄されながら、吾郎の子とど、そして孫へと
教育の心は、受け継がれていきます。
満ちては欠けて、また満ちていく月のように
物語もまた、昭和から平成へと流れていきます。
600ページを超える大作ですが、一気に読み進むおもしろさでした。
2020年8月1日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2020.07.19
カンガルーの本棚 新自由主義の終焉
井手英策さんの「欲望の経済を終わらせる」
(インターナショナル新書)を読みました。
小さな政府、自己責任、トリクルダウンと来れば、新自由主義
20年が過ぎ、分断と格差社会以外の何も生まなかった新自由主義が
多くの人々に、なぜ受けいられたのか
井手先生は、歴史からそのわけを解き明かし
次の経済のあり方を展望されます。
経済の本というと、かたぐるしく思われますが、
明るい未来を展望することができ、
ワクワクしながら読み終えることができました。
2020年7月19日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2020.07.01
カンガルーの本棚 ゴリラの子人間の子
山極寿一先生の「スマホを捨てたい子どもたち」(ポプラ新書)を、読みました。
山極先生は、ゴリラの世界的な研究で知られ、
京都大学総長を務められている先生です。
人間の社会を支える共感力は、
共同保育、共食、音楽と踊りという行為で進化してきました。
視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚をみんなで共有して、
楽しい時間を過ごすことで、
信頼という財産を作ることにつながると述べられます。
現実世界で仲間とつながることを避けるスマホ社会は
人間社会の退化につながる危うさを感じると述べられます。
コロナ禍が続き、三蜜を避ける今の社会において、
難しいけれど、乗り越えなければならない課題だと思いました。
ゴリラについての本を、もう少し読みたくなりました。
2020年7月1日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2020.06.28
カンガルーの本棚 大切なことは
稲垣栄洋先生の「はずれ者が進化をつくる」(ちくまプリマー新書)を、読みました。
稲垣先生は雑草の研究者
雑草を観察することで、生物界の多様性、本当に大切なことに想いを馳せられます。
自然界での強さには、競争に勝つこと、環境にじっと耐えること、そして変化を乗り越える力をもつこと、この3つがあるといわれます。
雑草魂は、踏まれても立ち上がるのではなく、
踏まれても大切なことを見失わないことだと、説かれます。
コロナ禍の苦境の中にあって、おすすめの一冊です。
2020年6月28日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2020.06.27
カンガルーの本棚 父親ごっこ
宮部みゆきさんの「ステップファーザー・ステップ」
(青い鳥文庫)を、読みました。
ステップファーザーは、継父がその意味
主人公は、プロの泥棒
ふとしたいきさつから、双子の父親役になります。
次々と起こる事件を、解決していくミステリー小説
子ども向けに編集され直した本ですが、
楽しいひと時を過ごすことができました。
2020年6月27日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2020.06.14
カンガルーの本棚 生き延びた子孫
藤田紘一郎先生の「免疫力 正しく知って、正しく整える」(ワニブックス新書)を、読みました。
新型コロナウイルスの流行で、家庭の中で過す生活が続いています。
子ども達の肌は、日に焼けず白くなり、おなかもぽっちゃり気味
体力の低下が心配です。
藤田先生は、「私たち現代人は、たびかさなる病原体からの攻撃に負けず、命をつないできた祖先の生き残り」と言われます。
生まれながらに強靭な免疫力を持つ私たちが、どのような生活を心がけると良いのか
食生活、腸内細菌、生活リズムなどの視点から、注意すべき点を教えてくださいます。
発刊されたばかりの新書ですが、ご一読されてはいかがでしょうか。
2020年6月14日
いたやどクリニック 木村彰宏