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2019.03.28
カンガルーの本棚 手をつなぎあって
小川糸さんの「にじいろガーデン」(集英社文庫)を、読みました
舞台は山奥の寒村にある、古ぼけたおうち
訳あって都会から逃れてきた4人の親子が 暮らし始めます。
しかも子ども二人に はは二人という 家族構成です。
家族で作った「虹色憲法」
①自分には決して噓をすかない
②一日に一回は、声をあげてげらげら笑う
③うれしいことはみんなで喜び、悲しいことはみんなで悲しむ
④絶対に、無理はしない
⑤辛かったら、堂々と白旗をあげる
家族が暮らしていくなかで、いろいろな事がおこります。
そんな時こそ、虹色憲法を中心に 家族で乗り越えていきます
風変わりな それでいて愛情たっぷりの家族に 乾杯
2019年3月28日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2019.02.28
カンガルーの本棚 ひとのこころが
朱川湊人さんの「オルゴオル」(講談社文庫)を、読みました。
ハヤトは小学4年生
おかあさんとふたり暮らし、空気読み読みの今風の男の子
自分の考えを持たず、まわりに同調します。
そんなハヤトに、近所のおじいさんからの依頼が
オルゴオルを鹿児島に住む知人に届けてほしいと・・
大阪に住む父を尋ね、ミチコさん、サエさんと出会い
旅がはじまります
福知山線列車事故の跡地、広島の原爆ドーム、知覧の特攻隊基地
大切な人をなくした人たちは どうしているだろう
ハヤトは おとなへの 大きな一歩を踏み出します。
2019年2月28日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2019.02.22
カンガルーの本棚 しあわせの輪
森沢明夫さんの「ヒカルの卵」(徳間文庫)を、読みました。
限界集落に暮らす ムーミン似の主人公
街から遠く、これといった産業もなく、
暮らしが成り立たなくなって、歯が抜け落ちるように
村から去っていく人々
主人公のムーさんは、村に活気を呼び戻そうと
「たまごかけご飯専門店」を開きます。
人の縁、友の助けが集まる中で、ムーさんの店はオープンします。
「裕福」と「幸福」とは、イコールでは結べないという作者の
熱い思いが伝わってくる一冊です。
2019年2月22日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2019.02.20
カンガルーの本棚 強さとやさしさと
原田マハさんの「奇跡の人」(双葉文庫)を、読みました。
舞台は明治20年の津軽のお屋敷
聞こえず、見えず、話せない少女と家庭教師のものがたり
そう、ヘレン・ケラーとサリバン先生の日本版です
抱きしめて、こころを通わせ
泣き叫ぶのではなく 忍耐を 伝える工夫を 育てます
そして物語は 昭和へ
65年の歳月を経て、奇跡が再会をもたらします。
強さとやさしさと、こころゆすぶられる小説です。
2019年2月20日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2019.02.19
カンガルーの本棚 ボッチとみんな
中田永一さんの「くちびるに歌を」(小学館文庫)を、読みました。
舞台は、本土を遠く離れた五島列島の中学の合唱部
女子だけのクラブに、男子生徒が入部してきます。
ざわめく空気、ひろがる波紋
15才の悩みと、未来への不安
ひとりで自分を見つめる孤独と
みんなで心ひとつに歌い上げる連帯感
小説は、五島の1年を足早に語ります。
15の時に自分は何を考えていたのか、
ふりかえり、はずかしく なつかしく
お読みいただきたい 一冊です。
2019年2月19日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2019.02.15
カンガルーの本棚 ふしぎな喫茶店
森沢明夫さんの「癒し屋キリコの約束」(幻冬舎文庫)を、読みました。
舞台は下町にある ふしぎな喫茶店
レジの横には、神棚とお賽銭箱が 鎮座します
店長とオーナーは、訳ありな女性
悩みをかかえた依頼人が、助けを求めて集まります。
さあ あなたも ふしぎな喫茶店のドアを 開きましょう
2019年2月15日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2019.02.14
カンガルーの本棚 守りたいもの
葉室麟さんの「峠しぐれ」(双葉文庫)を、読みました。
国境の峠茶屋で、ひっそりと暮らすふたり
夜逃げの一家を助け、助太刀をたすけ
そしてふたりは 藩の勢力争いに巻き込まれます。
身を隠すように暮らすふたりの過去とは
そして、守りたい、守ろうとするものは
最後のページまで 一気読みの一冊です
2019年2月14日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2019.02.11
カンガルーの本棚 おじぞうさん
森沢明夫さんの「夏美のホタル」(角川文庫)を、読みました。
房総の寒村を訪れた、若いふたりずれ
よろずやに住む老親子との交流を通じて、
家族とは、幸せとはなにかを考えます。
悲しい過去と、数十年後の和解
作中に登場するおじぞうさんに、会いたくなりました。
2019年2月11日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2019.02.10
カンガルーの本棚 もっと前に知りたかった
庭内別居、熟年離婚という、おだやかでない言葉が飛び交います。
好きで一緒に暮らし始めた男女が、なぜにうまくいかないのか
黒川先生は、その答えを男性の努力に求めます。
妻につらい記憶を与えないコツ
妻に笑顔をもどすコツ
どうすればよいのか、それは読んでのお楽しみ。
男性必読の一冊です。
2019年2月10日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2019.02.07
カンガルーの本棚 縄文からのメッセージ
森沢明夫さんの「ライアの祈り」(小学館文)を、読みました。
主人公は、縄文時代に生きるライアと
いまに生きる桃子
それぞれに 人には言えぬ悩みをかかえ、
出会いの中で、明日への一歩を踏み出します。
青森の自然と 人情にひたりながら
ゆったりとした時間を過ごすことができる 素敵な1冊です。
2019年2月7日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2019.02.05
カンガルーの本棚 キャラメルチョコチップの味
森沢明夫さんの「キッチン風見鶏」(ハルキ文庫)を、読みました。
港町の小高い丘の上にあるレストラン
そこに働くウエイターは、少し不思議な力を持っています
それは、幽霊が見えること
レストランに現れる怪しげな物影と
屋根の上のこわれた風見鶏の秘密とは
こころの芯まで温かくなれる レストランにようこそ
2019年2月5日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2019.01.22
カンガルーの本棚 カーラーの誇り
森沢明夫さんの「青森ドロップキッカーズ」(小学館文庫)を、読みました。
からだが小さく、眼鏡をかけて さえない風貌の中学3年生は
いじめの真っただ中で暮らしています。
幼馴染も裏切られ、それでもおばあちゃんが残した言葉を頼りに
毎日を乗り越えようとします。
カーリングと出会った日から、彼の毎日が変わり始めます。
カーラーの誇りとは・・
楽しい たのしい青春小説です。
2019年1月22日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2019.01.13
カンガルーの本棚 家族すれちがい
是枝裕和さんの「歩いても歩いても」(幻冬舎文庫)を、読みました。
職を失った主人公は、兄の命日に里帰りします。
おぼれかけた子どもを助けようとして、命を失った兄。
兄を失ったことを、20年たっても受け入れることができない両親
兄の化身のような蝶が、家の中に舞い込みます
「人生はいつも、ちょっとだけ間に合わない」
その言葉をかみしめながら、主人公は家族と歩き続けます。
2019年1月13日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2019.01.12
カンガルーの本棚 幸せのあおいろケース
近藤史恵さんの「スーツケースの半分は」(祥伝社文庫)を、読みました。
主人公は あおいろスーツケース
フリーマーケットに売りに出され、持ち手を次々と変えながら世界を旅し、
いつしか、しあわせを呼ぶスーツケースと呼ばれるようになります。
スーツケースに入っていたメモ用紙の
「あなたの旅に、幸多かれ」という言葉の秘密とは・・・
新しい一歩を踏み出そうとするあなたに
勇気を与えてくれる1冊です。
2019年1月12日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2019.01.06
カンガルーの本棚 あなたのうみへ
森沢明夫さんの「あなたへ」を、読みました。
妻の残した遺言状を求めて、西へ西へと車を走らせる主人公
旅の途上の出会いと別れ、
「他人と過去は変えられないけれど、自分と未来は変えることができる」
旅の終わりに、妻が愛した言葉の重みをかみしめる主人公
愛する人に想いをはせながら、お読みいただきたい1冊です。
2019年1月6日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2019.01.02
カンガルーの本棚 きらきらのうらに
森沢明夫さんの「きらきら眼鏡」(双葉文庫)を読みました。
愛猫を失った一人暮らしの主人公は、
ふと立ち寄った古書店で一冊の本を手に入れます。
はさまっていたのは、女性の名刺
誤って古書店に売ったのではないかと考え、連絡を取ります。
本を通して知り合った年上の女性は、ペコちゃんのような笑顔で、
「きらきら眼鏡」の話をします。
何を見ても新鮮で、輝いて見えるという「きらきら眼鏡」
眼鏡をかけることになった 悲しい出来事とは
やさしくて、せつなくて
お正月やすみに、ゆっくりとお読みください
2019年1月2日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2018.12.21
カンガルーの本棚 カクテルの味
森沢明夫さんの「大事なことほど小声でささやく」(幻冬舎文庫)を、読みました。
主人公は、身長2mを超える体格のおねえ、ゴンママ
「スナックひばり」を訪れるお客との人情話です。
さえないサラリーマン、売れっ子の漫画家、シャイな高校生
おしゃべりな歯科医師、小さな会社の社長さん
彼らの悩みを、カクテルに託して相談します。
おかしくって、深くて、しんみりと
もしかして、今年読んだ本の中で、No1かなって思います。
2018年12月21日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2018.12.06
カンガルーの本棚 それぞれの独り立ち
原田マハさんの「独立記念日」(PHP文芸文庫)を、読みました。
生活につかれ、生活に行き詰まりを感じる主人公たちが
新しい一歩を踏み出す24のものがたり。
前のお話の登場人物が、次のお話の主人公になっていくおもしろさ、
「自由になる」ってことは、「いかに独立するか」ってことなんです。
ややこしい、いろんな悩みや苦しみから・・
作中に登場するこの言葉が、「独立記念日」という本の題名を表しています。
短くて、濃い口で、いつか再読したい一冊です。
2018年12月6日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2018.11.09
カンガルーの本棚 群れて生きる
梨木香歩さんの「僕は、そして僕たちはどう生きるか」(岩波現代文庫)を、読みました。
主人公は14歳の男の子、わけ合って父母と離れ、ひとりで暮らしています。
学校に行かないという選択をしている友だち宅を訪れて、
おきる一日の出来事を小説は描きます。
「人が生きるために、群れは必要だ。
強制や糾弾のない、許し合える、ゆるやかで温かい絆の群れが。
人が一人になることも了解してくれる、離れていくことも認めてくれる、
けど、いつでも迎えてくれる、そんな『いい加減』な群れ」
最後に、作者はこう記します。
「この言葉を言う力を、自分につけるために、僕は、考え続けて、生きていく。」と
2018年11月9日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2018.11.04
カンガルーの本棚 嵐の中学生時代
椰月美智子さんの、「体育座りで、空を見上げて」(幻冬舎文庫)を、読みました。
主人公「わっこ」は、中学一年生
新しく始まる学校生活への不安、
部活動、友人との行き違い
異性へのあこがれ、
尾崎豊にあこがれ、母親に八つ当たりし、
そんなじぶんがイヤになり、
高校に入るまでの3年間の「わっこ」の生活を、小説はていねいに描きます。
思春期の嵐の季節
女の子もずいぶんと大変なんだなと感心します。
中学生の女の子をお持ちのおかあさん
お読みになられると、娘さんとの話がひろがるかも です
2018年11月4日
いたやどクリニック 木村彰宏