カンガルーの小部屋

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  • 2018.10.05

    カンガルーの本棚 あすのわたしたち

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    NHKスペシャル取材班の「老後破産」(新潮文庫)を、読みました。

    年金が削られ、医療費や介護費の負担が重くのしかかってくるなかで

    1日の食費を100円で済ませ

    足腰が痛くても、医者代は節約し

    冠婚葬祭にかかるお金を出せないために、旧友との交友を断ち

    つながりを失い、孤独に耐える暮らし

    読み進めるうちに、この国の豊かさが うそごとではないかと思い始めます

    この本、2014年9月NHKスペシャルで放送されたものを文庫化したものです。

           2018年10月5日

                  いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2018.09.27

    カンガルーの本棚 患者さんの思いを

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    南杏子さんの「サイレント・ブレス」(幻冬舎文庫)を、読みました。

    主人公は、在宅訪問クリニックに努める女性医師

    大学から派遣され、看取り医療に戸惑いながら成長していきます。

    ジャーナリスト、筋ジストロフィーの青年、大学教授

    彼女が訪問する患者さんはいろいろな方ですが、

    患者さんの思いを尊重する医療とは何かと

    彼女は考え続けます。

    多くの方に、できれば医療にたずさわれる方にお読みいただきたい1冊です。

             2018年9月27日

             いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2018.09.25

    カンガルーの本棚 ごめんなさい、ありがとう

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    辻村深月さんの「朝が来る」(文春文庫)を、読みました。

    登場するふたりの女性

    ひとりは、望んでも子どもを授からなかった女性

    ひとりは、未成年で育てられない子どもを授かった女性

    2人は特別養子縁組で結ばれます。

    6年後、朝斗と名付けられた子どもの前に現れたのは・・

    誕生日に出合えてよかった作品です。

          2018年9月25日

          いたやどクリニック 木村彰宏 

     

  • 2018.09.24

    カンガルーの本棚 いちばんの贈り物

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    角田光代さんの「Presents」を、読みました。

    贈り物をめぐる、12の短いお話

    親からもらった名前、

    小さな体に大きなランドセル

    一人暮らしを始める時にもらった鍋セット

    結婚式に友だちみんなからもらった手作りのウェディングベール

    子どもが描いた一枚の絵

    娘から結婚式でもらったぬいぐるみ

    そして・・・

    あとがきで作者はこう書き記します

    「品物は、いつかなくしてしまっても、

    贈られた記憶、その人と持った関係性は、けっして失うことがない」と

    カンガルーも子どもからもらった誕生日プレゼントを、

    その記憶とともに大切にしようと思いました。

           2018年9月24日

           いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2018.09.16

    カンガルーの本棚 同業者の頭の中

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    中山祐次郎先生の{医者の本音}(SB新書)を、読みました。

    先生は、現役の外科のお医者さん

    わたしよりも うん十年も若手の先生です。

    本の中身はいたって真面目です

    大丈夫でしょう、様子をみましょうという言葉の本音

    民間療法の考え方

    奇跡の生還をどう考えるのか

    いのちの値段はいくら

    などなど、興味は尽きません。

    そのお考えも、きわもの的なものではなく

    いたって常識的。

    ふむふむ にやにやしながら 読み終えました

           2018年9月16日

           いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2018.09.15

    カンガルーの本棚 次にお会いできるのは

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    高田郁さんの「みおつくし料理帖、花だより」(ハルキ文庫)を、読みました。

    女料理人澪と、とりまく人々のその後の物語

    お互いの表情をみせあわない夫婦が、わらびもちで深まる縁

    澪の親友が、幸せに向けて一歩踏み出す唐汁

    そして、澪の夫の苦悩を支えるふるさとの味

    澪の その後の その後の物語を また読んでみたいものです。

          2018年9月15日

                いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2018.09.11

    カンガルーの本棚 ことばに心をこめて

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    小川糸さんの「ツバキ文具店」(幻冬舎文庫)を、読みました。

    主人公は、鎌倉で小さな文具店を営む女性

    彼女のもとに 手紙の代筆依頼が次々と飛び込みます。

    お悔み状

    離縁のおしらせ

    初恋の人への淡い気持ち

    そして、借財への断り状

    ことばを集め、ペンと紙を選び

    鳩子は 手紙を書くことで自らの過去に向かい合います。

    ことばのうつくしさに しっかり酔うことができる作品です。

           2018年9月10日

           いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2018.08.18

    カンガルーの本棚 人情話10話

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    畠山健二さんの「本所おけら長屋10・11」を、読みました。

    駅前の井戸書店さんに立ち寄ると、なんと著者のサイン本

    すぐに買い求めての2日間

    江戸の人情話に どっぷりとつかります。

    10の短いお話を、読み終えれば水戸黄門の世界

    一つひとつのお話を、安心して楽しむことができました。

            2018年8月18日

            いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2018.08.15

    カンガルーの本棚 隣国のあゆみ

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    岡百合子さんの「中・高校生のための朝鮮・韓国の歴史」(平凡社ライブラリー)を、

    読みました。 

    高句麗から新羅、高麗そして朝鮮王朝へ

    それは常に外敵の侵略を受けながらの歩みでした

    同時に、名もなき人たちの抵抗の歴史でもありました。

    歴史は時の政権の都合により書き換えられるのが常ですが

    お隣の国の民衆の力強さに感銘しながら、最後の1ページを読み終えました。

         2018年8月15日

         いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2018.08.07

    カンガルーの本棚 本を味わう

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    ほしおさなえさんの「活版印刷三日月堂・雲の日記帳」(ポプラ文庫)を読みました。

    主人公は、川越の古い街並みの中にひっそりと店を開いている印刷屋さんの店主

    シリーズ4巻目になる本書は、

    星をつなぐ線

    街の木の地図

    雲の日記帳

    三日月堂の夢、の4つのお話からなります。

    人と人とのつながりを、小さな印刷屋さんが広げていきます。

    読み終えた後、主人公たちに会いに、川越の街に、出かけてみたくなりました。

           2018年8月7日

           いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2018.08.06

    カンガルーの本棚 生き抜いていく力

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    中脇初枝さんの「世界の果てのこどもたち」(講談社文庫)を、読みました。

    主人公は3人の女の子。

    戦争中の満州で、3人は出合います。

    珠子は高知の寒村からやってきた開拓団の一員

    終戦を迎えて、残留孤児として中国の両親とともに生きていきます

    茉莉は横浜の裕福な家庭で生まれ、日本に引き揚げたあと

    空襲で家族と家を失い、戦災孤児として生きていきます。

    美子は朝鮮の貧しい家庭に生まれ、在日朝鮮人として生きていきます。

    文化大革命、恋人との悲しい別れ、朝鮮戦争 

    どんなにつらいことがあっても

    3人を支えたのは、分けあって食べた1個のおむすびの記憶

    そして、誰かに確かに愛されたという記憶

    広島被ばく73年目の今日8月6日

    戦争で失われた、そして戦争を生き抜いた人たちに思いをよせる

    読書になりました。       

         2018年8月6日

          いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2018.05.10

    カンガルーの本棚 もろびとこぞりて

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    有川浩さんの「キャロリング」(幻冬舎文庫)を、読みました。

    キャロリングとは、クリスマスイブの日に、賛美歌を歌い、キリストの生誕を知らせること。

    おとなの都合と、子どもの願い、

    そこに散りばめられる倒産、離婚、誘拐、虐待、暴力などの言葉

    有川さんの軽やかな文体とともに、物語は意外な方向に展開していきます。

    おもしろくて、一気読み、

    作られた主人公たちなのに、その行く末のしあわせを願いたくなる一冊です。

           2018年5月10日

           いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2018.05.06

    カンガルーの本棚 知らない世界に

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    有川浩さんの「明日の子供たち」(幻冬舎文庫)を、読みました。

    営業職から児童養護施設に転職した青年の成長のお話

    転職の動機はと尋ねられ、「TVのドキュメンタリー番組を見て、

    かわいそうな子どもの支えになれたらなあっつて・・」と答えます。

    施設の厳しい現状、そこで暮らす当事者(子ども達)の声

    青年は物怖じをしない性格を武器に、難問に立ち向かっていきます。

    がんばれ 青年

    本は、知らなかった世界を教えてくれるもの

    子どもを見る目が、少しだけ広がったように思える、そんな作品です。

         2018年5月6日

         いたやどクリニック 木村彰宏  

     

  • 2018.04.25

    カンガルーの本棚 ページをめくるのがつらい

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    遠田潤子さんの「蓮の数式」を、読みました。

    主人公は、算数障がいの青年、そして彼の子どもを産もうと決意する人妻

    世間からみれば なんということをと非難を浴びる二人の生き方を

    作者は淡々と描きます。

    謎解きの本は、人の善意と分かり合えないもどかしさを描きながら

    それでいて、人の大切なものをうたいあげます。

    読後感は、「これはまいったな」

    主人公のその後の生き方が とても気になる1冊です。

           2018年4月25日

           いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2018.04.22

    カンガルーの本棚 奇跡とは呼ばない

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    東野圭吾さんの「ラプラスの魔女」を、読みました。

    ラプラスは、ポケモンにも登場する有名なキャラクター

    映画化され、5月に公開されるということもあり、

    興味深く手にしました。

    中身は 文庫本のカバー絵が表すように、不思議な力をもつ青年と少女の物語

    あとは 劇場でのお楽しみということにしましょうか

    そうそう、残念ながらポケモンが出てきませんよ

    念のため

          2018年4月22日

          いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2018.04.13

    カンガルーの本棚 おもしろくて一気読み

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    杉山登志郎先生の「発達障害の薬物治療」(岩崎学術出版社)を、読みました。

    新聞の書籍欄に紹介されていたのが目に留まり、

    さっそく事務長さんに無理を言って購入してもらいました。

    杉山先生は、ASDやADHD、虐待など、児童精神科の大家です。

    従来の精神科治療のもう一つ先にある、

    発達の視点から見た専門書と一般向けの解説書の中間の書籍

    おもしろくて、お休みの日に一気読み

    次は、誰に勧めてみようかな

           2018年4月13日

           いたやどクリニック 木村彰宏

     

     

  • 2018.04.09

    カンガルーの本棚 さるとヒトと

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    更科功先生の「絶滅の人類史」(NHK出版新書)を、読みました。

    副題の なぜ「私たち」が生き延びたのか にあるように

    この本のテーマは、ホモ・サピエンスの発達の歴史です

    重たい頭は、有利なのか

    全体重の2%ほどの重量しかない頭は、25%のエネルギーを消費する低燃費

    頭の重量比較では、ネアンデルタール人の方が重かったといいます。

    直立歩行は、有利なのか 

    走る速さでは4本足走行にはかないません。

    でも、重たい頭をのせて、長い距離を移動するには有利です。

    短い毛は、有利なのか 

    汗をかいて熱中症小を防ぎ、寒い時期には服の重ね着をしてたかも

    生物として 大きくも強くもないヒトが繁殖したのは

    集団を組んで狩りをしたり、身を守ったりする社会性

    ほかの種に比べて 多産であったこと

    お休みの日の4時に早起きして、一気読みのおもしろさ

    これまで習ってきた常識がひっくり返りました

    8日夜に放送された NHKスペシャル番組「人類誕生」とともに、

    こころは 人類黎明期に ひとっつ跳びします。

          2018年4月9日

          いたやどクリニック 木村彰宏 

     

  • 2018.03.21

    カンガルーの本棚 鍵となる言葉は

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    橋本健二先生の「新・日本の階級社会」(講談社現代新書)を、読みました。

    先生は、格差社会から、格差が固定化されている階級社会に変わったと、

    論を進められます。

    2016年に首都圏で行われた次の4つの質問から、

    ①日本では以前と比べ、貧困層が増えている

    ②いまの日本では収入の格差が大きすぎる

    ③貧困になったのは努力しなかったからだ

    ④努力しさえすれば、誰でも豊かになることができる

    社会の格差や自己責任に対する意識を、階級ごとに分類されます。

    格差については、20~30%の人がそう思わない

    自己責任については、35~40%の人が、

    貧困は自己責任の結果だと答えています。

    この二つの視点を結びつけると、次のような言葉が浮かび上がってきます。

    ①お金持ちは、努力をしたからだ

    ②貧困層は、努力が足りなかったからだ

    橋本先生は、自己責任という言葉に、鋭く迫られます。

    ①超お金持ちは、親からの資産を引き継ぎ、努力しなくてもお金持ちでいられる

    ②努力しても、病気や天災などの不幸で、貧困層に転落していく

    多くの人の心の中にある

    努力をすれば、結果はついてくる

    あいつは、努力しないからヘマばっかりしているという、自然な気持ちが、

    貧困層への無理解と、自己責任論を生み出していると言われます。

    努力しなくてもお金持ちのままでいられる、反対に努力をしても報われない

    理不尽さに、目を向けさせてくれる 良書です。

         2018年3月21日

         いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2018.03.07

    カンガルーの本棚 別解力って

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    鎌田實先生の「人間の値打ち」(集英社新書)を、読みました。

    鎌田先生は諏訪中央病院で働くお医者さん

    人間の値打ちをきめる、7つのカタマリ

    ①空気に流されない生き方

    ②人生を楽しむ力

    ③愛と死

    ④破壊力

    ⑤稼ぐ力

    ⑥別解力

    ⑦孤独を怖がらない力

    この7つのカタマリからみて、鎌田先生は自らの生き方を、自己採点をされます。

    お金や出世が大きな顔をしている世の中で、本当に大切なことを教えられる1冊です。

          2018年3月7日

          いたやどクリニック 木村彰宏

     

  • 2018.02.26

    カンガルーの本棚 森の中をさまよい歩き

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    宮下奈都さんの「羊と鋼の森」(文春文庫)を、読みました。

    主人公はピアノの調律師をめざす青年。

    個性豊かな先輩の中の助けの中で、自分だけの音を探す旅に出ます。

    「明るく静かに澄んで懐かしい文体、少しは甘えているようでありながら、きびしく深いものを湛えている文体、夢のように美しいが現実のようにたしかな文体」

    原民喜の理想とする文体を音に変えた言葉が、繰り返し主人公の背中を後押しします。

    一人の青年の成長物語でありながら、筆者の覚悟が伝わってくる小説です。

           2018年2月26日

                  いたやどクリニック 木村彰宏

     

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