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2024.07.06
カンガルーの本棚 あるアレルギー専門医の生き方
眞田幸昭先生の「アレルギーと上手につきあうためのヒント」(三省堂書店)を読みました。
眞田先生は、アレルギー専門医として、
地域のお医者さんとして活躍されてきました。
その間に書き溜められた書簡をまとめられ、このほど上梓されました。
アレルギーの話だけでなく、音楽や山歩きなどの趣味のお話し
そして、なによりも「すべての差別に対峙する」という生き方が書かれています。
先輩として、ひとりの臨床医として、素晴らしい人生を歩んでこられました。
この本が、多くの方の目にとまるよう願います。
2024年7月6日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2024.06.29
カンガルーの本棚 ネコの手を
高橋由太さんの「ちびねこ亭の思い出ごはん」(光文社文庫)を読みました。
岬にある小さな食堂で出されるご飯を食べると、亡くなった人に会えるという
交通事故で兄を亡くした女性、
ほのかな思いを寄せる女子に、心ない言葉を投げかけたまま別れた小学生
それぞれの思いを、思い出ご飯が救います。
あなたは、誰と思い出のご飯を食べようと思いますか。
2024年6月29日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2024.06.27
カンガルーの本棚 見知らぬ手紙
森沢明夫さんの「水曜日の手紙」(角川文庫)を読みました。
水曜日に書いた手紙を送ると、見知らぬ誰かにその手紙が届き、
別の見知らぬ誰かからの手紙が戻ってくるという
主人公は、子育てとバイトに明け暮れる毎日に疲れ切った女性
そして絵本作家になるという夢を捨て、会社勤めを続ける中年男性
友の暮らしをうらやみ、内向きに内向きに自分を否定する毎日
ふとしたことから知った水曜日の手紙に、自分の夢や悩みを託し
少しずつ人生が変わり始めます。
生きる強さと暖かさに満ちた作品です。
2024年6月27日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2024.06.19
カンガルーの本棚 こころで泣いて
重松清さんの「かぞえきれない星の、その次の星」(角川文庫)を読みました。
笑顔の奥にある悲しみを描いて11の短いお話
「送り火のあとで」と題された短編は、
病気で母をなくし、新しい母を迎えた姉と弟の物語
亡き母の精霊を迎え送るお盆の送り火に、家族の悲しみがひろがり、
そして希望の残り火が、灯り続けます。
2024年6月19日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2024.06.15
カンガルーの本棚 貧しさのゆえに
桐野夏生さんの「燕は戻ってこない」(集英社文庫)を読みました。
北の果て、北海道は北見市から東京に出てきた主人公は、
正規職員の職を得ることができず、
10円、20円を節約して食べるだけの生活に疲れ果てます。
思い余って手をだしたのが、「代理母」の契約
悩み、苦しみ、そして生まれた双子を前に出した答えとは
NHK連続ドラマに魅せられて手に取った、問題作です
2024年6月15日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2024.06.10
カンガルーの本棚 川を渡るとき
西條奈加さんの「三途の川の落しもの」(幻冬舎文庫)を読みました。
小学校6年生の少年は、自分の体から魂が抜け出ていく体験をします。
歩き続けて着いたところは、三途の川の河原。
現世への未練を残した人の訳を探しに、現生に戻る旅を続けるうちに、
少年は、自分の身に起きた出来事を思い出していきます。
不思議な、そして温かな物語です。
2024年6月10日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2024.05.30
カンガルーの本棚 老いてなお楽しみが
内藤誼人先生の「老いを楽しむ心理学」(ワニブックス)を読みました。
高齢者は、「心身が衰えて健康面での不安が大きい」
「収入が少なく、経済的な不安が大きい」「古い考え方にとらわれがちである」
「まわりとのふれあいが少なく孤独である」
といったネガティブなイメージが上位を占めます。
心理学者の内藤先生は、数々の研究論文を参考にされながら、
あたらしい高齢者像を提唱されます。
老いてなお楽しむことができるように、熟読の1冊です。
2024年5月30日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2024.05.25
カンガルーの本棚 疲労とウイルスと
近藤一博先生の「疲労とはなにか」(講談社ブルーバックス)を読みました。
忙しすぎる国日本で、社会問題にもなっている疲労
そして、慢性疲労症候群、うつ病
さらには、コロナ感染後遺症による疲労、うつ、ブレインフォグ
その奥底に流れる、脳内炎症をコントロールし、また炎症を引き起こす
ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)
近藤先生は、臨床で経験された疑問から出発され、
疲労の謎に深く迫られます。
これまでに読んだ科学書の中で、1番の解説書に出会うことができました。
2024年5月25日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2024.05.22
カンガルーの本棚 南の島の小さなホテルで
坂木司さんの「ホテルジューシー」(角川文庫)を読みました。
女子大生の浩美は、ひと夏のアルバイト先を沖縄のホテルに決めます。
手伝いにと行った那覇のホテルジューシー
そこで待っていたのは、昼間は寝てばかり
日が暮れると超切れきれのオーナー代理
次々に起こる事件を解決する中で、
人の目を基準に、いい子で生きてきた自分が、
少しずつ変わっていくのを感じます。
お仕事小説&成長物語の、面白編です。
2024年5月22日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2024.05.16
カンガルーの本棚 家族のあれこれ
西條奈加さんの「みやこさわぎ」(創元推理文庫)を読みました。
婚約直後に失踪する女性、
家族を置いて行方不明になる母親
送られてきた鮎の謎
今回も、スーパーばあちゃんが大活躍
ノゾミ君と、ばあちゃんが住む下町に、出かけてみたくなりました。
2024年5月16日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2024.05.09
カンガルーの本棚 消えた両親
西條奈加さんの「いつもが消えた日」(創元推理文庫)を読みました。
後輩ユウト君の両親と姉が、突然消えてしまった。
ユウト君を自宅に引き取り、お世話するかたわら、
消えた家族を探すノゾミ君と、おばあちゃん
数少ない手がかりをもとに、無事家族救出作戦は成功するのでしょうか
スーパーおばあちゃんの活躍が今回も光ります。
2024年5月9日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2024.05.07
カンガルーの本棚 スーパーばあちゃん
西條奈加さんの「無花果の実のなるころに」(創元推理文庫)を読みました。
大江戸は神楽坂に住む中学生ノゾミ君のおばあちゃんは、
「生粋の江戸っ子」、でも料理はまるっきりできません。
転勤で北海道に住んでいる両親にかわり、
おばあちゃんのお世話係兼料理人となった
ノゾミ君のまわりで次々と起きる不可解な事件。
そのひとつ一つを、スーパーばあちゃんが解決していきます。
何とも言えない掛け合いのおかしさに、満足の1冊です。
2024年5月7日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2024.05.03
カンガルーの本棚 自分の手で扉を開けて
坂木司さんの「動物園の鳥」(創元推理文庫)を、読みました。
動物園に、虐待された猫が相次いで発見される
動物を愛する女性と、ホームレス、
さらにはひきこもり探偵が学校に行けなくなった原因の男が登場し、
今回の謎解きが進みます。
降りの中に閉じこもったままの、ひきこもり探偵は
はたして自分の手で、鳥のかごをあけて、
大空に飛び立つことができるのか
シリーズ第3話も、心の奥底を描く作品です。
2024年5月3日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2024.05.01
カンガルーの本棚 こころの奥底に
坂木司さんの「仔羊の巣」(創元推理文庫)を、読みました。
ひきこもり探偵の今回の謎解きは
元気をなくした同僚の女性の、心の中
地下鉄のホームで、不可解な行動をとる中学生
やさしさに迷う主人公は祖母の言葉を思い出します。
「優しくしてあげればいいんだよ。
一番近くにいるひとからはじめて、
まだ手が届くようだったら、もう少し先の人に優しく
そういう風にしていけば、遠くにも届くだろう」
謎解きに込められた作者のメッセージに、心がひかれます
2024年5月1日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2024.04.25
カンガルーの本棚 部屋の中から
坂木司さんの「青空の卵」(創元推理文庫)を読みました。
ひきこもりの青年と、彼が唯一信頼する青年の物語。
夏から、秋、冬、そして春への季節がめぐる中で、
身近に起きる不思議な事件を、ひきこもりの青年は
その謎を、部屋の中から解き明かしていきます。
一風変わった友情物語に、引き込まれていく小説です。
2024年4月25日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2024.04.19
カンガルーの本棚 イベント続きの冬がきて
坂木司さんの「ウインターホリデー」(文春文庫)を読みました。
突然父親になった青年は、夏休みがおわり、子どもと別れの季節を迎えます。
そして、寒い季節が訪れて、クリスマス、お正月、バレンタインデー、ホワイトデーと
イベント続きの冬を過ごします。
時折訪れる我が子に翻弄されながら、
またひとつ父になっていく姿に、苦笑しつつ、一気読みします。
2024年4月19日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2024.04.05
カンガルーの本棚 ヤンキーとうさん
坂木司さんの「ワーキングホリデー」(文春文庫)を読みました。
主人公の青年は、元ヤンキーで、今はホストを稼業中。
そこに現れた小学生は、突然「おとうさん」と叫びます。
ホストをやめ、宅配便に勤め先を変えた青年は、
はじめて出会う我が子と、短い夏を過ごします。
次第に父になっていく青年の言葉と行動がおもしろおかしくて、
一気読みの1冊です。
2024年4月5日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2024.03.29
カンガルーの本棚 笑って泣いて
小川糸さんの「サーカスの夜に」(新潮文庫)を、読みました。
大きくなれない病気を抱えた少年は、
小さい時に見たサーカスに入ることを夢見ます。
トイレ掃除、食事係、
そこで出会う芸人たちに教えられ、綱渡りの芸を極めようと思い立ちます。
人を笑わせるってことは、人を傷つけたり哀しませたりすることよりも百倍も千倍も難しい
人生の哀しみを知らなくっちゃ、
相手を笑わせることなんてできないもの。
孤独を知っているからこそ、みんなでバカ笑いできる幸せを
ありがたく思えるのよ。
団員の言葉を胸に、少年は今日も綱に挑みます。
2024年3月29日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2024.03.26
カンガルーの本棚 からっぽの箱に
寺地はるなさんの「希望のゆくえ」(新潮文庫)を、読みました。
失踪した「希望」という名の弟を、たずね探す「誠実」という名の兄
弟が働いていた会社の同僚や、失踪後に住んでいたアパートの家主
そして、同居していた女性を探しだし、
弟の消息を尋ねるうちに、弟が抱えている心の闇に気づきます。
お菓子の空き箱に、大切なものを詰めるように、心の闇を埋めていく、
その先に、一筋の希望の光を見る思いがします。
難しいテーマが描かれた小説です。
2024年3月26日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏
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2024.03.23
カンガルーの本棚 忍者で復活
山本甲士さんの「ひなた商店街」(潮文庫)を読みました。
アクションスターの夢が破れ、故郷の実家に戻った主人公
働き始めたおでん屋は、ひなびた商店街に残された5店舗のひとつです。
再開発の波が押し寄せ、いつ取り壊されてもおかしくない店に、
テレビの食レポが収録に訪れます。
なにか目新しいものをと頼まれて、
忍者のコスプレに身を包み、昔言葉でおでんを売ると、これがおおうけ。
他のお店も同じ路線で悪乗りをすると、これが若者や外国人にもバズります。
商店街の再生をかけて、今日も忍者姿の主人公は跳びまわります。
少し出来すぎの流れですが、楽しめる作品でした。
2024年3月23日
いたやどクリニック小児科 木村彰宏