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2018.04.22
カンガルーの本棚 奇跡とは呼ばない
東野圭吾さんの「ラプラスの魔女」を、読みました。
ラプラスは、ポケモンにも登場する有名なキャラクター
映画化され、5月に公開されるということもあり、
興味深く手にしました。
中身は 文庫本のカバー絵が表すように、不思議な力をもつ青年と少女の物語
あとは 劇場でのお楽しみということにしましょうか
そうそう、残念ながらポケモンが出てきませんよ
念のため
2018年4月22日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2018.04.13
カンガルーの本棚 おもしろくて一気読み
杉山登志郎先生の「発達障害の薬物治療」(岩崎学術出版社)を、読みました。
新聞の書籍欄に紹介されていたのが目に留まり、
さっそく事務長さんに無理を言って購入してもらいました。
杉山先生は、ASDやADHD、虐待など、児童精神科の大家です。
従来の精神科治療のもう一つ先にある、
発達の視点から見た専門書と一般向けの解説書の中間の書籍
おもしろくて、お休みの日に一気読み
次は、誰に勧めてみようかな
2018年4月13日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2018.04.09
カンガルーの本棚 さるとヒトと
更科功先生の「絶滅の人類史」(NHK出版新書)を、読みました。
副題の なぜ「私たち」が生き延びたのか にあるように
この本のテーマは、ホモ・サピエンスの発達の歴史です
重たい頭は、有利なのか
全体重の2%ほどの重量しかない頭は、25%のエネルギーを消費する低燃費
頭の重量比較では、ネアンデルタール人の方が重かったといいます。
直立歩行は、有利なのか
走る速さでは4本足走行にはかないません。
でも、重たい頭をのせて、長い距離を移動するには有利です。
短い毛は、有利なのか
汗をかいて熱中症小を防ぎ、寒い時期には服の重ね着をしてたかも
生物として 大きくも強くもないヒトが繁殖したのは
集団を組んで狩りをしたり、身を守ったりする社会性
ほかの種に比べて 多産であったこと
お休みの日の4時に早起きして、一気読みのおもしろさ
これまで習ってきた常識がひっくり返りました
8日夜に放送された NHKスペシャル番組「人類誕生」とともに、
こころは 人類黎明期に ひとっつ跳びします。
2018年4月9日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2018.03.21
カンガルーの本棚 鍵となる言葉は
橋本健二先生の「新・日本の階級社会」(講談社現代新書)を、読みました。
先生は、格差社会から、格差が固定化されている階級社会に変わったと、
論を進められます。
2016年に首都圏で行われた次の4つの質問から、
①日本では以前と比べ、貧困層が増えている
②いまの日本では収入の格差が大きすぎる
③貧困になったのは努力しなかったからだ
④努力しさえすれば、誰でも豊かになることができる
社会の格差や自己責任に対する意識を、階級ごとに分類されます。
格差については、20~30%の人がそう思わない
自己責任については、35~40%の人が、
貧困は自己責任の結果だと答えています。
この二つの視点を結びつけると、次のような言葉が浮かび上がってきます。
①お金持ちは、努力をしたからだ
②貧困層は、努力が足りなかったからだ
橋本先生は、自己責任という言葉に、鋭く迫られます。
①超お金持ちは、親からの資産を引き継ぎ、努力しなくてもお金持ちでいられる
②努力しても、病気や天災などの不幸で、貧困層に転落していく
多くの人の心の中にある
努力をすれば、結果はついてくる
あいつは、努力しないからヘマばっかりしているという、自然な気持ちが、
貧困層への無理解と、自己責任論を生み出していると言われます。
努力しなくてもお金持ちのままでいられる、反対に努力をしても報われない
理不尽さに、目を向けさせてくれる 良書です。
2018年3月21日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2018.03.07
カンガルーの本棚 別解力って
鎌田實先生の「人間の値打ち」(集英社新書)を、読みました。
鎌田先生は諏訪中央病院で働くお医者さん
人間の値打ちをきめる、7つのカタマリ
①空気に流されない生き方
②人生を楽しむ力
③愛と死
④破壊力
⑤稼ぐ力
⑥別解力
⑦孤独を怖がらない力
この7つのカタマリからみて、鎌田先生は自らの生き方を、自己採点をされます。
お金や出世が大きな顔をしている世の中で、本当に大切なことを教えられる1冊です。
2018年3月7日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2018.02.26
カンガルーの本棚 森の中をさまよい歩き
宮下奈都さんの「羊と鋼の森」(文春文庫)を、読みました。
主人公はピアノの調律師をめざす青年。
個性豊かな先輩の中の助けの中で、自分だけの音を探す旅に出ます。
「明るく静かに澄んで懐かしい文体、少しは甘えているようでありながら、きびしく深いものを湛えている文体、夢のように美しいが現実のようにたしかな文体」
原民喜の理想とする文体を音に変えた言葉が、繰り返し主人公の背中を後押しします。
一人の青年の成長物語でありながら、筆者の覚悟が伝わってくる小説です。
2018年2月26日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2018.02.21
カンガルーの本棚 アマゾンの光と影
田中道昭さんの「アマゾンが描く2022年の世界」(PHPビジネス新書)を読みました。
ネットで本を注文すれば、翌日には届けられるあのアマゾン
書籍だけでなく、家電や医薬品から食料品まで、
今やアマゾンが扱わないものはないという勢いがある企業です。
アマゾンが、何を考え、どのような戦略で消費者を取り込もうとしているのかを
本書は解説します。
テクノロジーの進化やSNSの発達により見失われたものには、
リアルなつながり、ふれあい、おもいやりなどがある。
ここに依拠することでアマゾンンに対抗することができると、本書は結びます。
流通企業の課題だけではなく、医療にも同じことが言えるのではないかと痛感しました。
2018年2月21日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2018.01.26
カンガルーの本棚 生物としての人間
藤田紘一郎先生の「手を洗いすぎてはいけない」(光文社新書)を、読みました。
藤田先生は、寄生虫学の権威の大先生
自ら寄生虫とともに暮らし、健康への影響を実証されています。
この本を、清潔すぎる国の現状と、
それがもたらす医学的・社会的問題への警鐘の書として読みました。
「健康とは、生物としての自然を大切にすること」という先生の金言を、
肝に銘じて、毎日のアレルギー指導にあたりたいと考えます。
2018年1月26日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2018.01.18
カンガルーの本棚 医療というお仕事
水野操さんの「あと20年でなくなる50の仕事」(青春出版社)を、読みました。
AI(Artificial Intelligence:人工知能)という言葉を聞かない日はありません。
アマゾンで本を申し込むと、読書傾向からおすすめ本が紹介されます。
ビッグデータから、高齢社会の未来予想が描かれます。
AIの活躍が拡がるにつれて、繰り返しの単純な仕事に就く人は
その職をおわれると、水野先生は指摘されます。
気になるのは、医療の仕事
先生は、「医師と患者の間で最も重要なのはコミュニケーション」
「話をじっくりと聞いてくれ、勉強する医師が流行る」と言われます。
異業種の先生からの指摘は、的のど真ん中を射ています。
毎日の外来で、忙しさに流されないように、
本を読み、会話を大切にしようと自戒しました。
2018年1月18日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2018.01.08
カンガルーの本棚 素敵な人たち
佐倉淳一先生の「明日(あした)」(角川文庫)を、読みました。
主人公は、小学2年生の男の子
授業中に立ち歩き、学年主任の先生に叱責されると窓から飛び降りてしまします。
学校の混乱は家族を巻き込み、誰が悪いのかの 責任のなすり合いが始まります。
もう一人の主人公は、PC関連会社で働く青年
パワハラをうけ、傷害事件を起こしてしまいます。
ふたりの出会いは、深夜の恐竜博物館
「明るいあしたは、自分の力で変えることができる」と、語り合います。
ふたりの自閉スペクトラム症(ASD)の男性が、
明るいあしたにむかって歩きはじめる勇気を、
作者は温かく見守ります。
自閉スペクトラム症という難しい課題に向かい合う一人一人の読者が
本当の主人公なのかもしれません。
まだ始まったばかりの2018年。
今年の一押しの一冊になりそうです。
2018年1月8日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2018.01.07
7+8= おとうさんはよろこび
おさきに おさんぽに でかけた ナナちゃんが
「ハッちゃん ゆきが ふってたよ」って、おしえてくれます。
こうえんは もう ナナちゃんいろ。
おとうさんが、あんまり はしゃぐので
ゆきのこうえんを いっしょに はしってあげます。
「おとうさんは よろこび、こうえん かけまわる」って、
うたが きこえてきそうです。
よかったね、おとうさん
2018年1月7日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2018.01.02
カンガルーの本棚 生きていく灯
ほしおさなえさんの「活版印刷三日月堂3」(ポプラ文庫)を、読みました。
下町の小さな活版印刷屋さんをめぐる4つのお話
はじめのお客は、人を年収と勤め先でしか評価できない会社員
2人目は、主人公の母と青春を過ごした同級生
3人目は、学校が少しつらくなってきた高校生
悩みをかかえながら、活版印刷に出合うことで、
迷いの先に、生きていく灯を見出します。
今年最初の1冊は、お正月番組より強く
わたしの心を しっかりととらえてくれました。
2018年1月2日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2017.12.31
カンガルーの本棚 いったりきたり
朝井まかてさんの「藪医ふらここ堂」(講談社時代小説文庫)を、読みました。
江戸の町で小児医を営む主人公は、
仕事よりも どうすれば楽に暮らせるかと考える毎日です。
弟子に、「小児医の極意は」と聞かれ、
「ふらここだ」と答えます。
「ふらここ」とは、今でいう「ブランコ」のこと
どういうたとえなのかなと、読み進むと、
人は、「正」と「邪」の間を、いったりきたり
こっちが病のある状態、こっちが元気な状態
悪いところもあわせもって生きていく
薬で無理やり取り除くのではなく
徐々に折り合いをつけていく
作者は、主人公のことばに、こう意味を持たせます。
くる年も、「ふらここ」のように、ゆれながら過ごそうと思います。
今年一年、おつきあいくださり、ありがとうございました。
2017年12月31日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2017.12.29
カンガルーの本棚 家族に寄り添って
河野和彦先生の「認知症治療の9割は間違い」(廣済堂出版)を、読みました。
河野先生は、家族の介護負担を軽くする(介護者優先主義)視点から、
従来型の治療とは異なる治療アプローチを考案され、
多くの認知症のかたの症状を改善されています。
本書は、「コウノメソッド」と呼ばれる認知症の治療を
一般の方にも分かりやすく解説されたものです。
子どもの発達障害にも言及され、興味深く読ませていただきました。
医療生協の川崎理事さんからお聞きし、1日で一気読みしました。
2017年12月29日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2017.12.14
カンガルーの本棚 燃える思い
知野みさきさんの「雪華燃ゆ」(光文社文庫)を、読みました。
シリーズ3作目は、かなわぬ恋の物語。
着物の下描きを何度も書き直す中で明らかになる 依頼者の悲しい過去
わが身の恋の行く末と重ねあううちに 揺らぐ思い
ページをめくるごとに、江戸の街並みに生きる人々の
確かな息遣いが聞こえてきます。
2017年12月14日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2017.12.09
カンガルーの本棚 お借りして一気読み
ヴィカス・スワラップさんの「ぼくと1ルピーの神様」
(ランダムハウス講談社)を、読みました。
外来をしているときに、おかあさんから、
「先生、本をよく読まれるのですね」と、手渡された一冊
主人公は、インドの18歳の男の子
クイズ番組に出場し、1億ルピー(日本円にして1.5億円)を手にします。
13の難問に、なぜ正解できたのか。
物語は 男の子の悲しい半生にさかのぼります。
貧しくて、活気あふれるインドの社会
ワクワクどきどきする、最高に楽しめる一冊です。
2017年12月9日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2017.12.06
カンガルーの本棚 お手軽な奥深さ
吉野源三郎先生原作の「君たちはどう生きるか」(マガジンハウス)を、読みました。
といっても、手に取ったのは羽賀翔一さんの手になるコミック版です。
1937年に書かれた原作は、戦時中のものとは思えない骨太の
ヒューマニズムが貫かれています。
コミックを気軽な気持ちで読み進めていくうちに、
人間のむすびつきについて
貧乏ということについて
偉大な人間とはどんな人か
人間の悩みと過ちと偉大さとについて
などの命題に引き込まれます。
入り口はお手軽に、中は奥深く
若い方だけでなく、いろいろな方におすすめの一冊です。
2017年12月6日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2017.12.05
カンガルーの本棚 愛と祈りで
渡辺和子先生の「愛と祈りで子どもは育つ」(PHP文庫)を、読みました。
子育てを続けるうえでの大切なことを、
60数編の短い文にまとめられています。
「子育てとは、子どもと一緒に親も成長するということ」
「人生の義務としあわせ、それは愛することを学ぶこと
愛することを知ること」
どの章も意味深く、何度も読みなおします。
忙しい子育ての真っただ中にこそ、おすすめの一冊です。
2017年12月5日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2017.11.24
カンガルーの本棚 大きな未来へ
椰月美智子さんの「その青の、その先の、」(幻冬舎文庫)を、読みました。
主人公まひるは、高校2年生の女の子、
なかよし4人組と、平凡な毎日を過ぎしています。
彼との出会い、そして彼の事故をきっかけに、
まひるは、 強くなろうと決心します。
「その青のその先に、力強く手を伸ばす。
その先に広がっている、大きな未来に向かって」
小説の最後の2行から、作者の青春への力強い応援歌が聞こえてきます。
がんばれ、まひる
いろんなことがあっても、人生っていいもんだからね。
2017年11月24日
いたやどクリニック 木村彰宏
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2017.11.09
カンガルーの本棚 カフーってなに?
原田マハさんの「カフーを待ちわびて」(宝島社文庫)を、読みました。
舞台は太陽の光が降りそそぐ沖縄
そこで暮らす青年と、イヌとの物語。
突然現れた女性が、青年の生活と心を変えていきます。
やがて明らかになる、哀しい過去。
愛し合いながらの すれ違い
カフーとは、なになのか、
うまくいきますようにと、主人公を応援したくなるラストです。
「日本ラブストーリー大賞」に輝く、原田マハさんのデビュー作品です。
2017年11月9日
いたやどクリニック 木村彰宏